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国立マレーシア科学大学(USM)日本文化センター訪問記:日馬教育交流を考える

立春を過ぎて、ここ国分寺にも雪が舞いました。キャンパスは閑散として、銀世界の静寂も深まります。みんな、どこへ? 海外へ。いざ春休み、国際コミュニケーション学科生が海外研修プログラムに参加する季節でもあります。ある学生はフィリピンへ、またある学生はオーストラリアへ。各々の挑戦を見守る中村忠司教授(観光学)より、マレーシア訪問記をお届けします。

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2023年11月に本校とMOU(学術交流協定)を結び、海外協定校になった国立マレーシア科学大学(マレーシア・ペナン州)を1月に訪問しました。マレーシアの面積は日本の約0.9倍、人口は約3350万人(2023年)です。民族はマレー系を中心に中国系・インド系など、宗教もイスラム教や仏教・ヒンドゥー教・キリスト教など多民族・多文化社会の国として知られています。

大学のメインキャンパスのあるペナン島はマレーシアの北西エリアにあり、インド洋に浮かぶ大きな島です。ペナン島は、イギリスがマレーシアに最初に入植した地で、多くの歴史的遺産があります。島の中心であるマレーシア第2の観光都市ジョージタウンは、2008年にマラッカとともにユネスコ世界文化遺産に登録されています。訪れた時も、多くの外国人観光客が街歩きを楽しんでしました。

日本文化センターのあるUSMの建物

●国立マレーシア科学大学(USM)
USMは1969 年にマレーシアで 2 番目に設立された国立大学で、自然科学、応用化学、医療及び健康科学、薬学、建築科学、宇宙科学、社会科学、人文科学、教育学、芸術に至る広い分野のコースを提供しています。メインキャンパスはペナン島のジョージタウンとペナン国際空港のほぼ中間地点にあり、どちらからも車で20分ほどの時間で行くことができます。広大な敷地(東経大の約70倍)を有していて、キャンパス内の移動は車や自転車、キックボードなどです。教育施設以外にも伝統あるレストランやおしゃれなカフェ、博物館、モスクがあります。授業はマレー語と英語で行われ、多くの留学生が学んでいます。

キャンパス内にある伝統的なレストラン
フィッシュ&チップスをいただく。
キャンパス内には巨大なモスクも。

●日本文化センター(Japanese Culture Center)
日本文化センターでは、徳永誠センター長(日馬教育交流担当)にマレーシアの留学事情などについて伺いました。このセンターは2015年に開所されたTORAY-USM Knowledge Transfer Centerの3階にあります。この建物は東レ・マレーシアの創業40周年を記念し、教育及び地域社会への貢献という理念のもと、地域の知識の保存とグリーン・テクノロジーの推進を目的に建設されました。日本文化センターでは、日本人学生に対するさまざまなサポートを実施しています。また、USMの学生や地域住民に対しては、日本の伝統文化やポップカルチャーに触れるイベントなどを開催しています。

和服の着付けスペース。畳カーペットもある。
日本語書物の本棚には、歴史もの、人気マンガも豊富。

●マレーシア留学の魅力
徳永センター長のお話によると、マレーシア留学の魅力は多民族・多文化社会であり、様々な面で多様性を体験できることが挙げられます。また英語が日常の中で使えることも大事な点です。費用面でも欧米の大学への留学費用が高騰する中で、マレーシア留学は学費、生活費、暮らしやすさなどの面で実現しやすいと言えます。リーズナブルなコンドミニアムも大学周辺にあります。さらに政治が安定していて、銃や麻薬への規制が厳しく、治安もとても良いとのことです。
ただ新型コロナ感染症の収束後も、韓国や中国、中東などと比べ日本からの留学は少ないのが現状のようです。ジョージタウンの街中でも韓国や中国からの若者に比べ、日本の若者に出会うことは極めてまれでした。

ヒンドゥー寺院
キリスト教会

●世界遺産ジョージタウン
中華圏のお正月である春節前ということもあって、ホテルや街の通りは赤い中華提灯がたくさん飾られていました。ジョージタウンの街並みを代表する建築がショップタウンと呼ばれる赤瓦の華南地方にルーツを持つ家並みで、多くは1階がお店になっています。また徒歩で散策できる範囲内に、白亜の協会やエキゾチックなヒンドゥー寺院、モスク、中国寺院が点在していて多文化を感じます。
また見逃せないのが豪華なプラナカンの住宅です。プラナカンとは、15~16世紀に中国の、主に福建省から渡来して現地のマレー民族と混じり合いながら、豪華絢爛な文化を創り上げた人々です。東洋と西洋が融合したエキゾチックな空間を堪能できます。最近の話題は2012年頃から始まったストリートアート作品です。壁画やアイアンアートなど50カ所以上で楽しむことができます。

ショップハウスが広がる街並み
プラナカンの豪邸(チョンファッツィ・マンション)
プラナカンの豪邸(ペナン・プラナカン・マンション)
アルメニア通りのノスタルジックな壁画

USMの学年歴を見ると10月から1期、3月から2期が始まります。欧米も秋入学が多く、日本の4月始まりはスタンダードではないことを改めて考えさせられました。

※本調査は2023年度トランスコスモス財団の調査研究助成の対象です。

(中村忠司)

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