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新任紹介/髙見由満子 この一瞬に誠心誠意を尽くす

2021年4月に特命講師として着任しました髙見由満子です。まずは私のキャリアから、そして担当授業への想いをお話します。


社会に出て34年ほど、企業経験の方が断然長く、大学勤務は8年目となります。大学院での専門はキャリアデザイン学、「大学生の大学から社会への移行の課題」、「授業の教育的効果と学生の学びと成長」を主に研究しています。

生まれたのは岡山の田舎、塾もない、野山を駆けっている環境で高校まで育ちました。海外に行くことが簡単ではなかった子供時代、ロサンゼルス在住の叔母を訪問したことは私にとってとてつもなく未知との遭遇でした。ドイツ語を専攻していた大学時代、留学(当時は一般的に1年間以上)したいと親に話すと、「そんな危ないことは許さない」と一蹴されたことを覚えています。1980年代、留学する人は、というよりも留学できる人はかもしれませんが、年間1万5千人ほどの時代です。結局、授業の海外研修参加という最も安全な方法で、ミュンヘンでのホームステイを許してもらいました。異文化と触れ合うために頑なに自分で世界への扉を開いていったことは、その後の私のキャリア形成において重要な役目を果たしたと言えます。

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立ちはだかるベルリンの壁崩壊。1990年10月3日、デュッセルドルフ駐在時、東西ドイツ統一の歴史的瞬間を体感することになった。

これらが功を奏して、初職は航空会社スチュワーデス(現在の客室乗務職)、当時の憧れの職業に就けたという訳です。受かるまでの苦労は数知れず、その後は想定外の23年間も勤務しましたが、仕事も上下関係も厳しい世界でした。常に他者視点に立ち、「お客様と向き合う」「一緒に働く仲間と向き合う」、瞬時に関係構築をすることが必要な仕事です。また、多国籍の仲間と働くことから、日本とは異なる世界を理解することも必然でした。仕事は、「はじめまして、よろしくお願いいたします」で始まり、長いステイでは10日間以上を共に過ごし、「お疲れさまでした。ありがとうございました」で終わる、初対面の仲間とチームで仕事を成し遂げることが日常的にある仕事です。茶道に由来する「一期一会」という心構えを持ち、誰に対してもこの一瞬に誠心誠意を尽くすということを日々実践する中で、その大切さ、素晴らしさを実感してきました。

実は、フライト以外に様々な業務を経験する機会もいただきました。訓練部教官、社員教育、研修担当、手話インストラクターなど「人を育てる仕事」、また入社面接官、広報部社内報編集長など「全社的な仕事」、すべては偶然に舞い込んできた仕事です。その仕事に自分が向いているのか当時は分かりませんでしたが、好奇心を持ち全力投球したことが、実は私のキャリアを創り上げていく上での基盤となっていました。その後、病気休職を経て退職、暗中模索を経験するも、コーチング、キャリアカウンセリング、大学院などの学びに辿り着き、巡り合えた数々の職に光を見出せたのは、オープンマインドでいたこと、人とのかかわりを持ち続けたからでしょう。これらは、授業でも扱うキャリアカウンセリングの理論家クランボルツの唱える「計画された偶発性理論」を、私自身が身を持って経験してきたことです。

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人生は想定外なことばかり、まずは読んで感じてほしい。『その幸運は偶然ではないんです!』(J.D.クランボルツ、A.S.レヴィン著)

このような経験と海外駐在や世界50ヵ国ほどを訪れた経験も活かして、皆さんがグローバルな視点を持ち働くことを考えたり、自分らしさを活かす生き方を考えたりすることを後押ししています。「ホスピタリティとコミュニケーション」の授業は、ロールプレイを通しておもてなしの心や社会で必要とされるコミュニケーションについて考える、「グローバルインターンシップ」の授業は、海外の方と働く体験を通して異文化理解を深める、「キャリアデザイン発展」の授業は、キャリアの理論に照らして自分と向き合い、生き方を考えるという内容です。これらの授業における工夫は、皆さんの成長を促進できるように「振り返りとフィードバック」をふんだんに取り入れている点です。その時間その瞬間でしか学べないシナジー効果を期待して、「学生同士が学び合う」ことも重視しています。皆さんの潜在的な力を引き出すことができますように。

(髙見由満子)

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