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第14回 全日本ろうあ連盟の権力構造――閉ざされた組織の支配者たち

2025年東京デフリンピックの開催が近づく中、全日本ろうあ連盟の組織運営に対する疑問が次々と浮上している。選手たちへのパワハラ、不透明な資金の流れ、メディアへの圧力といった問題に加え、この組織の権力構造そのものが、長年にわたって不正を生み出す温床となっているのではないかとの指摘がなされている。

本稿では、全日本ろうあ連盟の幹部たちがどのようにして組織を支配し、内部の声を封じ込めてきたのか、その背景に迫る。


権力の集中と閉鎖的な意思決定

全日本ろうあ連盟は、もともとろう者の権利を主張する圧力団体としての役割を果たしてきた。しかし、スポーツ分野においてもその影響力を強めるにつれ、ガバナンス機能の欠如が深刻な問題となってきた。

連盟の幹部たちは長年にわたり固定化されており、意思決定の透明性が欠如している。内部の理事会では限られた人物たちが発言権を持ち、異論を唱える者は排除されるという体制が築かれている。特にスポーツ部門では、幹部の意向が絶対視され、選手や関係者の意見が無視される傾向が強まっている。

このような閉鎖的な組織運営は、選手たちのキャリアにも直接的な影響を及ぼしている。過去には、特定の選手が幹部の意向に沿わない行動を取ったことで、代表選考から外されるという事例も報告されている。


幹部たちの人脈と政治的影響力

全日本ろうあ連盟の幹部の多くは、政府や自治体、企業との強い結びつきを持っている。特に東京都との関係は深く、デフリンピックの開催に向けた資金提供や運営支援の交渉において、強い影響力を発揮してきた。

また、連盟は「難聴対策推進議員連盟」などの政治団体とも連携しており、政策決定の場においても発言権を持っている。こうした背景から、連盟の運営に疑問を抱く声があがっても、それが政治的な影響を及ぼす可能性があるため、批判が封じられやすい状況となっている。

さらに、全日本ろうあ連盟は皇室とも関係を持っており、特に佳子内親王がデフリンピック関連の活動に関与していることが注目されている。こうした要因が相まって、組織の実態を公にすることが難しくなっているとの見方もある。


内部告発を封じ込めるシステム

全日本ろうあ連盟には、内部からの告発を抑え込む仕組みが存在する。前回までに報じた通り、選手や関係者がパワハラや不正を訴えても、それが正式に取り上げられることはほとんどなく、むしろ通報者が組織内で不利な立場に追い込まれるケースが多い。

例えば、選手が協会の不正や不透明な選考基準について問題提起をした際、その後の大会選考で不当に落選させられる、もしくは選手としての評価を下げられるといった事例が確認されている。また、ろう者テニス協会では、パワハラ問題を指摘した選手に対し、協会側が議事録の提出を拒否し続けるなど、問題を隠蔽する動きが続いている。

コンプライアンスチームを設置しているにもかかわらず、こうした問題がデフリンピック開催前に表面化しないよう圧力がかかっていることも、内部関係者の証言から明らかになっている。


東京都民の税金が支える組織の説明責任

デフリンピックには東京都の巨額の税金が投入されている。しかし、その資金の使途については不透明な部分が多く、説明責任が十分に果たされているとは言い難い。

デフリンピックの運営に関わる補助金や助成金の流れは、一部の幹部が独占的に管理しており、選手や関係者がその詳細を把握することは難しい。こうした状況が続けば、税金が適切に使われているのかどうか、東京都民としても疑問を持たざるを得ないだろう。

全日本ろうあ連盟は、これらの問題に対する説明責任を果たすべきであり、デフリンピックを成功させるためにも、ガバナンスの改善が急務となっている。

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