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パイオニア環境分析のつもり(10/20~28)アップデートデッキの逆襲

■はじめに

 みなさんこんばんは。スタンダードはすっかり健全さを取り戻したようで、日替わりでメタゲームが目まぐるしく変わる展開とのこと。一強、一強、また一強、と繰り返されていた時代が懐かしく思える気がしますね。

 さてパイオニアですが、こちらもコンボが一斉締め出しされてから、健全なメタゲーム推移が続いています。こうなると「昔使ってた俺のデッキもいけるのでは……?」なんて思いも沸々としている方も出てきそうですね。今日は「そういえばそんなデッキあったなぁ」という、懐かし?のデッキを紹介できればと思います。

 以下いつものメタゲームブレイクダウンです。

▼Pioneer Preliminary 10/20

4-1
Boros Aggro
Seleznya Scales
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
 
3-2
Spirit
Niv-to-Light
Lotus Combo

▼Pioneer Preliminary 10/21

5-0
Temur Reclamation
 
4-1
Spirit
Dimir Control
 
3-2
Mono-B Aggro
Boros Aggro
Sultai Reclamation
Temur Aggro
4C Omnath
4C Omnath
Lotus Combo
Lotus Combo
The Spy

▼Pioneer Challenge 10/24

6-X
Mono-B Aggro
Gruul Aggro
Sultai Delirium(優勝)
Sultai Reclamation
Niv-to-Light
 
5-X
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Orzhov Human
Gruul Aggro
Esper Yorion
Naya Winota
Temur Reclamation
Jund Sacrifice
The Spy
 
4-X
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Izzet Phoenix
Esper Yorion
Esper Yorion
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Temur Reclamation
4C Omnath
Niv-to-Light
Lotus Combo
The Spy

▼Pioneer Challenge 10/25

6-X
The Spy(優勝)
 
5-X
Mono-B Aggro
Spirit
Sultai Reclamation
4C Reclamation
Lotus Combo
Lotus Combo
 
4-X
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Spirit
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Orzhov Aura
Gruul Aggro
Esper Yorion
Esper Yorion
Jeskai Fires
Naya Winota
Sultai Delirium
Sultai Reclamation
Niv-to-Light
The Spy

▼Pioneer Preliminary 10/26

4-1
Boros Aggro
Rakdos Arcanist
Naya Winota
 
3-2
Spirit
Gruul Aggro
Gruul Aggro
Sultai Reclamation
Sultai Delirium
The Spy

▼Pioneer Preliminary 10/27

4-1
Spirit
Sultai Reclamation
Niv-to-Light
Lotus Combo
 
3-2
Mono-B Aggro
Mono-G Devotion
Esper Yorion
Niv-to-Light

▼Pioneer Preliminary 10/28

5-0
Niv-to-Light
 
4-1
Sultai Reclamation
Sultai Delirium
4C Omnath
Niv-to-Light
 
3-2
Gruul Aggro
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Sultai Reclamation
Sultai Delirium
The Spy

■メタゲームブレイクダウン

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 今回のトップは前回紹介したスゥルタイ再生(Sultai Reclamation)でした。アグロからミッドレンジ、コンボまで幅広く対応できる「丸さ」が評価されている格好です。「再生」の名を冠していつつも実態はほぼコントロールデッキなので、久々にコントロールがTier1に上ってきたような印象です。

 他、2位の黒単はいつも通りですが、3番手以下はミッドレンジとコンボが占めていて、コントロール、アグロ、ミッドレンジ、コンボがすべて出揃うバランスのいいメタゲームを形成しています。

 コントロールがTier1の場合に活躍するクロックパーミッション系は、スピリットが唯一名を連ねるのみです。アグロはもとよりミッドレンジ戦において、5色ニヴミゼットやエスパーヨーリオンのフィニッシャーが5マナのため《呪文捕らえ》射程外なのが地味に厳しいところです。

