【拙訳】私が二度とコントロールデッキを使わない理由 by Andrea Mengucci(Channel Fireball)
https://www.channelfireball.com/articles/why-ill-never-play-control-decks-again/
年度末、忙しかった……。
さて、「灯争大戦」のプレビューも始まって、デックテク系の記事はほとんど見なくなりました。さびしい。
そんな中、Channel Fireballより、Andrea Mengucciが「コントロールデッキを使わない理由」を語っていました。プロの矜持ともいえる内容です、参考にならずともぜひご一読を。果たして、読者の皆さんはこの内容に共感できますか?
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Why I'll Never Play Control Decks Again
By Andrea Mengucci // 28 Mar, 2019
何年か前、私のことを良く知る人は、私が「二度とコントロールデッキは使わない」と決めたのを知っていると思います。私の今までの決めごとの中では一番いいルールだと思います。
しばらく前。ホノルルでのPTカラデシュのこと、私のチームはスタンダードで使用するデッキをどうするか、2つに意見が割れていました。4色機体(通常の機体デッキは《無許可の分解》を使用せず、《儀礼的拒否》のために青タッチもしない)と青白スピリットです。
私はどちらのデッキも信用がおけず、《奔流の機械巨人》+《天才の片鱗》のカードパワーに目がくらみ、ジェスカイコントロールを選択しました。
Lee Shi Tianは機体でTOP8に、Eduardo Sajgalikその他のメンバーは青白スピリットで驚異的な成績を残していました。私はドラフトを2-1でまとめましたが、構築で0-4してしまいトーナメントに残れませんでした。
私がコントロールを使用したのはこれが最後、奇しくもプロツアー(もしくはミシックチャンピオンシップ)の2日目に残れなかった最後の大会となりました。これ以降の構築ラウンドでは最低でも6-4以上の成績を9回連続で残すことができています。
忘れてはいけないのが、PTカラデシュの勝者は、Carlos Romaoが独自に組み上げたジェスカイコントロール……を打ち破った、グリクシスコントロールを駆る八十岡翔太だったということです。これは事実です。
Jeskai Control
Carlos Romao, 2nd place at PT Kaladesh
lands
4《港町/Port Town》
3《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》
1《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
4《さまよう噴気孔/Wandering Fumarole》
4《霊気拠点/Aether Hub》
6《平地/Plains》
4《島/Island》
creatures
2《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》 // 《浄化の天使、アヴァシン/Avacyn, the Purifier》
3《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
spells
3《鑽火の輝き/Immolating Glare》
1《神聖な協力/Blessed Alliance》
3《予期/Anticipate》
4《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》
1《停滞の罠/Stasis Snare》
3《虚空の粉砕/Void Shatter》
3《光輝の炎/Radiant Flames》
4《天才の片鱗/Glimmer of Genius》
2《即時却下/Summary Dismissal》
2《燻蒸/Fumigate》
1《隔離の場/Quarantine Field》
2《ドビン・バーン/Dovin Baan》
sideboard
3《呪文捕らえ/Spell Queller》
1《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》
3《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection》
1《神聖な協力/Blessed Alliance》
3《否認/Negate》
1《燻蒸/Fumigate》
3《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
Esper Control
Yoshihiko Ikawa, 2nd place at MC Cleveland
lands
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《湿った墓/Watery Grave》
1《島/Island》
1《沼/Swamp》
spells
1《否認/Negate》
1《渇望の時/Moment of Craving》
3《喪心/Cast Down》
4《思考消去/Thought Erasure》
2《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
3《吸収/Absorb》
3《屈辱/Mortify》
3《薬術師の眼識/Chemister's Insight》
3《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》
3《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》
2《アズカンタの探索/Search for Azcanta》 // 《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta, the Sunken Ruin》
1《最古再誕/The Eldest Reborn》
1《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
4《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
sideboard
4《正気泥棒/Thief of Sanity》
3《人質取り/Hostage Taker》
2《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
2《強迫/Duress》
1《渇望の時/Moment of Craving》
1《否認/Negate》
1《最古再誕/The Eldest Reborn》
1《オルゾフの簒奪者、ケイヤ/Kaya, Orzhov Usurper》
そう、私が切り捨てたコントロールデッキで、彼らは成功を収めています。今日私がお伝えしたいのは、長丁場かつ相手のデッキが分からない大会でコントロールデッキを使うことがなぜ危険なのか、ということです。
【問題その1:マリガン判断】
コントロールデッキで一番重要となる点にフォーカスしましょう。もしあなたが10人規模のフライデー・ナイト・マジックにエスパーコントロールで出場し、かつ相手のデッキが全て分かっているのなら、MTG Arenaで相手のデッキが分からない状態で10戦戦うよりずっと楽でしょう。
こんな初手を想定してください。土地3枚に《渇望の時》《肉儀場の叫び》《ケイヤの怒り》《ドミナリアの英雄、テフェリー》。相手がアグロなら秒でキープですが、もし相手が《運命のきずな》や《荒野の再生》デッキ、もしくはミラーだとしたら? 初手4枚でプレイするのと同じです。
さて、1回マリガン後に占術で見えたカードが《ケイヤの怒り》だった場合は? このデッキのベスト・カードの1枚ですが、マッチアップによっては最悪のカードです。新しいルールでは、手札からデッキの底に送ることができるようになるようですが、2枚の《吸収》と2枚の《肉儀場の叫び》だとしたらどちらをデッキボトムに送るべきでしょうか?
