見出し画像

パイオニア環境分析のつもり(3/4~3/17)戦争が起こってもコントロールは生き残る

■はじめに

 みなさんこんばんは。本記事では、前回記事(↓)の通り、MtGにおいて類い稀な「非青」環境になったパイオニアのその後を見ていきます。

 というわけで新環境の「レベルゼロ」はラクドスアルカニスト、そして黒単アグロとなりました。ここにどうやって対抗していくかが勝負となります。

■メタゲームブレイクダウン

画像1

 オルゾフオーラ5色ニヴミゼットが黒勢を押さえこみました。前回15%強の使用率を記録した黒単、ラクドスアルカニストはそれぞれ10.5%、8.3%まで落ち込んでいます。

画像3

 オルゾフオーラはデッキが軽く、除去をかいくぐる手段が豊富なため「除去とハンデスに強い」という独自の強みが出ました。《思考囲い》《致命的な一押し》デッキに対して有利になりますし、赤系アグロに対してもライフゲインが有効です。
 加えて、すべてのデッキのサイドボードに対黒専用決戦兵器《浄光の使徒》が4積みされています。最近はメインに2枚採用するリストが増えています(当然残り2枚はサイド)。
 赤除去でしか対処できず、ピンポイントで墓地掃除をされるため、《致命的な一押し》《戦慄衆の秘儀術師》に頼るラクドスアルカニストにもかなり有効です。

画像4

 5色ニヴミゼットはとにかく《影の評決》まで辿りつけば相手の戦線を崩壊させられますし、墓地対策手段も豊富です。
 入賞16デッキ中10デッキが《影の評決》を採用、また16デッキ中10デッキが《運命の神、クローティス》を採用。うち4デッキは併用しています。さらに《エイスリオスの番犬、クノロス》を採用するリストも2件あるなど、「墓地」へのマークを高めて対策しています。
 今までは採用されても1枚でしたが、特に《クローティス》は2枚目以降も採用されるケースが目立ってきました。手札から早期に出せる点、先置きすれば基本的に対処されない点が評価されています。

 オルゾフオーラは構造上トップメタに強く、5色ニヴミゼットは環境に合わせてデッキ構成を組みかえることで有利を手にした、と言えます。

 5色ニヴミゼットは《白日の下に》《ニヴ=ミゼット》《オムナス》で青を使うため青いデッキと言えなくはないですが、そこまで青っぽいかと言われると首を傾げますし、他のTier1~2デッキは相変わらず青くないので、純然たる青デッキはディミーアコントロール(5.2%)まで存在しないことになります。受難の時代は続きそうですね。

画像2

 ラクドスや黒単が多いとコントロールやコンボは不利になりますが、それが減ったためコントロールやコンボ、あるいはテンポデッキが微増しています。

 ラクドスや黒単の粘り強さは墓地から生まれるリソースなだけに、墓地をピンポイントで狙われるとリソースが激減する点がウィークポイントです。

 特に両デッキとも《ロークスワイン城》をまったく採用していない/採用枚数が少ないリストが多くなり、リソース回復手段が墓地以外になくなっているという弱点を突かれた格好となります。

画像5

 オルゾフオーラは墓地も活用しますが、《憎しみの幻霊》《スラム》といった墓地に依存しないアドバンテージ源がメインなので、この点が黒単やラクドスアルカニストと同じ方法(《影の評決》や墓地対策)で対処されづらい理由になっています。


■注目デッキ1:ディミーアコントロールt《白日の下に》

AN_ACTUAL_POTATO (8TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12269162 ON 03/06/2021
 
planeswalker (2)
2 《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
 
creature (6)
3 《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies》
2 《残忍な騎士/Murderous Rider》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
 
sorcery (12)
4 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《血の長の渇き/Bloodchief's Thirst》
1 《絶滅の契機/Extinction Event》
1 《衰滅/Languish》
4 《白日の下に/Bring to Light》
 
instant (12)
4 《選択/Opt》
4 《致命的な一押し/Fatal Push》
2 《塵へのしがみつき/Cling to Dust》
2 《否認/Negate》
 
enchantment (4)
4 《サメ台風/Shark Typhoon》
 
land (24)
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
3 《湿った墓/Watery Grave》
2 《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway》
4 《清水の小道/Clearwater Pathway》
2 《闇孔の小道/Darkbore Pathway》
4 《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》

4 《寓話の小道/Fabled Passage》
1 《森/Forest》
1 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
 
sideboard (15)
3 《強迫/Duress》
2 《霊気の疾風/Aether Gust》
1 《取り除き/Eliminate》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
2 《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》
1 《絶滅の契機/Extinction Event》
1 《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》

 青いデッキとしては最多となったディミーアコントロール。基本的に従来の通り純正青黒2色型が主流で、いずれも《ティボルト》コンボ(《ヴァルキー》+《風への放流》)も組み込まれていません。有名ストリーマーの"kanister"ことPiotr Głogowski氏も上記コンボを搭載したコントロールで入賞するなどしていましたが、完全に見なくなりました。流行り廃りは怖いですね。