■注目デッキ1:セレズニア鱗

ODERUS URUNGUS (4-1)
PIONEER PRELIMINARY 12218077 ON 10/20/2020
 
creature (32)
4《実験体/Experiment One》
4《生皮収集家/Pelt Collector》
2《群れのシャンブラー/Swarm Shambler》
4《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》
2《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4《毅然さの化身/Avatar of the Resolute》
4《議事会の導師/Conclave Mentor》
3《ファートリの猛竜/Huatli's Raptor》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
1《果てしなきもの/Endless One》
 
instant (4)
4《ドロモカの命令/Dromoka's Command》
 
enchantment (4)
4《硬化した鱗/Hardened Scales》
 
land (20)
4《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
8《森/Forest》
4《マナの合流点/Mana Confluence》
4《寺院の庭/Temple Garden》
 
sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4《大食のハイドラ/Voracious Hydra》
3《自然のままに/Natural State》
2《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2《英雄的介入/Heroic Intervention》
2《減衰球/Damping Sphere》

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 以前は《巻きつき蛇》を軸とした「ゴルガリ鱗」としてパイオニア初期環境を席巻しかけた「8Scales」が、セレズニアカラーとなって戻ってきました。
 「基本セット2021」でセレズニア版《巻きつき蛇》こと《議事会の導師》を獲得した上、「ゼンディカーの夜明け」で+1/+1カウンターをフィーチャーしたメカニズムが追加で登場、さらにはマナベースも強化され、メタゲームに久々に姿を現しました。

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 《歩行バリスタ》の退場は痛手ですが、新戦力で補っています。
 《群れのシャンブラー》は貴重な追加の1マナ域というだけでなく、トークンを残す除去体制も持つ新戦力。《光輝王の野心家》は毎ターンカウンターを置き続ける「マスト除去」の生物で、イクサラン産「増殖」マシーン《ファートリの猛竜》と組み合わされれば、鱗系を引かなくても大打点が狙えます。

 なお、このリストでは《夢の巣のルールス》で粘り強さを与えていますが、《搭載歩行機械》はお役御免となっています。環境的に悠長に構えている暇はないことを重々承知していて、短期決戦を目指していることが伺えます。サイドボードも《自然のままに》《英雄的介入》《魂標ランタン》とテンポ重視のセレクションです。一方で、アグロ同系には《大食のハイドラ》が追加の除去として輝きます。

 固定ファンの多い+1/+1カウンターギミック、パイオニアでも再び輝く時が来たかもしれません。

■注目デッキ2:スゥルタイ昂揚

JABERWOCKI (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12221068 ON 10/24/2020
 
creature (17)
3《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》

1《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
2《残忍な騎士/Murderous Rider》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
1《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
1《半真実の神託者、アトリス/Atris, Oracle of Half-Truths》
1《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow》
 
sorcery (8)
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
 
instant (8)
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《無情な行動/Heartless Act》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
 
enchantment (3)
3《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (24)
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
1《森林の墓地/Woodland Cemetery》
2《繁殖池/Breeding Pool》
1《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
2《湿った墓/Watery Grave》
2《清水の小道/Clearwater Pathway》
2《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》

3《寓話の小道/Fabled Passage》
2《森/Forest》
2《島/Island》
1《沼/Swamp》
 
sideboard (15)
1《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
1《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
1《強迫/Duress》
4《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
3《自然に帰れ/Back to Nature》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《絶滅の契機/Extinction Event》

 久々にメタゲームに登場したスゥルタイ昂揚。墓地対策が厳しかった頃は昂揚ギミックを封印したミッドレンジタイプが活躍した経緯があり現在下火ですが、名手"JABERWOCKI"ことRogan Nettles氏が土曜日のChallengeを優勝、翌日も同デッキでTOP8入賞を果たし、現在のメタゲームでも十分通用することを証明しました。

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 マナベースに若干の改善が見られましたが、メインデッキはほぼ従来の構成のままです。《思考囲い》《致命的な一押し》に加え《サテュロスの道探し》+《ウーロ》+《ウルヴェンワルド横断》という基本パッケージを4積み、あとはツールボックスのように様々なクリーチャーを引っ張り出します。必須だった《歩行バリスタ》を失ったのは若干痛いところです。

