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パイオニア環境分析のつもり(7/1~11)アグロの街、テンポの街

■はじめに

 みなさんこんばんは。Twitterのタイムラインで、地域予選遠征勢の悲喜交々が聞こえるようになって早数日、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ地域予選は続きますが、メタゲームの移り変わりの速さに驚いている方もいるのでは。また、「見たこともないデッキと当たった……」という声もちらほら聞かれます。リアルならではの楽しみがありますね。

 今回はメタゲームの推移をお伝えするとともに、「こんなデッキもあるよ」といった情報をお届けできればと思います。ローグとはいえ侮るなかれ、すべて完成度の高いデッキになっています。

■メタゲームブレイクダウン

 直近のメタゲームブレイクダウンです。なんとメタゲームを独走していた緑単信心がまさかの大急落。代わりに頂点に立ったのは《表現の反復》を失って弱体化したはずのイゼットフェニックス。緑単信心を苦手としていたラクドスミッドレンジも復調しています。他、ボロス英雄的をはじめアグロ勢の躍進が目立ちました。

 一方で、緑単信心、また緑単信心に優位だった青単スピリットは揃って入賞数が大きく減った形になります。理由はデッキタイプ分布から紐解けます。

 目立つのは、なんといってもアグロの増加。ミッドレンジを上回る比率になったのは久々です。テンポデッキの比率も増加、こちらもミッドレンジを上回っています。これは緑単信心に勝つためのメタゲームシフトが進んだ結果、メタゲーム全体で「速度で上回るデッキを選択して緑単に優位に立とうとした」ことが挙げられます。

 総じて、アグロ、ミッドレンジ、テンポがバランスよくメタゲームに混在しています。ご覧の通り、ミッドレンジ優位は崩れました。

 ここで行うべきは、デッキ選択もさることながら、自分のデッキのサイドボードの見直しです。アグロデッキやテンポデッキが多くなったため、サイドボードのカードが重すぎると使い物にならなくなります。メインデッキの構成にもよりますが、アグロ対策やテンポ対策を多めにとり、全体的にマナコストを低めにすることが求められそうです。
 重いカードが入りすぎていないか? ミッドレンジ対策偏重になっていないか? お出かけ前に、必ず確認してください!

■注目デッキ1:Izzet Creativity / イゼット《不屈の独創力》

OLIVER_HART (3RD PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12437641 ON 07/02/2022

 
creature (4)
4 《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
 
sorcery (4)
4 《不屈の独創力/Indomitable Creativity》
 
instant (22)
4 《考慮/Consider》
4 《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
4 《検閲/Censor》
3 《プリズマリの命令/Prismari Command》
3 《時を越えた探索/Dig Through Time》
4 《マグマ・オパス/Magma Opus》
 
enchantment (6)
4 《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》
2 《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (24)
4 《蒸気孔/Steam Vents》
4 《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast》
4 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
3 《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
3 《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》
1 《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》
2 《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》
1 《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》
1 《島/Island》
1 《山/Mountain》
 
sideboard (15)
4 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
3 《丸焼き/Fry》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/pioneer-challenge-2022-07-03

 《奔流の機械巨人》で《マグマ・オパス》を踏み倒して一気にゲームを決めるIzzet Opus。以前もメタゲームに散見されていましたが最近は見かけなくなっていました。ところが、最近エクスプローラーで流行りの《不屈の独創力》デッキとなって、よりコンボの要素を強めたコンボコントロールとして再登場しました。

 デッキの動きは単純で、

  1. 《マグマ・オパス》をルーティング呪文や自身の起動型能力で墓地に置く。

  2. 除去やドローで盤面をコントロールしながら、トークンを生成。

  3. 隙を見てトークンを対象に《不屈の独創力》。《奔流の機械巨人》を呼び出し、墓地の《マグマ・オパス》を踏み倒して勝負を決める。

 こうした一連の動きが決まらなくても個々のパーツが強力なため、コンボが決まらなくても、ゲームを長引かせ、《奔流の機械巨人》素出し、《マグマ・オパス》ハードキャストで勝負を決めに行く、というプランBも容易です。

