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パイオニア環境分析のつもり(4/29~5/14)ずっと俺のターン!

■はじめに

 こんばんは。「ストリクスヘイヴン:魔法学園」のプレリリース(Webリリース)からはや1ヶ月。各フォーマットで様々なカードが試され、話題になったり「やっぱちげーわ」となったり、皆さまにおいても試行錯誤の日々が続いていると思います。

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 パイオニアにおいても、なんとなく「このカードはよさそう」「このカードはやっぱり使わなさそう」などの選別が進んできました。新たなデッキの紹介も含めて、メタゲームの様相をお伝えできればと思います。

 なお、最新のメタゲームについては、ミドリさんの記事が詳しいのでそちらもご参照ください。(ミドリさんは5/9のPioneer Challengeでも2位に入賞していますので、プレイヤーとしての知見が豊富に見られると思います)

■メタゲームブレイクダウン

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 1位は5色ニヴミゼット。支配率はやや上昇した程度で、メタゲームに占める比率はそこまで変わりません。ただし2位以下が激変しているため、「安定した戦績を残している」という表現の方が正しいでしょう。

 2位はジャンドサクリファイスが返り咲きました。ボードコントロール的な側面を持ち、アドバンテージ獲得に優れているため、主に青系デッキ全般に強く出られます。

 3位には、こちらも根強い人気を誇るロータスコンボ。1種類に分類していますが大きく分けて2つの型があり、(1)従来のコンボ特化型、(2)追加ターン特化型の2種に分かれています(コンボ特化型=7、追加ターン特化型=10)。

 以下、イゼットフェニックス、スピリットというテンポ系デッキが続きます。

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 ロータスコンボの増加によりややコンボ比率が増加しましたが、どのデッキタイプも混在するバランスのとれたメタゲームとなっています。アグロがやや増え、コントロールは減少傾向にあります。

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 5色ニヴミゼットは《消失の詩句》がデッキパワーの底上げにつながっています。《突然の衰微》とは一長一短がありますが範囲が広く、イゼットフェニックスの《弧光のフェニックス》や黒単の復活クリーチャー群などを後腐れなく除去できる点でも重宝します。

 その関係か、単色デッキが一気に減少しました。純粋な単色デッキは(タッチ含む)ボロスアグロ、黒単アグロ、緑単アグロですが、全て合計しても1割強の使用率にしかなっていません。特に黒単アグロの減少傾向は顕著です。

■注目デッキ1:ロータスコンボ(エクストラターン型)

WAMBOCOMBO2020 (11TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12291654 ON 05/08/2021

 
planeswalker (3)
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
 
creature (4)
4 《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》
 
sorcery (25)
3 《可能性の揺らぎ/Shimmer of Possibility》
4 《森の占術/Sylvan Scrying》
1 《方程式の求解/Solve the Equation》
4 《熟読/Pore Over the Pages》
4 《水の帳の分離/Part the Waterveil》
4 《アールンドの天啓/Alrund's Epiphany》

1 《海門修復/Sea Gate Restoration》
4 《出現の根本原理/Emergent Ultimatum》
 
instant (5)
4 《不連続性/Discontinuity》
1 《時を越えた探索/Dig Through Time》
 
land (23)
4 《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
1 《繁殖池/Breeding Pool》
1 《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》
4 《睡蓮の原野/Lotus Field》
4 《演劇の舞台/Thespian's Stage》

1 《爆発域/Blast Zone》
 
sideboard (15)
2 《萎れ/Wilt》
2 《自然に帰れ/Back to Nature》
4 《九つの命/Nine Lives》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
3 《煤の儀式/Ritual of Soot》

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 従来のロータスコンボを踏襲しつつ、フィニッシュを追加ターンに特化した新たな型が生まれました。海外風に言えばTaking Turns、つまり「ずっと俺のターン!」を目標とするデッキです。

 基本は従来のロータスコンボの動きと同じで、《樹上の草食獣》や《森の占術》を駆使して《睡蓮の原野》を設置、《演劇の舞台》でコピーし大量のマナを得ます。しかし、《成長のらせん》を使うこともなければ、《熟読》以外の手段で土地をアンタップしてマナ加速、ということもしません。

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 時には《睡蓮の原野》の誘発型能力を《不連続性》で踏み倒す形で疑似マナ加速をしますが、基本はマナを出して「追加ターン」のスペルを連打します。《出現の根本原理》も《アールンドの天啓》+《水の帳の分離》+αにより確実に追加ターンを得ます。《不連続性》も、相手ターンに打つことで(相手のアンタップは許しますが)疑似的に追加ターンを得られます。

 2種の追加ターン呪文はフィニッシュ手段を生み出すこともでき、基本は「覚醒」した《睡蓮の原野》(呪禁を持っています!)、あるいは鳥トークンでひたすら殴って勝利します。

