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第12回 全日本ろうあ連盟と政治――デフリンピックの裏に潜む思惑
2025年の東京デフリンピックは、聴覚障がい者のスポーツ振興と社会的な認知向上を目指す一大イベントである。しかし、その裏では、全日本ろうあ連盟が政府や政治家との関係を強化し、自己の立場を維持・拡大するために動いている実態が浮かび上がってきた。本稿では、全日本ろうあ連盟と政治のつながりを分析し、デフリンピックの名のもとに進行する政治的動きについて検証する。
政府との関係強化――「難聴対策推進議員連盟」との連携
全日本ろうあ連盟は、政策決定の場において影響力を強めるため、国会内の「難聴対策推進議員連盟」と連携している。この議員連盟は、聴覚障がい者の福祉向上を目的とするものだが、近年の動きからは全日本ろうあ連盟の組織維持を優先するような意図も見え隠れする。
本誌が入手した情報によれば、デフリンピックの成功を政治的成果とするため、一部の議員が全日本ろうあ連盟の問題を黙認し、ガバナンス不全の解決を棚上げしているとの指摘がある。さらに、パワハラ問題や資金の不透明な流れに対する調査が進まない理由の一つに、議員連盟の「静観の姿勢」があるのではないかとみられている。
デフリンピックの政治利用――東京都の税金は誰のために?
デフリンピックの開催には、東京都の巨額の税金が投入されている。しかし、その運営は全日本ろうあ連盟に委ねられ、そのガバナンスに対する十分な監査が行われていない。都民の税金が適切に使われているのかという視点が欠落している状況だ。
読売新聞(2023年11月14日)の報道によると、全日本ろうあ連盟の会長は「2025年東京デフリンピックではコンプライアンスの徹底が重要」と述べている。しかし、現場ではパワハラや資金流用疑惑が相次ぎ、その言葉とは裏腹に、問題の隠蔽が行われている実態がある。
また、政府のスポーツ政策においても、デフリンピックは重要なイベントと位置づけられているが、その裏では、全日本ろうあ連盟がデフリンピックを利用して自己の組織強化を図り、さらなる助成金の獲得を狙っているとの指摘もある。
ガバナンス崩壊の中で進むデフリンピック
全日本ろうあ連盟が政治とのつながりを強めることで、デフリンピックに向けた批判の声は抑え込まれつつある。特に、内部告発を行った選手や関係者は、政治的な圧力の影響もあり、発言の場を失いつつあるという。
本誌が入手した関係者の証言によると、デフリンピックまで問題を「表在化させない」ようにする動きが内部で強まっている。外部弁護士を入れたコンプライアンスチームが設置されているにもかかわらず、その活動が形骸化し、実際の調査や是正措置は行われていない状況だ。
求められる説明責任と透明性
東京都の税金が投入される以上、全日本ろうあ連盟は、都民に対し説明責任を果たさなければならない。しかし、これまでの経緯を見る限り、その責任を果たそうとする姿勢は見られない。
全日本ろうあ連盟がデフリンピックの名のもとに権力を維持し、不正を隠蔽する組織であり続ける限り、デフスポーツの未来は明るくない。選手たちが健全な競技環境で戦えるよう、組織改革が求められる時期に来ている。