北海道③

記事は前後するが浜中町での二日目はカヌー(カナディアンカヌー)
本当はシーカヤックを予定していたが、強風のため予定を変更し芦田さんがアレンジしてくれたコース。同行の小林さんはそもそもカナディアンカヌーの日本の草分け的なレジェンドなので、私一人に対して今日はガイド2人いると言う大変贅沢な布陣で臨むことになった。

ランドエッジ敷地内のキャンプサイト

この日の朝はテントで目覚めたのだが(最低気温は5℃)相変わらず3時半ごろ明るさで一旦目を覚ました。それでもこの日は5時まではシュラフの中でゆっくりしていた。朝の散歩がてら前日e-MTBで行ったはじまりの丘テラスに行って冷たい空気を楽しんで戻ってくるとみんな既に起きてきており、朝食をとりながら少し話をしながら今日の予定などを打ち合わせた。

別寒辺牛(べかんべうし)湿原の別寒辺牛川を漕ぐコースは名簿に記入し入域する仕組みになっているようで必ず手続きをしているようだ。事故防止や環境保全の面では役に立つ仕組みで参考になる。

流れは道路に沿っているわけではなく特定の場所からエントリー

カヤックにしても、カヌーにしてもサバニにしてもパドルスポーツは、傍目にはどれも同じように見えるのかもしれないが、少し経験してみるとそれぞれ理に適った方法や道具があり奥が深い。
サバニもカナディアンも同じシングルパドルだが、サバニのウェークは表と裏が決まっている(水を捉える面は中心を厚く山形に削り出す)のに対しカナディアンのパドルは裏表同じ、どちらでも漕ぐことができるようになっている。
このおかげで手の中でパドルを回しながらスムーズに連続して漕いだり、スカーリングを使って横移動など細かな操船ができるようになっている。
どちらが優れていると言うわけではなく、長い年月をかけて進化してきた形なのでそれぞれの最適解ということになるのだろう。
ちなみにサバニのウェークは沖縄伝統空手の演舞にも登場し武器としても使うことができるようだが、カナディアンのパドルはどうだろうか?

さて、別寒辺牛川の中流域は湿原の中を蛇行しながらゆく穏やかな流れだった。
水面を漕ぐ目線からだと川縁はやや目線の上になるので遠くまで見渡すことはできない。それが逆に奥に広がる湿原の広さを感じさせているところが面白かった。
木々は新緑という感じで全体的に柔らかな印象。芦田さんは周辺の植物・樹木にも詳しく、時折そうした説明を加えてくれる。
小林さんはさすが野鳥の会の方だけあって鳥に詳しい。パドルの音と鳥の声しか聞こえない静かな川で、とても上手な鳴き真似で鳥と会話している。
ダブルガイドの本領発揮だ。

湿原ではヒグマに出会うこともあるらしく、クマに出会った時のリアルな話は面白い。しかし本当に出くわせば笑い事ではないのだろうと思うが、今回は姿を見ることはなかった。(芦田さんの腰にはクマ撃退スプレーがぶら下がっていて本気度が伝わる)

景色や自然もそうだが私はやはり、技術的な部分に興味がある。根本的に上手くなりたい、という気持ちが強いのだ。
のんびり景色を眺めながら「漕がなくていいならそれでもいい。」というのではなく、自分でやってみたいし、どうせやるなら上手くなりたいと思ってしまう。
随分前に何度かカナディアンカヌーも乗ったことはあったが、その時は教える方もいい加減で、曲がったら反対漕いでと言われたような。
しかしシングルパドルで船底の平らな船を漕ぐというのはなかなか大変で、理屈で考えれば漕ぐ側と反対側に曲がり続ける。
それをまっすぐ漕ぐためにはいろんな技術を組み合わせる感じなのだが、今回は丁寧にわかりやすく教えてもらったのでよく理解できた。(公園のボートみたいに向かい合って座りガイドの顔を見ながら教わる方法はいいアイデアだと思った)
パドルの入水の位置、ストロークの方向、最後の手首の使い方、漕ぎ終わりに効かせる舵効果、リカバリーなどを、船の動き、川の流れ、行きたい方向や速度に合わせて調整するのがとても面白い。
意外と上手くいく感じがしたものの、最後にソロで漕いでみるとなかなかどうして、思うようにいかない。無駄に蛇行しながら進んでいくしかないという感じ。
今練習中のサバニの漕ぎとも大いに関係があり、今回は特にリカバリーについては得るものが大きく、座間味でのトレーニングにも活かせることができた。収穫である。

しかし、この前日のe-MTB同様「もう少し漕ぎたい」という気持ちを帰ってきてからもずーっと抱いている感じがする。またやってみたいという気持ち。
いいガイディングの手本はいろんなところにある。
ガイドが何を伝えるか、ではない。
ゲストが何を感じたか、に尽きる。
今回はゲストは私なので私の中に残った「もう一回!」という気持ち。
こんな気持ちをゲストに抱いてもらうために、ガイドのやるべきことは?というところを課題にまた前進していこう。

北海道シリーズはひとまずまとめ。
今回お世話になった
小林さん、南富良野観光協会の皆さん、芦田さん、伊藤さん、ランドエッジに集まっていただいた浜中町の皆さん、ノースギア坂本さん、その他大勢の方々
ありがとうございました。



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