パイオニア環境分析のつもり(3/7~3/12)ついにあのデッキがTier1陥落
■はじめに
3/9に禁止制限告知がありましたが、パイオニアはノーチェンジとなりました。詳しくは後述しますが、その前後のメタゲームを追っていきます。黎明期から活躍するデッキのTier1陥落など、メタは目まぐるしく変化しています。
▼Pioneer Preliminary 3/7
5-0
ディミーアインバーター
4-1
白単ヘリオッド
白単ヘリオッド
赤単エルドラージ
アゾリウスコントロール
オルゾフオーラ
ディミーアインバーター
ディミーアインバーター
ディミーアインバーター
▼Pioneer Preliminary 3/8
4-1
白単ヘリオッド
白単ヘリオッド
白単ヘリオッド
アタルカレッド
バントスピリット
▼Pioneer Challenge 3/9
6-1(予選)
白単ヘリオッド
白単ヘリオッド
緑単PW(TOP4)
緑単PW
ディミーアインバーター
5-2(予選)
白単ヘリオッド@KANISTER氏
白単ヘリオッド
緑単PW
緑単PW
緑単PW
アゾリウスコントロール(準優勝)
アゾリウススピリット
オルゾフオーラ(TOP4)
ディミーアインバーター@高橋優太氏
イゼット魂込め
バントスピリット(優勝)
バントコントロール
ロータスブリーチ
▼Pioneer Preliminary 3/10
5-0
5色親和
バントスピリット
4-1
白単ヘリオッド
黒単吸血鬼
緑単PW
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
イゼット魂込め
▼Pioneer Preliminary 3/11
5-0
ディミーアインバーター
白単ヘリオッド
4-1
白単ヘリオッド
赤単アグロ
ディミーアインバーター
5色親和
グルールアグロ
バントスピリット
5色ニヴミゼット
▼Pioneer Preliminary 3/12
5-0
白単ヘリオッドt青
白単ヘリオッド
赤単アグロ
4-1
白単ヘリオッド
白単ヘリオッド
アゾリウススピリット
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
ディミーアインバーター
バントスピリット
バントスピリット
ロータスブリーチ
■トピックス
・3/9禁止制限告知、パイオニアは変更なし
パイオニア
基本的に、我々はここ数週間のパイオニアのメタゲームの状態に満足しています。2月初旬に行われた3つのプレイヤーズツアーでは上位デッキの大きな多様性が見られました。Magic Onlineのデータは最も使われているデッキ群の間での対戦がそれぞれ有利不利を持ちながら健全な状態にあることを示しています。
しかしながら、我々は「ディミーア・インバーター」「ロータス・ブリーチ」「《太陽冠のヘリオッド》と《歩行バリスタ》コンボ」を含む、プレイヤーズツアーのころの時期に発生した新しいコンボ・デッキに関するコミュニティの懸念についても把握しています。基本的に、パイオニアのメタゲームにコンボが存在することは構わないのですが、強すぎたり普及しすぎたりするコンボがあることも確かにあり得ます。コンボ・デッキは特に対処が難しかったり、素早く勝ってしまったり、勝ちすぎたりする場合、使われすぎると不健全になり得ます。
ここ2週間にわたるMagic Onlineのリーグにおいて、「ディミーア・インバーター」の非ミラーマッチの勝率は49%であり、最もプレイされている10のデッキのうち5つが不利な組み合わせです。この勝率はプレイヤーズツアーのころから少しづつ下がってきています。「ロータス・ブリーチ」デッキの勝率はさらに低く、他の上位デッキのほとんどに対して不利です。これは多くのデッキが《減衰球》や他の対策にアクセスできるサイドボードにおいて特に真実です。
ヘリオッドとバリスタのコンボを使ったデッキはいまだ競技トーナメントでの安定性を証明しておらず、問題だと思われる使用率にも達していません。加えて、このコンボを使ったデッキは他にメインとなるゲームプランとこのコンボを併用しており、これはゲームプレイの多様性が大きくなりこのコンボが決まって終わるゲームの数が少なくなるということを意味しています。
これらすべてを念頭に置いて、我々は今回はパイオニアに変更を行わないことを選びました。我々はこれからもパイオニアのコンボデッキの使用率と勝率を監視し続け、必要であれば積極的に変更を行います。我々が判断する基準には、全体と個別の組み合わせごとの勝率、トーナメントでの成果、メタゲームでの使用率、これらのデッキを使ったり使われたりすることへのコミュニティの心象などが含まれます。希望としては、我々は4月後半にヒューストンで行われるプレイヤーズツアー・ファイナルまで変更が行われないことを望んでいます。
(「2020年3月9日 禁止制限告知」、強調は筆者)
というわけで、パイオニアはお咎めなしでした。3種のコンボの動向によっては禁止もあり得るぞ、と脅してはいますが。ディミーアインバーターの非ミラーマッチ勝率は49%という数値が大きいようですが、果たして実態は……? また、白単ヘリオッドの使用率はともかく、入賞率はかなりのものです。ここには目をつぶるのでしょうか。
ちなみに、文章末尾にプレイヤーズツアー・ファイナルに関して言及がありましたが……
・5月中旬までのマジックフェストのキャンセルが発表
Your safety is important to us. Based on continued guidance from government and public health officials, #MTGHouston, #MTGCopenhagen, #MTGCharlotte, and #MTGKitakyushu are also cancelled. pic.twitter.com/Vv32Y2mMW3
— ChannelFireball (@ChannelFireball) March 12, 2020
(意訳)皆さんの安全が何よりも大切です。政府方針、および公衆衛生当局からの継続指導に基づき、MFヒューストン、MFコペンハーゲン、MFシャーロット、MF北九州、以上4イベントは中止とします。@Channel Fireball Twitter 2020/3/13 8:00AM
というわけで、パンデミックを鑑み、4月後半のPTファイナルも中止です。しばらくはテーブルトップの大会実施はローカルイベントも含めて厳しそうです。
■トレンドデッキ
・緑単PW
デッキリストは省略しますが、入賞数が増えてきました。3/9Challengeでは5-2以上達成者18人のうちが5人が使用(最多勢力)。詳細な解説は前回の記事を参照してください。
・アゾリウスコントロール
WANTLESSRELIC (2ND PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12102018 ON 03/08/2020
planeswalker (10)
1 《太陽の宿敵、エルズペス/Elspeth, Sun's Nemesis》