 従来型と違いデッキ構成がシンプルなこともあり、安定してコンボに辿りつくことができますし、コンボ難易度も従来型よりずっと低めです。とはいえ従来のロータスコンボまでのスピード感はなく、どちらの型が優勢か、メタゲーム上の結論は出ていません。

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 デッキ構成はシンプルなものの、まだメタゲームへのチューンが確立されているとはいいづらく、今後の洗練が待たれるところです。アグロ相手への妨害手段にも乏しいため、サイドボードからの《九つの命》《煤の儀式》を引けるかどうかが勝負の分かれ目になりそうです。

■注目デッキ2:セレズニアカンパニー

CURTISAXEL (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12291654 ON 05/08/2021

 
creature (33)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
3 《復活の声/Voice of Resurgence》
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》
4 《精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder》

4 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
4 《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》
4 《カザンドゥのマンモス/Kazandu Mammoth》
 
sorcery (1)
1 《エメリアの呼び声/Emeria's Call》
 
instant (4)
4 《集合した中隊/Collected Company》
 
artifact (2)
2 《グレートヘンジ/The Great Henge》
 
land (20)
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
2 《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
4 《平地/Plains》
5 《森/Forest》
 
sideboard (15)
2 《秋の騎士/Knight of Autumn》
2 《傑士の神、レーデイン/Reidane, God of the Worthy》
2 《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
1 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》
2 《不可解な終焉/Baffling End》
2 《石の宣告/Declaration in Stone》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《減衰球/Damping Sphere》

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 ここ最近で勢力を伸ばしている、白緑色のカンパニー系デッキです。他フォーマットの例に漏れず、ヘイトベアーを中心に構成されています。

 デッキの動きはシンプルで、8枚のマナクリーチャーから2T目に3マナ域をプレイしプレッシャーをかけ、あるいは最速3T《集合した中隊》で一気にクロックを引き上げます。

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 最近注目されているのが《エメリアのアルコン》。当然ながらイゼットフェニックスが機能不全に陥ります。また、《白日の下に》を使用する5色ニヴミゼット、《出現の根本原理》を使用し、スペルチェインを利用するロータスコンボも封殺します。他にも手数で攻めるオルゾフオーラ、ボロスヒロイックなどの強化系デッキは軒並み弱体化します。

 また前述の通り、単色デッキが駆逐されている現状、相手の展開が高確率で遅れる点も採用を後押ししています。特にトップメタの5色ニヴミゼットは1ターンの遅れが勝敗に直結するため、文句なしの4枚採用となっています。

 重いデッキには、ピンポイントで手札の対策ができる《精鋭呪文縛り》も刺さります。そのため相手は軽い生物や置物しか展開できませんが、《スカイクレイブの亡霊》が4マナ以下をシャットアウトしてしまうため、隙がありません。

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 打点担当はスタンダードのアドベンチャー系デッキでもお馴染みの《恋煩いの野獣》《カザンドゥのマンモス》が務めます。また《アルコン》や《呪文縛り》は飛行で打点も高く、サイドボードの《レーデイン》も含めて空から攻めるプランも有力です。

 このデッキの躍進は、《エメリアのアルコン》が環境的に強い、というメタゲーム的な側面によるところが大きいものです。5色ニヴミゼットの《消失の詩句》ももちろんですが、イゼットフェニックスが3点火力を増やせば簡単に対処されてしまうため、信頼性が高いとは言い切れません。

 またアドバンテージ獲得手段が少なく、コントロールデッキは全般的に苦手です。現在は数を減らしているのでそこまでの影響はありませんが、今後のメタゲームの動向を見極めながら、デッキの有効性を検討していく形になるでしょう。

■注目デッキ3:ボロス英雄的(履修型)


KO_MAK (7TH PLACE)
PIONEER CHAMPS 12289674 ON 05/01/2021

 
creature (20)
4 《賢い光術師/Clever Lumimancer》
4 《恩寵の重装歩兵/Favored Hoplite》
4 《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
4 《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》
4 《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
 
sorcery (4)
4 《導きの声/Guiding Voice》
 
instant (16)
4 《果敢な一撃/Defiant Strike》
4 《無謀な怒り/Reckless Rage》
4 《タイタンの力/Titan's Strength》
4 《暴力の激励/Invigorated Rampage》
 
land (20)
4 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》
4 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《針縁の小道/Needleverge Pathway》
2 《山/Mountain》
2 《平地/Plains》
 
sideboard (15)
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
1 《謹慎補講/Academic Probation》
1 《環境科学/Environmental Sciences》
1 《予言学入門/Introduction to Prophecy》
1 《拡張解剖学/Expanded Anatomy》
1 《ご破算/Start from Scratch》
1 《記憶留出法/Reduce to Memory》
1 《墨獣召喚学/Inkling Summoning》
1 《スピリット召喚学/Spirit Summoning》
1 《殲滅学入門/Introduction to Annihilation》

