卒業、はじまりの日
2021年3月23日。快晴。ここTOKECOMでは、二年ぶりの学位授与式が挙行されました。感染予防対策をとった制限・縮小開催ではあったものの、久しぶりに顔を合わせる、集うことへの喜びは一入で、晴れ着で華やぐ会場に、たくさんの笑顔が咲きました。
動画視聴となった式典では、コミュニケーション学部生が代表で答辞を述べました。本学で「まずはやってみること、やり切ることの大切さを学んだ」という力強いメッセージが、参列者それぞれの心に響きます。卒業式は、学生生活の「おわり」であるとともに、新たな世界に飛び込む「はじまり」の儀式でもあります。卒業生のたくましい背中を仰ぎ、祈りました。考え抜く知性と、しなやかに動く身体を益々磨き、どうか幸せに生きられんことを!
卒業生一人ひとりに学位記が授与されたあと、卒業制作・卒業論文の優秀賞、最優秀賞など各賞表彰式が続きます。今年の最優秀賞に輝いた論文のタイトルは「JC(女子中学生)を染める「韓国」−ローティーン雑誌『ニコラ』の分析から」。10代前半の女子をターゲットにした月刊誌『ニコラ』(新潮社)のバックナンバー約10年分を全て調査し、K-Popアイドルに始まった「韓国」もののコンテンツが、グルメからファッション、メイク、言語、雑貨、観光とあらゆるジャンルに拡大し「韓国=かわいい!」という価値観が支配的になっていくプロセスを明らかにしたものです。「なぜ私は、いつの間にか韓国のことが好きになっていたのだろう」。足元の国際化にアプローチした、「メディア×国際」のTOKECOMらしい論文でした。
最後にTOKECOM教員から祝辞(実に多様で個性的なひとり「一言」スピーチ)が送られ、このささやかで、特別な式はお開きに。お預けとなった懇親会、いつか必ずやりましょうね。どうかその日までお元気で。「母校っていいな」と思ってもらえるよう、私たちも頑張ります。教員にとっても、卒業式はいつも、はじまりの日。
(松永智子)
※山田晴通学部長よりいただいた祝辞を掲載します。
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コミュニケーション学部から卒業する皆さんへ
ご卒業おめでとうございます。
皆さんは、それぞれの形で、入学以来、共に学ぶ仲間と出会い、時には変わり者の教員に戸惑いながら試験やレポートをこなし、単位を積み重ねてきました。そして、いよいよ就活と卒業研究という段になって、コロナ禍が生活を一変させ、就活も卒業研究も、諸々困惑しながら悪戦苦闘したことかと思います。その経験が、皆さんのこれからの人生の糧となることを心から祈っています。
大学を出れば、世間は皆さんを社会人、一人前の大人として扱います。しばらくの間は「新人さん」扱いをされ、少々の失敗があっても大目に見てもらえることもあるかもしれませんが、これまで「学生さん」扱いのように甘えさせてもらえることはどんどんなくなっていきます。その先で、皆さんは、皆さんなりの「大人」になっていくのです。
大人になるということは、必ずしも社会や、会社や、先輩から与えられた型にはまることではありません。そうした周囲からの期待に応えられるようになること、大倉喜八郎の言った「責任と信用」を周りから獲得できるようになることが肝心なのであって、どのような形でそれを獲得するかは、皆さん一人ひとりの多様性があって良いのです。
社会人として、組織の中で、様々な人間関係の中で、また、ニューノーマルの窮屈さも受け止める中で、皆さんが自分らしい形で信頼される人間に成長していくことを期待しています。その時、様々な課題に直面して、再び悪戦苦闘する真っ只中で、大学で学んだ知識や、大学で鍛えられた覚悟、その他諸々の大学での経験が皆さんを支える力になれるとすれば、それは私たち教員にとって、最も喜ばしいことに他なりません。
様々な世界が、様々な人々との出会いが、皆さんを待っています。皆さんが、新しい世界に踏み出し、しなやかに、したたかに、存分に活躍されることを心から期待しています。卒業生に幸多かれ!
コミュニケーション学部長 山田晴通