一方、白単や赤単、もしくは《運命のきずな》のようなコンボデッキでさえも、マリガン判断は自身がどうしたいかが基準となり、相手が何をプレイしていようが関係ありません。
ミッドレンジデッキも同じような悩みを抱えるデッキではありますが、問題はもっと小さいレベルになります。《マーフォークの枝渡り》や《翡翠光のレインジャー》のようなビートダウン要員はどのようなマッチアップでも役に立ちますが、一方で《喪心》や《採取//最終》は相手によってランクAからランクFまでのブレ幅があります。
そういう問題があるにせよ、些細な程度であり、たとえば私がスゥルタイミッドレンジをプレイしている歳に、2枚の《喪心》をキープしながら《荒野の再生》やエスパーと戦うこともあります。もともとメインボードは相性が悪いですしね。
スゥルタイミッドレンジは得てしてメインボード戦で不利な戦いを強いられますが、サイドボード後は劇的にデッキが強くなります(面白い結果なのですが、私がGPリールでゴルガリミッドレンジをプレイした際、2日目のメインボードは0-7でしたが、結局この日は6-1でフィニッシュしました)。一方でエスパーはメイン戦を落とすとサイドボード後は不利な戦いが待っています。
【問題その2:サイドボードからのアンチカード投入】
スゥルタイミッドレンジ対エスパーコントロールの話題を続けますが、このマッチアップで不運にも1ゲーム目を落としてしまうと、スゥルタイは《強迫》《軽蔑的な一撃》《クロールの銛打ち》をフル投入してくるため、スゥルタイ有利になる中で2戦勝たないといけなくなります。
エスパーコントロールは《正気泥棒》や《人質取り》をサイドから投入するといった「ヘイト対策」戦略をもっていますが、これは相手が《喪心》や《稲妻の一撃》を抜いてくる、という前提で成り立ちます。(この事実に基づくと、エスパー相手のスゥルタイは《喪心》を抜かないのです。4枚目を入れることさえあります。)
同じことはシミックネクサスやティムール再生にも言えます。《生体性軟泥》はスゥルタイが使ってくるヘイトカードの《強迫》や《否認》を掻い潜るいくつかの手段のひとつです。(この点からすると、スゥルタイには《否認》より《軽蔑的な一撃》を入れるべきなのです!)
BO1は全く異なるフォーマットです。つい最近生まれた新しい環境であり、コントロール殺しのデッキは流行りづらく、さらには《運命のきずな》も禁止とあって、エスパーコントロールがとてもいい選択肢となるのです。
レガシー環境においても、コントロールデッキは同様の問題を抱えます。
Grixis Control
Andreas Petersen, 6-2 at Magic Online Legacy Playoff
lands
3《Underground Sea》
2《Badlands》
2《Volcanic Island》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
3《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2《島/Island》
2《沼/Swamp》
creatures
3《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4《悪意の大梟/Baleful Strix》
2《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
spells
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《定業/Preordain》
2《致命的な一押し/Fatal Push》
1《思考囲い/Thoughtseize》
2《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
2《稲妻/Lightning Bolt》
2《悪魔の布告/Diabolic Edict》
3《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》
3《コラガンの命令/Kolaghan's Command》
4《意志の力/Force of Will》
3《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
sideboard
2《呪文貫き/Spell Pierce》
3《外科的摘出/Surgical Extraction》
2《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《湿地での被災/Marsh Casualties》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》
2《苦花/Bitterblossom》
2《血染めの月/Blood Moon》
2《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
Andreas Petersenは私が知る限り、とにかくエターナルフォーマットに精通したプレイヤーです。彼はMOのレガシーチャレンジやヴィンテージチャレンジで最も成功したプレイヤーの一人であり、レガシーのプレイオフに彼は古き良きグリクシスコントロールで行く、と決めたのです。
《死儀礼のシャーマン》在りし日は、彼も私も4Cレオヴォルド(グリクシスt《レオヴォルド》)の虜でした。《死儀礼》亡き後はデッキも重くなるため4色目を外し、マナを支払いやすくすると同時に、各個のカードパワーを下げざるを得ませんでした。
レガシーのグリクシスコントロールが好きでない理由はここです。デッキが遅くなり、以前のように《コラガンの命令》を打つ形をとれなくなったのです。
何よりも、スタンダードと同様の「マリガン問題」が存在します。初手だけではありません(《渦巻く知識》がありますからね)。《渦巻く知識》や《思案》でデッキを見た際、どのカードをデッキに戻すかの判断は非常に難しいです。《致命的な一押し》をANT相手に残しますか? 《コラガンの命令》は《虚空の杯》デッキには不要ですか? ゲームを変えるような判断は、勝っているゲームですら負けに変えてしまうのです。
この件について、長くレガシーで活躍を続けているJonathan Sukenikに聞いてみたところ、グリクシスデルバーのようなデッキを使う際は《致命的な一押し》のような本体火力にならない除去をメインデッキになるべく入れることをどれだけ嫌っているかを語ってくれました。デルバー系のテンポデッキにおいては、カードすべてを使いきることが必要になるからです。
今日はここまでにしましょう。今週末はPAX EastでのMythic Invitationalなので、次回はスタンダードのBO1を頑張る段階になりそうです。お見逃しなく!
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