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ニンジャスレイヤーTRPG2版用シナリオ:裏切り者の最後の夜
はじめに
このシナリオはニンジャスレイヤー2版TRPG用のシナリオである。
名声6以上で、公式シナリオ『ヨロシサン墜落機の積荷』を高評価でクリアしたストリートニンジャのPC4人が次のシナリオとして遊ぶことを想定している。
もし新規作成したPCを用意するなら、28ポイントスクラッチビルドでのPC作成を推奨する(およその目安として【体力】8以上、回避ダイス10個前後、攻撃回数2-3回のPCを想定)。
シナリオの梗概
フリーランス・ニンジャであるPC達は、退役軍人パブでヘヴィレインから「警察庁に恩を売るチャンスだ」と囁かれ、ヴァニティと名乗るニンジャを紹介される。
彼女の依頼は、PCがNSPDの汚職警官の資金源となっている闇カジノを襲撃し、警官たちが襲撃対応に走っている間にヴァニティの部下であるニンジャ、コールドケースが汚職警官の拠点に侵入、様々な機密データを盗み出す……というもので、楽で美味しい仕事になるはずだった。
しかしながら、PCの知るよしもないこととして、ヴァニティは部下の人心掌握に失敗している。コールドケースは警察庁を裏切り、PCとヴァニティを嵌めて殺すつもりだ。窮地に陥ったPCたちはヴァニティと共にヤバレカバレの反攻作戦に出るか、それともネオサイタマから尻尾を巻いて逃げ出すかを選ぶことになる。
ダンゴウ
ヘヴィレイン:「警察庁に恩を売るチャンスだぜ。かなりいい金になるし、後腐れもない」
地の文:湾岸警備隊上がりらしいニンジャ、ヘヴィレインはPCにこのように伝えた。
夕暮れ時、お前たちが指定された地下駐車場で待っていると、スポーツカーが静かに入ってくる。車両から降りてきたのはクローンヤクザ数名、そしてパンツスーツ姿の女性ニンジャとコートにベレー帽の男性ニンジャだ。
ヴァニティ:「ドーモ、ヴァニティです」
コールドケース:「ドーモ、コールドケースです」
二人のニンジャはアイサツする。
依頼について、ヴァニティは以下のように口火を切る。
「まず、この依頼だけど。一晩で終わって、極めて簡単だけど、あなた達がプロじゃないとできないものよ」
「この依頼が終わり次第、あなた達はそうね、"我々が関与を否定することが可能"でないといけない」
「要するに、お金を支払った後はあなた達はこの事件と一切の関わりがなかったことになるってわけ」
「続けていい?」
PCが肯定すると、ヴァニティは続ける。
今夜、こちらが命令したタイミングで、テラースイコ・ギャングがやっている闇カジノ「オダイミョ・トウジン」を襲撃して金を奪ってほしい
襲撃の際にはPCはツチグモ・ギャングという別ギャングに変装することになる。これはPCに手が及ぶリスクを抑えるためだ。変装の衣装はこちらで用意している。
奪えるものは奪い、店員は皆殺しにすること。ただ、可能なら客は何人か生かしておいてほしい。
奪い取った金はそっくりそのままPCたちのものになる。見積は全員で万札:40前後。
ただし、襲撃後15分間は店の中に残り、客を威圧するなりボトルネックカットチョップするなりして暴れてほしい。
15分経過後撤収すること。カジノから少し離れた場所にクローンヤクザが車を回すので、それに乗って逃げること。
ヴァニティは「何故」15分間の時間稼ぎが必要なのかは言わない。ただし、PCのいずれかが「警察庁とこの依頼になんの関係があるのか」と問えば、彼女は以下のように答える。
「ヘヴィレイン=サンは少し話しすぎたようね。まあ、良いでしょう。テラースイコ・ギャングのケツモチはね、NSPDの汚職マッポたちなの。彼らの汚職の証拠を掴めば、NSPDにきつい一発をくれてやれるというわけ」
「マッポ達は拠点にこれまでテラースイコから巻き上げたミカジメを溜め込んでる。あなた達が陽動している間に、コールドケース=サンが拠点に潜り込んで、証拠を一通り集めるの。15分はそのための時間よ」
「はぁ……ここまで傭兵に話したくはなかったけど。あなた達は何も聞かなかった。良いわね」
PCから質問がなければダンゴウは終了する。
事前調査
PCは知識スキルやハッキングスキルを使い、1人につき1回の情報収集もしくはブラックマーケットでの買い物を行える。どちらにも参加しなかったPCは休憩して英気を養い、即応ダイス1個を獲得する。
全員が1回の行動を済ませたら、「場面:カジノ襲撃」に移ること。
情報:オダイミョ・トウジンとテラースイコ・ギャングについて
【ニューロン】HARD(『◉知識:犯罪』『◉知識:高級嗜好品』『◉知識:独立小組織』で+2)
もしくはハッキング:HARD
オダイミョ・トウジンはフーディーギャング団「テラースイコ」が運営しているカジノだ。日々の売上は万札:40前後であり、テラースイコのシノギとなっている。 ニンジャに対抗できるような警備らしい警備はろくになく(せいぜいモータルのギャング6-8人程度)、攻略は容易だ。ただし、この店は襲撃されたことがない。テラースイコのケツモチがNSPDの腐敗デッカーたちであるともっぱらの噂だからだ。もしまだNSPDについてPCが知らないなら、NMは「腐敗デッカーについて」調べてみてはどうかと伝えること。
