ツアーガイドとして…
慶良間諸島国立公園でネイチャーガイドという立場でお客さまに接している。
きれいな海がなんといっても島の魅力であるが、私はあえて海から離れて陸のコースを中心にガイドを行なっているちょっと異色の存在だ。
慶良間の中でも渡嘉敷は山も高く緑も深い。そのおかげで陸の生き物や植物もとても豊かなので案内するネタも豊富というわけだ。
だが、「この花は〇〇で、この虫は〇〇です」と解説して回るだけではつまらないと考えている。
緑の中を歩き回ったり、坂道の多い島をE-Bikeで疾走しながら思いがけず目の前に広がる「慶良間ブルーに浮かぶ慶良間の島々」が、どーんと目に入ってくることに感動したり。旬の木の実や野生のフルーツを味わったり。
お客さまの心の動きにいつも共感したいと思っているのだ。
理想は、ガイドをしているうちにお互い友人同士のような関係を築けること。しかもお互いを尊重し合う感じがベスト。
最近この感じが自然に得られるようになってきたのではないかと思っている(自惚れは禁物)
以前は、しっかりとコースを決め、時間配分を決め、なるべく多くの知識を準備して臨んでいた。だからお客さん同士でおしゃべりして盛り上がっている人たちや、立ち止まってついてきてくれない人、自分より知識の豊富な人が苦手だった。
その頃は「ガイドさん沖縄出身じゃないのによく勉強してるね」と言われたりしていた。
でもだんだんこちらも肩の力を抜くことができるようになり、景色やものではなくて、お客さまの気持ちの方を見ることができるようになってきたのかもしれない。
そしていただく感想も「こんなところに住んでみたい」「田舎が最高だねー」みたいなのが増えてきた。私に対する感想ではなくて、お客さま自身の心に浮かんだ言葉。もうそこにガイドがいなくなっている。
「消えるガイド」じつは数年前からこの言葉を意識するようになった。
「すごいガイド」である必要はなく、主役はお客さま。
今、私は今どうやって消えるかをテーマにガイドとして日々精進している最中かもしれない。