「疲れた心」に特効薬を〜星組「RRR」〜
星組公演「RRR」が現在公演中です。
今回の公演は終演後のお客様の興奮度が高い…寒い冬の季節であるにも関わらず、頬は赤らんで気分が高揚して劇場を出てくる様子が見えます。そんなお客様のお顔を拝見していると、私の心も弾んできます。
今回の公演は大ヒットしたインド映画を舞台化したものですが、「歌劇」で演出の谷先生が仰っていた様に、ストーリーにはスピード感がありCGなどのデジタルの技術を駆使した映像技術が随所に使われた映画であるにもかかわらず人間の普遍的な心理をリアルに描いた部分も含まれていて、仲間を想う気持ちや人への愛情に涙するような、心に沁みるストーリーにもとても感動します。あまりの非現実的だと共感できず、嘘の世界と現代の技術的進歩に対して凄いなと、自分とはかけ離れた世界に対する様な感覚に陥りますが、この物語は自分たちが生きる世界にもきちんと共感して語り掛けてくれるような部分が数多くあります。映画を観て何度も泣きそうになった私ですが、舞台を観ても、特にむち打ちの場面のビームの歌にはとても感動しました。礼さんの繊細で強い歌声は休演期間をへて更に情緒が増したように感じます。歌声は劇場に響いて、「声」の神秘を感じさせるほどです。物語はスピード感があってあっという間にクライマックスまで行くのに、ちゃんと心に深く入ってくる時間もつくってくれる演出に創られていました。
そして何より「星組」という組のエネルギ-は何にも代えがたい。私がいた「月組」とはまた違った、100年以上かけた歴史の中から紡ぎ出す星組のエンゲージメントを感じています。
ショー「ヴィオレトピア」は若手演出家のデビュー作品。指田先生の表現したい気持ちが溢れています。やりたい事が前面に見えてくる事はその先生の中の人間としての表現したい欲求が溢れているという事。それが見えるだけのエネルギーを秘めているのだという事に可能性を感じました。そしてその先生の願望を星組生がとても誠実に取り組んでいる姿に清々しさがありました。
ロビーを歩いて、話しかけて下さるお客様は何か抑えきれない思いを抱えて来られる方が多いです。悩みの時もあれば、舞台の感動を伝えたい時もあります。私自身も共感できる事が多々。舞台は心の栄養なんだなと思います。泣いたり笑ったり、心配したり守りたいと妙に純粋になったり。今日お話ししたお客様。「私、これを観て元気になって帰るのよ!」と勇んでホテルを出ていかれました。チケットを取って、家から外に出て劇場に来て、舞台を観て帰るまでの道のりは熱意がないと続くものではありません。それでも「心の栄養」を得たい。特効薬は宝塚観劇。
夢や憧れなんかでは幸せにならない?
いえいえ、それこそが幸せの特効薬。心を豊かに…
すーさん
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