4 《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
2 《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
sorcery (5)
1 《暗記/Commit》 // 《記憶/Memory》
4 《至高の評決/Supreme Verdict》
instant (19)
4 《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
3 《検閲/Censor》
2 《時を越えた探索/Dig Through Time》
2 《本質の散乱/Essence Scatter》
1 《神秘の論争/Mystical Dispute》
4 《選択/Opt》
2 《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》
1 《物語の終わり/Tale's End》
enchantment (1)
1 《アズカンタの探索/Search for Azcanta》
land (25)
2 《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
2 《ヴァントレス城/Castle Vantress》
1 《寓話の小道/Fabled Passage》
2 《廃墟の地/Field of Ruin》
1 《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
2 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
3 《灌漑農地/Irrigated Farmland》
6 《島/Island》
2 《平地/Plains》
sideboard (15)
3 《神秘の論争/Mystical Dispute》
3 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
2 《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
1 《正義のうねり/Surge of Righteousness》
アゾリウスコントロールが増加傾向で、勝ちを伸ばしています。極端に苦手だった黒単アグロのTier1陥落が大きく、各コンボに対しての立ち位置も悪くありません。
デッキ全体はやや軽量化していて、土地も25枚まで減少。特徴として《本質の散乱》という、Tier1コンボデッキ2種(白単ヘリオッド、ディミーアインバーター)に刺さる打ち消しが採用されています。また、打ち消し9枚のうち7枚は2マナ以下でキャストできるため隙が少なく、軽さを重視しています。
上記リストでは同系も意識されており、サイドボードも含めてクリーチャーが一切採用されていません。《夢さらい》は《本質の散乱》にひっかかるため、クリーチャー不採用型も増えそうです。
なお、上記変更に伴い、対黒単や対赤単のメインボード戦はより不利となりました。
・5色親和
ODERUS URUNGUS (5-0)
PIONEER PRELIMINARY #12102031 ON 03/09/2020
creature (21)
4 《ボーマットの急使/Bomat Courier》
1 《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》
4 《ジンジャーブルート/Gingerbrute》
2 《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
2 《鋼の監視者/Steel Overseer》
4 《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
instant (6)
2 《金属の叱責/Metallic Rebuke》
4 《爆片破/Shrapnel Blast》
artifact (8)
4 《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
enchantment (7)
3 《きらきらするすべて/All That Glitters》
4 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
land (18)
4 《霊気拠点/Aether Hub》
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《マナの合流点/Mana Confluence》
2 《変わり谷/Mutavault》
4 《産業の塔/Spire of Industry》
sideboard (15)
1 《減衰球/Damping Sphere》
4 《致命的な一押し/Fatal Push》
1 《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
2 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《影槍/Shadowspear》
2 《頑固な否認/Stubborn Denial》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
以前のイゼット魂込めとは一線を画するデッキと判断、「5色親和」と命名しました。一番の違いは《技量ある活性師》の枠が《きらきらするすべて》になっている点です。《羽ばたき飛行機械》+《バネ葉の太鼓》から《鋼の監視者》に繋ぎ、《きらきら~》(ほぼ《頭蓋囲い》)でリーサルを狙う動きはモダンの親和そのもの。従来の魂込めより爆発力を重視、一気にライフを削り取るための構成になっています。
初手依存度が高い、長期戦は難しい、マナベースが不安定、という不安要素を抱えているため、まだ流行する気配はなさそうですが、《羽ばたき飛行機械》や《バネ葉》が見えたら要注意です。
・姿を消したデッキ
黒単アグロ、スゥルタイ昂揚は入賞が途絶えています。どちらのデッキもアゾリウスコントロールには強いだけに、アゾリウスコントロール優勢のメタになってくれば再び浮上する可能性があります。また、スゥルタイについてはパーツ採用の変更により思わぬ戦果を上げることもあるでしょう。
下火なことは間違いなく、少なくとも今のMO上では、これらより別のデッキを意識した方がよさそうです。
■終わりに
WHOがパンデミックという判断を示したため大会の開催はしばらく難しく、今後はMOが最新のメタゲーム情報源となります。コンボ2種のうち白単ヘリオッドが頭ひとつ抜けていて、そこに強いアゾリウスコントロールが勢力を伸ばしている、という現状です。今のタイミングだから使えるデッキ、使えないデッキもあると思います。引き続き動向を注視していきましょう。
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