 代わりに登場したのが、このリストです。見た目は普通のディミーアコントロールですが、《白日の下に》がフル搭載されています。

画像6

 2色デッキでも使用可能な《ゼイゴスのトライオーム》、マナ基盤を妨げない各種《小道》を採用して、《白日の下に》の収斂で3~4色を支払えるようにしています(白マナは出ない設計です)。

 これにより、マッチアップによっては弱い《ゲトの裏切り者、カリタス》や《衰滅》《絶滅の契機》などを1枚差しで運用できるようになっています。当然、5色ニヴミゼット同様に、《ティボルト》の踏み倒しも可能です(収斂が4までで止まってしまうので、残念ながら《影の評決》は不採用です)。

画像7

 5色ニヴミゼットとの一番の違いは、軽量スペルを運用できることです。ディミーアコントロールを基調としたこのデッキであれば、ハンデスや打ち消しによって相手のリソースを削り《ティボルト》着地、というプランが成功します。

 軽めに動けるディミーアコントロールと、《白日の下に》の柔軟性が合わさったいいとこ取りのデッキ。《時を解す者、テフェリー》の禁止もあり、活躍の幅が広がったカードなので、今後こうしたタイプのデッキも出てきそうですね。

■注目デッキ2:青信心t緑

LAA11 (3-1)
PIONEER PRELIMINARY 12269178 ON 03/08/2021
 
creature (30)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
1 《ラノワールの幻想家/Llanowar Visionary》
2 《タッサの神託者/Thassa's Oracle》
4 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1 《航海の神、コシマ/Cosima, God of the Voyage》
4 《玻璃池のミミック/Glasspool Mimic》
4 《発現する浅瀬/Risen Reef》
3 《波使い/Master of Waves》

3 《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened》
 
instant (6)
4 《集合した中隊/Collected Company》
2 《魔術師の反駁/Wizard's Retort》
 
enchantment (2)
2 《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
 
land (22)
3 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
4 《樹皮路の小道/Barkchannel Pathway》
4 《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
4 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
3 《島/Island》
 
sideboard (15)
1 《巻き添え/Run Afoul》
4 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
4 《神秘の論争/Mystical Dispute》
4 《幻惑の旋律/Entrancing Melody》

 黒単、ラクドスアルカニスト、オルゾフオーラ、5色ニヴミゼット……遍く黒系デッキ(というか《思考囲い》《致命的な一押し》)の躍進に押され、いつのまにか緑単信心はメタゲームから姿を消しました。

 そんな中現れた《ニクスの神殿、ニクソス》の文字。復活か?と思ったのもつかの間、青単信心タッチ緑という奇怪なデッキに使われていました。紹介します。

 インバーターコンボ同様、最終的には《タッサの信託者》による勝利を狙うデッキですが、その過程に使われるのが《波使い》と《発現する浅瀬》

画像8

 《発現する浅瀬》がいる状態で《波使い》を戦場に出すと、出したトークンの分だけ《発現する浅瀬》の能力が誘発。どちらかが複数出ていれば驚くべき速度でライブラリーが削られ、土地が伸び手札が増えます。(ついでに《コシマ》のカウンターもどんどん増えます)

画像9

 上記コンボによってライブラリーをリソースに変換、そのリソースでさらにライブラリーを削り、伸びた信心から《ニクソス》&《ガドウィック》または大量の土地を出して《コシマ》で大量ドロー、さらに……という動きを繰り返し、《タッサの信託者》でフィニッシュする、という豪快なデッキです。

 信心など戦場の状況によっては《集合した中隊》でワンショットキルを狙うこともできますし、《波使い》のトークンで殴り倒すパターンもあり、コンボ一辺倒ではない攻めも可能です。

画像10

 アドバンテージ源兼コンボパーツの《発現した浅瀬》は早期着地と場への定着をしなければなりません。マナクリーチャーで加速した上で《玻璃池のミミック》で頭数を増やしておき、コンボ達成速度を速めます。《発現した浅瀬》や《ミミック》を一気に増やせるかもしれない《集合した中隊》も、早期コンボ達成に大きく貢献します。

 1年以上前ですが、プロツアー名古屋2020で青単信心型インバーターコンボが猛威を振るいましたが、青型の信心デッキの登場は久々です。クリーチャーベースのデッキであり《致命的な一押し》の存在が逆風ですが、こうした新しいアイデアがどんどん出てくるといいですね。

■終わりに

 黒単やラクドスアルカニストは《浄化の使徒》《運命の神、クローティス》できっちり対策され、早くもメタゲームが動きました。前週末が中断期間になっていたため、今週末のPioneer Challengeからはまたメタゲームがシフトしそうな予感です。今後の動向にご注目ください!

いいなと思ったら応援しよう!

とけいまわり
原則、全記事全文無料で公開していますが、モチベーション維持や更新頻度の向上、家族サービス費用、コンテンツ精度の確保等のため、あなたからのサポートを随時お待ちしております。たとえ少しずつでもご支援いただければ、これほど嬉しいことはありません。よろしくお願いします!