4 《減衰球/Damping Sphere》
1 《引き裂く流弾/Rending Volley》

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 「ストリクスヘイヴン:魔法学園」の注目キーワード「履修」「講義」。リミテッド戦略に深みを与えてくれたメカニズムですが、満を持して構築シーンにも登場しました。

 今まで《戦いの覚悟》だった枠に《導きの声》を採用。打点は下がりますが、アドバンテージを失わない優秀なスペルというだけでなく、状況に応じた「講義」カードを引っ張ってくることが可能です。

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 何もなければ《拡張解剖学》で更なる打点強化、あるいは《召喚学》でトークンを確保するのがセオリーですが、土地が少なければ《環境科学》、コンボ相手には《謹慎補講》、厄介なパーマネントには《ご破算》《記憶留出法》と柔軟な対応ができます。

 加えて、特に欲しいスペルがない場合も、余剰の土地をルーティングできるため、デッキに噛み合っています。

 《導きの声》の変更自体はすんなり受け入れられるものでしょう。いわゆる「守り」のスペルは入っておらず、あくまで速度重視のヒロイックデッキとなっています。1マナ域も新顔の《賢い光術師》にして速度特化による一点突破を狙います。

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 とはいえ《導きの声》での複数体打点強化は魅力的でした。このデッキでは面展開を後押しするカードとして、《戦慄衆の秘儀術師》などとも相性がいい《暴力の激励》を採用しています。これも急戦向けのカードですね。

 ピーキーなデッキではありますが、爆発力はかなりのもの。より速く、より粘り強く戦えるようになった英雄的デッキ、ぜひお試しください!

■注目デッキ4:オルゾフ人間

LACRIATURABB (11TH PLACE)
PIONEER CHAMPS 12289674 ON 05/01/2021

 
creature (31)
4 《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
3 《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
2 《巨人落とし/Giant Killer》
1 《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》
4 《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》
4 《サリアの副官/Thalia's Lieutenant》
4 《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》
4 《シルバークイルの口封じ/Silverquill Silencer》
1 《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》
 
sorcery (3)
3 《シルバークイルの命令/Silverquill Command》
 
enchantment (2)
2 《兵員の結集/Rally the Ranks》
 
land (24)
4 《陽光昇りの小道/Brightclimb Pathway》
4 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4 《秘密の中庭/Concealed Courtyard》
4 《神無き祭殿/Godless Shrine》
4 《変わり谷/Mutavault》
1 《手付かずの領土/Unclaimed Territory》
2 《平地/Plains》
1 《沼/Swamp》
 
sideboard (15)
1 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《致命的な一押し/Fatal Push》
2 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
4 《自傷疵/Self-Inflicted Wound》
2 《軍団の最期/Legion's End》

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 以前から細々と存在するアーキタイプでしたが、「ゼンディカーの夜明け」で《陽光昇りの小道》、「カルドハイム」で《兵員の結集》、っして「ストリクスヘイヴン」から《シルバークイルの口封じ》を得るなど徐々に強化されていたアーキタイプで、最近になって少しずつ勢力を伸ばしています。

 基本は1~2マナの生物によるウィニーデッキで、《サリアの副官》《兵員の結集》によるクロックアップで早々にゲームの決着を狙います。3マナ域すら採用しない潔さですが、《変わり谷》をしっかり4枚採用でき、暇があれば起動して殴る、というコンセプトを体現。

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 《帆凧の掠め盗り》はトップメタのスペル偏重傾向から有効に機能しますが、クリーチャーデッキ相手でも新顔の《シルバークイルの口封じ》に繋ぐ役割も果たします。最低でも1/2飛行というスペックであり、全体強化の恩恵を受けて空から殴る役割も果たしてくれます。

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 「ストリクスヘイヴン」からは《シルバークイルの命令》が採用されているパターンが多く見受けられます。打点強化や盤面強化、除去を1枚でこなす器用なカードですが、やや大振りになってしまう点が気掛かりです。

■終わりに

 5色ニヴミゼットが王者として君臨しつつも絶対ではなく、二番手以降のデッキが速度やテンポに特化しているデッキで、全体的に環境のスピードが上がった印象があります。相手のデッキスピードについていけるようなデッキ選択、構築が重要になってきます。

 一方、中速~低速デッキは、どうしても5色ニヴミゼットの下位互換になってしまう点が否めません。《マグマ・オパス》デッキのような必殺技、独自の強みがないとデッキ成立は厳しいでしょう。ある意味多様性を損ねている要因となってしまっています。

 とはいえデッキの種類はかなり多く、新鮮な対戦が楽しめます。ぜひ新カードを含め、色々と試してみてください!

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とけいまわり
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