 イゼットフェニックスがTier1となったため、色対策カードが刺さりやすい環境にはなっていますが、最近は墓地に触るカードも減り始めたため、軸の違った攻め方をしたい方にお勧めです。

■注目デッキ2:Gruul Aggro / グルールアグロ

LADON (6TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12437645 ON 07/03/2022

 
creature (27)
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
3 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
3 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4 《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》
2 《宝石泥棒/Jewel Thief》
3 《探索する獣/Questing Beast》
4 《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
 
sorcery (7)
3 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
4 《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing》
 
artifact (4)
4 《エンバレスの宝剣/Embercleave》
 
land (22)
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
3 《落石の谷間/Rockfall Vale》
4 《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》
1 《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》
1 《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
2 《山/Mountain》
3 《森/Forest》
 
sideboard (15)
3 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
2 《絞殺/Strangle》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
2 《バーニング・ハンズ/Burning Hands》
2 《丸焼き/Fry》
1 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2 《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》
2 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/pioneer-challenge-2022-07-04

 チャレンジャー・デッキが発表となりましたが、その中のひとつに含まれるのが「グルール・アグロ」。パッケージイラストから《栄光をもたらすもの》が入ることは間違いなさそうですが、その構成は不明です。
 それに影響されてかどうかはわかりませんが、今集計期間において、グルールアグロが少し増加した印象があります。

 こちらは普通のミッドレンジデッキ。マナクリーチャー2種からマナ域をジャンプアップ、優秀な生物群で戦線を構築し、《ミジウムの迫撃砲》超過や《エンバレスの宝剣》で勝負を決めます。
 空から殴りつつクリーチャー除去ができる《栄光をもたらすもの》は、ひとたび攻めに回ると非常に強力です。また最近は3マナ域に《宝石泥棒》を据えるデッキも増えてきました。《裕福な亭主》を3マナにしたら3/3警戒トランプルになった……と言えばいいのでしょうか。少し強すぎますね。

 アドバンテージソースとして、3マナの出来事クリーチャー2種をフル採用、粘り強く戦えるのが特徴です。

 また、こんなグルールアグロ亜種も入賞しています。

JWF239 (13TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12437641 ON 07/02/2022

 
creature (18)
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《戦闘の祝賀者/Combat Celebrant》
4 《無謀な嵐探し/Reckless Stormseeker》
4 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
2 《トラブルメーカー、ジャクシス/Jaxis, the Troublemaker》
 
sorcery (6)
4 《絞殺/Strangle》
2 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
 
artifact (4)
4 《エシカの戦車/Esika's Chariot》

enchantment (5)
1 《レンジャー・クラス/Ranger Class》
4 《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》

land (23)
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《落石の谷間/Rockfall Vale》
4 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》
2 《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》
2 《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》
1 《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》
2 《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
2 《山/Mountain》
1 《森/Forest》
 
sideboard (15)
1 《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》
1 《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
2 《高山の月/Alpine Moon》
4 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
1 《減衰球/Damping Sphere》
3 《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》
1 《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/pioneer-challenge-2022-07-03

 新戦力《トラブルメーカー、ジャクシス》を用いたアグロ・コンボデッキです。《戦闘の祝賀者》を《トラブルメーカー、ジャクシス》でコピーすると、

  1. 《戦闘の祝賀者》コピーAの督励時誘発型能力で《ジャクシス》がアンタップ

  2. 戦闘前に《戦闘の祝賀者》をもう一度コピー(コピーB)

  3. コピーBの督励時誘発型能力でコピーAがアンタップ

  4. コピートークン2枚で無限戦闘

  5. 《戦闘の祝賀者》&《鏡割りの寓話》裏面&マナクリーチャー、または《戦闘の祝賀者》コピートークン&《エシカの戦車》&《無謀な嵐探し》で無限戦闘が行える

 という無限戦闘コンボが内蔵されています。当然、《エシカの戦車》で他のクリーチャーのコピートークンを増やすこともできますし、速攻を持っていない《戦闘の祝賀者》に《無謀な嵐探し》で速攻を与えて連続戦闘を仕掛けることもできます。パーツ1枚1枚が強力だからこそ生まれるシナジーですね。

