周りからの「声」に対して
大坂なおみさんの記者会見拒否の問題が取り沙汰されています。世界的に注目されているテニス選手である大坂さんの問題は、我々が仕事や生活をしていく中で聞こえてくる周りからの自分に対しての「声」をどう扱っていくか。という全く世界の違う世界な様で、似た部分も沢山ある様に思いました。
私は舞台に立つまでのお稽古や舞台が始まってからの、駄目だし、批評に対して頭を悩ました事が沢山ありました。自分へのコンプレックスからか、一つの仕事に対して思い入れが強く、自意識過剰で、批判される事で全人格を否定された様な生きる希望を失う様な気持ちになる事もありました。時には眠れずどうしようも無い不安に侵された事もありました。表現をしている世界の人間は当然の様に評価され批判もされるべきという考えの下、言われたご意見に対して、人として問題の無い対応の仕方は何であろうと頭を悩ませながら、時には「有難うございます」と辛い気持ちを隠して笑顔で答える事もありました。また、日常の中でも特殊な世界に生きる我々は時に偏った見方や当然そうであろうといった勘違いをされる事もありました。感情を隠すほど、胸に重たいものがのしかかり、グサリと痛むのです。それは重なってくると大きなストレスになりました。
ある時に、身体に支障をきたし、湿疹が出たり声が出なくなりました。自分を追い詰めてまで周りの「声」を聞いて、努力し続ける事が果たして幸せであるのか。私は自分に問いました。もうやめよう、答えはNOです。私は自分を守る事にしました。どんな批判を受けてもそこまでの自分を自分で評価する様にしました。そして、必要以上の言葉や感情を感じた時は傷ついた自分の感情を表現する事にしました。泣く事。怒る事。迷う事。何も言わない事。そうすると相手の状況が見える事もありました。自分が相手から感じ過ぎていた事もあるのです。そして、相手と自分に上手く向き合える様に上手くコントロールしようと努力しました。
心の健康こそが何よりも良い表現に繋がると信じています。そして心が健康でない状態から出たものは、偶然であり実力でないと思っています。
いつも舞台で戦うタカラジェンヌ達。彼女達は周りの「声」と戦っています。自分の「声」とのバランスをとりながら、上手く自分をコントロールしてほしいと思います。
もうすぐ1年ぶりの新人公演ですね。
真面目な下級生ほど自分らしさを失う時がありました。周りの「声」を聞き過ぎて、自分の感じた事が出来ないのです。己が感じて出していなければ、どんな感情も感性も伝わりません。どうか若さがイキイキと輝き、可能性に満ちた舞台を。
すーさん