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 こうしたデッキは得てしてサイドボード後の勝率が高くなりますが、《魂標ランタン》や《自然に帰れ》など、墓地対策、エンチャント対策にしっかりと枚数を割いています。前者は黒単アグロやThe Spy、後者はティムール再生、エスパーヨーリオン、ジェスカイファイアーズの要となるカードを狙い撃ちします。メインの《神秘の論争》含め、仮想敵がしっかり見えているからこその選択です。その慧眼に感服します。

 アドバンテージ獲得量からすると5Cニヴミゼットなどに後れを取る部分はありますが、妨害と攻めの程良いバランスが持ち味のミッドレンジです。これからの活躍に期待しましょう。

■注目デッキ3:4色オムナス再生

_BATUTINHA_ (7TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12221072 ON 10/25/2020
 
planeswalker (3)
3《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
 
creature (6)
3《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
3《創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation》
 
sorcery (3)
3《神々の憤怒/Anger of the Gods》
 
instant (13)
1《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
4《成長のらせん/Growth Spiral》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
4《発展/Expansion》 // 《発破/Explosion》
 
enchantment (7)
4《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
3《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (28)
1《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
3《寺院の庭/Temple Garden》
1《蒸気孔/Steam Vents》
2《繁殖池/Breeding Pool》
2《ヴァントレス城/Castle Vantress》
4《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
4《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
1《平地/Plains》
2《島/Island》
1《山/Mountain》
1《森/Forest》
 
sideboard (15)
2《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》
2《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2《霊気の疾風/Aether Gust》
3《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
1《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
1《サメ台風/Shark Typhoon》
3《幻惑の旋律/Entrancing Melody》

画像6

 以前から少しずつ登場していた、4色オムナスとティムール再生のハイブリッド・デッキです。骨子はティムール再生ですが、白を加えることで《オムナス》と《時を解す者、テフェリー》が加わっています。

 《オムナス》自体も強力ですが、一番の強みはやはり《テフェリー》。同系、特に打ち消しを多く使用するスゥルタイ再生に対して、《テフェリー》はマストカウンター級のアクションとなります。またアドバンテージとマナを稼ぎ出す《オムナス》は、《荒野の再生》が対処された際のサブエンジンとしても優秀です。除去されやすい面はありますが、着地した時点で一定の役割は終えていると考えれば、安い投資です。

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 サイドボードには、これも同系で鬼神の如き強さの《パルン、ニヴ=ミゼット》が控えています。また、打ち消しが増えてきたことから《ドビンの拒否権》も同系では無類の強さを発揮します。メイン、サイドともに同系を睨んだ選択が光るリストになっています。

 《幻惑の旋律》はアグロやミッドレンジ相手に最適な回答で、唱える際の隙が《荒野の再生》で消えるため、大きいマナコストも心おきなく支払えます。しかし、本命は最近メタゲームで頻繁に登場する《サメ台風》のトークン。特にスゥルタイ再生は《サメ台風》にフィニッシュ手段を依存しているため、一度トークンを奪ってしまえばゲーム展開をひっくり返すインパクトがあります。仕掛ける際もたったの2マナでアクションが起こせるため、このメタ上では非常に有力なサイドボードになりそうです。

 総じて、メタゲームを注視し上手く組まれたデッキだということが見て取れます。このようなデッキ構築は参考にしたいですね。

■終わりに

 基本的に新弾や禁止改訂が出なければ緩やかにメタゲームが動くパイオニアですが、スゥルタイ再生というトップメタが生まれたことで、一気にメタ上の有利不利が入れ替わった印象があります。次は何か勝つだろう?と考えながらデッキを組むのも楽しみの一つ。思い思いのデッキを組む際にも、メタゲームに有効なカードを採用する意識を心掛けましょう。

 スタン禁止の《ウーロ》《オムナス》を思いっきり使えるメタゲームになっていて、スゥルタイ再生や4色オムナスなどは最近のスタンダードのデッキ構成に近いため、参入障壁も他フォーマットより低くなっています。スタンダードプレイヤーの方が裾野を広げるのにもお薦めのパイオニア、ぜひ参加をご検討ください!

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とけいまわり
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