【6】:テラースイコはニンジャ「グレイウーズ」をリーダーとするフーディーギャングで、レインコートを揃いの衣装としている。グレイウーズ以外にはニンジャ戦力を持たず、構成員の武装はチャカ・ガンやマシンガン程度のものだ。グレイウーズは「ムテキ・アティチュード」の使い手で、それなりの実力がある。しかし、ヴァニティがセッティングした日にはケツモチにみかじめを渡すため彼は外出しているようだ。
NMはオダイミョ・トウジンのマップを開示する。
【6,6】:テラースイコだけであればPCにとって敵ではない。ただ、ケツモチの奴らが本格的に動き出すと厄介だ。PC達は即応ダイスと緊急回避ダイス1個を獲得する。
情報:ツチグモ・ギャングについて
【ニューロン】NORMAL(『◉知識:独立小組織』で+2)
もしくはハッキング:HARD
ツチグモ・ギャングは壊滅と復活を繰り返す弱小ギャングで、リーダーであるニンジャ・タランテラは大言壮語の癖があり、身の丈に合わないことをよくやる。この事件の"加害者"役として彼らはぴったりといえる。
【6,6】:情報を細かく調べた結果、ツチグモ・ギャングは何ら恐れるに足りない相手とわかる。PC達は即応ダイスと緊急回避ダイス1個を獲得する。
情報:依頼人について
【ニューロン】U-HARD(『◉知識:アマクダリ』で+2、『◉知識:公僕の流儀』で+2)
ハッキング:U-HARD2
ヴァニティはヤンバナ・サシミ事件の敗北で失職した弁護士であり、その後警察庁のムナミ・シマカタに引き上げられる形で再び弁護士に復職した。
コールドケースはムナミ・シマカタの部下の一人であり、彼女の部下としては珍しい現場からのたたき上げ組だ。隠密行動が得意なため、ムナミにスカウトを受けたようだ。
【6,6,6】:ムナミ・シマカタがヴァニティを引き上げたのは、ムナミの私情がかなり絡んでいる。ヴァニティと恋愛関係にあるのだ。それだけでなく、ヴァニティに自分の部下を使わせている。表立ってはいないが、ヴァニティとその他の間にはそれなりの軋轢があるようだ。PC達は即応ダイスと緊急回避ダイスを1個獲得する。
情報:腐敗デッカーたちについて
【ニューロン】HARD(『◉知識:公僕の流儀』で+2、『◉知識:高級嗜好品』で+1)
ハッキング:U-HARD
腐敗デッカーのリーダーはグラインダーというニンジャデッカー、部下はトムラというデッカーだ。彼らはNSPDの中でも十分高い地位におり、ケンドー機動隊や鬼瓦ツェッペリン、モーターヤブなどを呼び出す権限がある。
【6,6】:グラインダーは素手戦闘のタツジンであり、その拳のキレはかなりのものだ。両腕は最新型のテッコに置換されており、無慈悲なコッポの急所破壊を行う。部下であるデッカー、トムラは元ライフル・ドーの選手であり、強力なLAN直結型ライフルで無慈悲な狙撃を行う。彼は鍛えられた重サイバネデッカーであり、下手なニンジャより強い。
彼らはグレイウーズからミカジメを取るついでに高級オイラン・バーでセッタイを受けているため、ヴァニティがセッティングした日はすぐに戻ってくることができないだろう。PC達は即応ダイスと緊急回避ダイスを1個獲得する。
場面:カジノ襲撃
夜も過ぎた頃、あなたたちは地下カジノのそばに集まった。フーディーギャングの仮装も君たちに渡された。カジノは賑わっているようで、イゴ、ショーギ、ハナフダ、ルーレットにビリヤード、ピンボール、マジャンといった卓の前に人々が鈴なりになっている。しかし、情報通りニンジャの姿は存在しない。モータルから強盗するだけの簡単な仕事だ。失敗などあるはずもない……。
IRC Chat :lawyer > 作戦開始。
さあ、仕事の時間だ。
警備を行っているのはPC人数の同数のギャングスタ・ヤクザ、PC人数の半数のマシンガン・ギャングスタ・ヤクザおよびグレーター・ギャングスタ・ヤクザである。彼らはPCたちがニンジャであることを認識すると、ヤクザスラングやヤンクスラングを喚きながら銃を乱射し、死ぬまで戦う。彼らのボスはニンジャであるため、戦闘不能になるほどのNRSは起こさない。客たちはNRSを発症し、ツキジめいてのたうち回る。
時間稼ぎ
店内には硝煙と血煙、まだ痙攣している死体の山、そして怯える十数人の逃げそびれた客が残っている。まだお前たちは時間を稼がないといけない。幸いにして玩具はいっぱいある……。
ギャングスタたちを殲滅するだけでは約束した15分の時間稼ぎには足りず、まだ10秒かそこらしか経っていないことをNMは伝えること。金をゆっくり奪っても2〜3分も稼げないため、適当に10分強を稼ぐ必要がある。NMは好きなようにこの時間を過ごさせて良い。
このとき、代表者が難易度:U-HARDの交渉判定(『◉交渉:威圧』で+2)に成功するか、あるいは全PCがDKKをD3+1点得ることで、各PCはボーナスとして万札:5を獲得できる。交渉判定とDKK獲得は同時に行えず、選ぶ必要がある。要するにこういうことだ……生き延びたモータルを脅して金を強請りとるか、それとも何人かぶち殺して金を奪うか?
