若者は必ず反抗する?

2016年7月8日 ·   facebook投稿

選挙のころになると、つい色々と考えてしまって、つい色々と口走ってしまって、いけないですね。本来は政治的な人間ではなくて、政治的ではあっても、文化なり経済なりの迂回路を通って政治性を示唆しようとしているのですが、「喧嘩」の季節だとかっかしてしまうものなのかもしれません。

旧聞ではあるのですが、東大新聞が新入生にアンケートをして、4割が自民党支持で、民進党支持はわずか4%だということが話題になりました。
http://www.todaishimbun.org/survey20160420/

直近では映画監督の森達也さんが、講義をしている明治大学で聞くと、学生の9割ぐらいが自民党に投票すると言ったそうです。だからって、「あほな学生は選挙に行くな」という森さんの煽りもよろしくはないと思います。
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/07/06/67558/

その一方で、レゲエロック歌手の三宅洋平さんの「選挙フェス」がことのほか共感を広げているという話もあります。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185153

一次元的な思考からすれば、「最近の若者は大勢順応で、怒りを持たず、反抗心が足りない」というおやじの小言になります。正直に言えば、そう感じなくはないので、もやもやとはします。

ただ、ちょっと立ち止まって考えると、「若者は若者なりに何かに反抗しているのではないか?」という問題設定があり得るのではないかと思います。
実は、それが何なのか、分かりません。あたしたちの世代ぐらいまでだと、若者が左翼思想にかぶれるのは自然なことでしたし、理屈が苦手な同世代も不良になったり、パンクになったり、学校の窓ガラスを割ったりして、反抗はしていたのだと思います。

いまはアラフォーになった団塊ジュニアが若者だった十数年前に、なぜ若者が右傾化しているかという議論がありました。そのときの当面の答えは、「親や教師が戦後民主主義だったので、その反抗として右傾化」したというものだったと記憶しています。それはそれで反抗していたのです。

若者は反抗するものだと、とりあえず定理として設定します。そうすると、自民党を支持するいまの学生さんも、もしかしたら、何かに反抗しているのかもしれません。きっと反抗しているんだと思います。

しかし、おじさんになって、身近に若者がある程度の量がいないものですから、その反抗の対象がなんなのか、身体的に分からないもどかしさを感じます。

仮説はいろいろ立てられます。いまの学生の父親たちは「50オトコ」です。やさしさとともに、斜に構えて「関わらない」という両方をもった世代です。民主的なようでいて、体制的でもあり、なんだかはっきりしない。物事に正面から向き合わないヌエのような感じです。

もしかしたら、そういう中途半端さに「反抗」をして、与党的なものを支持するのがいまの若者かもしれない、とも考えるのです。でも、素直に「空気」を読んだ結果、そうなっているのかもしれませんし、ほんとによく分かりません。

たしかにあたしたちの世代の多くは、若者のころに選挙で「自民党」と投票用紙に書くには、かっこわるく、ださい行為でした。しかし、だからといって、いまの若者が自民党を支持するのはけしからんで済ませてしまうと、それは思考停止のような気もします。

「若者は必ず反抗する」という定理が崩れたとしたら、それに対応しないといけませんし、あたしたちの理解できない世界で何かに反抗しているのであれば、それをすくいとらないといけないとは思います。その意味でも、今度の選挙の結果とその分析をみてみたいと思う、「成り行きを注目」(業界用語でナリチュー)という、あまりおもしろくない締めくくりになったことをお詫びいたします。

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