 これも緑単信心の干渉力の低さを利用したデッキになっています。現在のメタでは除去が多いためなかなかコンボは決まりませんが、粘り強い攻めが可能なため、コンボを防がれたから負け、とはなりません。

 グルールは非常に使いやすく、パイオニア環境に慣れていなくても取り回しやすいデッキです。好きなグルールを見つけて使い込んでみるのも一興かもしれません。

■注目デッキ3:Seleznya Auras / セレズニアオーラ

ZOCOJR (20TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12437641 ON 07/02/2022

 
creature (15)
3 《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》
4 《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》
4 《皇の声、軽脚/Light-Paws, Emperor's Voice》
4 《バサーラ塔の弓兵/Bassara Tower Archer》

 
enchantment (25)
4 《天上の鎧/Ethereal Armor》
3 《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》
3 《歩哨の目/Sentinel's Eyes》
3 《グリフの加護/Gryff's Boon》
4 《きらきらするすべて/All That Glitters》
2 《持続のルーン/Rune of Sustenance》
1 《強力のルーン/Rune of Might》
1 《最上位権限/Alpha Authority》
2 《戦茨の恩恵/Warbriar Blessing》
1 《活力のカルトーシュ/Cartouche of Strength》
1 《オルゾヴァの贈り物/Gift of Orzhova》
 
land (20)
4 《寺院の庭/Temple Garden》
3 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4 《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
1 《要塞化した村/Fortified Village》
4 《マナの合流点/Mana Confluence》
2 《平地/Plains》
2 《森/Forest》
 
sideboard (15)
4 《ケイラメトラの恩恵/Karametra's Blessing》
4 《防護の光/Sheltering Light》
1 《持続のルーン/Rune of Sustenance》
2 《戦茨の恩恵/Warbriar Blessing》
4 《安らかなる眠り/Rest in Peace》

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/pioneer-challenge-2022-07-03

 そういえば1年前のチャレンジャーデッキには「オルゾフ・オーラ」が入っていました。実はパイオニア史上もっとも息の長いアーキタイプだったんですが、《ルールス》禁止を乗り越えることは叶いませんでした。

 その代わりの戦略として生まれたのが、いわゆる「呪禁オーラ」です。モダンではBoglesと呼ばれるデッキタイプですが、パイオニアでも成立します。呪禁持ちが緑色のため、セレズニアカラーで組まれます。

 新戦力の《軽脚》の能力を生かしたシルバーバレット戦略が採用されています。《軽脚》に呪禁を持たせることができる《最上位権限》、オーラを貼りながら除去もできる《戦茨の恩恵》《活力のカルトーシュ》、トランプルや絆魂を付与できる《ルーン》各種、など……。スペルの類はメインボードに入っていませんが、かなり器用な立ち回りが可能です。

 サイドボードからは除去対策のスペルを8枚入れて、除去の激しい相手に徹底抗戦の構えを取ります。

 オルゾフオーラとも共通パーツが多く、安く組めるのも魅力です。チャレンジャーデッキのパーツを眠らせている皆さん、少しカードを買い足してぜひ地域予選にトライしてみてください!

■おわりに

 地域予選はまだまだ続きますが、メタ推移をみていると、MOの一週間前のメタゲームがそのまま表れる傾向がある、という意見が見られました。

 MO勢もそこまで感覚のずれがないようなので、(すべての大会がそうとは言えませんが、)前週のMOの結果を見て大会に臨むのはひとつの方法かもしれません。もしメタ読みやデッキ選択に悩むようなことがあれば、ぜひご参考になさってください。

 引き続き、プロツアー目指して頑張ってください! 当noteは皆様のご武運をお祈りしております。

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とけいまわり
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