80年代
今日は仕事と私用半々で、いつもと違う道を走り、いつもと違う本屋で、いつもと同じ雑誌を買った。
いつもと違うところでいつもと同じものを買うと、慣れない場所に慣れた感覚が持ち込まれて、ちょっと不思議な気分になって気持ちいい。
今日の本屋さんは偶然見つけた小さな店で、僕と同年代くらいのおばさんがレジに立っていた。
「袋はいりますか?」
「おねがいします」
彼女は手早く会計処理をして、紙袋を取り出しながら言った。
「次々に亡くなってしまって。寂しいですね」
嗚呼。ついにここで、現実に追いつかれたか。
いや、実は僕、なんというか、見てみない振りをしていた……とまで大げさじゃあないけれど、周囲や世間の嘆きは見ていながら、どうもなんとなく、消化できずに悶々と、意識の中で避けていた話題だった。
でも、そうだよね、彼女も僕も、同じ世代の人(どこまでが? という厳密さは置いておきつつ)は、鳥山明さんの作品を初めて見たときの衝撃だったり、日曜夕方の思い出だったりを共有しているんだよなあ。本屋さんのレジに立つような人であれば、なおさらだろう(僕は僕で、当時「チルをやっていた人がちびまる子ちゃんやるのか~」と思ったりしてたけども)。
帰りがけ。
東中野の大盛軒に入ったら本田美奈子のマリリンがかかった。安全地帯のワインレッドもかかった。まったくの偶然だけれども、鳥山明さんやTARAKOさんを初めて体験した時代、あの本屋さんの女性や僕が10代の頃の曲たちだった。
にしても今日も寒いっすな~。