適当なところで時間が来る。PCはオダイミョ・トウジンの売上金(PC人数x10の万札)を獲得し、逃亡車両へと向かう。
場面:裏切り
実際楽な仕事だった。モータルをちょっと殺すだけでかなり稼げる。タマゴ・スシみたいに美味しいビジネスだ。
お前たちの目の前で逃走車両に弾痕が生まれ、クローンヤクザが緑色の血をぶち撒けて倒れるのを見るまでは……逃走車両にナパームが投下され、爆発炎上するまでは……遠くから近づいてくるNSPD塗装済み鬼瓦ツェッペリンの音が聞こえるまでは……ケンドー機動隊たちにすっかり取り囲まれていることに気づくまでは……お前たちはそう思っているかもしれない。
やっぱり楽な仕事なんてない。こいつはやべえぞ。
この場面は逃走車両のもとにPCが到着したところから始まる。
PCたちが車に乗り込んだ時点で、PCの目の前でクローンヤクザが射殺され、同時にナパームが投下される。PCたちはまず【ニューロン】で「難易度:U-HARD」の判定を行うこと。失敗した場合、ナパーム火炎に加えて車両の爆発により「火炎ダメージD3」を受けた状態から戦闘が開始される。成功した場合、PCはダメージを受けずに戦闘を始められる。どちらにしても、マップにPCは配置される。
戦闘開始時に、GMは以下のように描写すること;
空を飛んでいるツェッペリンは、次のナパーム投下準備を始めている。更にツェッペリンの銃眼でキラリとネオンの輝きを受けて光るのは、ライフルのスコープだ!
ケンドー機動隊が装甲車両から次々と現れる。相手はお前らの居場所を知ってやがる。こいつはハメられたかもな。
この戦闘では、屋外にPCがいる限り、ツェッペリンに乗っているトムラがスナイパーライフルで狙撃を行い、更にナパーム投下とガトリングガンの射撃のターゲットとなる。マップ中央の廃ビルに入り込めばツェッペリンからの攻撃を受ける心配はなくなるが、ケンドー機動隊はビルに入りこんでくる。ケンドー機動隊たちはデッカーであるトムラとグラインダーに指揮されているものとして扱う。鬼瓦ツェッペリンは高空に存在するため、近接攻撃、及び『種別:スナイパー』か『種別:重火器』を持たない射撃は届かない。
ここで最初に出現するケンドー機動隊の人数はPC人数の3倍だ(4人なら12体POPする)。
中央の廃ビルには、どこかのギャングかアウトローが隠したらしい、以下のような装備が置かれている。1回の「その他の行動」で、これらのうち1種類のアイテムを手に入れられる。
・フルフェイスヘルメット(『タクティカルヘルム』相当)
・ショットガン
・バクチク・グレネード2個
・トロ粉末と電脳ペインキラー素子
2ターン目の開始時に、GMは以下のように描写すること;
とはいえ、周囲の囲みは十重二十重。まずい状況を切り抜けるしても、どうすればいいのか……。
そう思ったとき、北西から悲鳴と破壊音が、マッポのサイレンを切り裂いて鳴り響く。同時に端末にIRCが飛んできた。
IRC Chat :lawyer > 乗れ 早く
突っ込んできたのは装甲車のようだ。飛び込んで逃げれば、このどん詰まりから抜け出せるかもしれない。
2ターン目の開始時に、北西の一番端にゴリラ級重装甲車両が突っ込んで急ブレーキを掛ける。これを運転しているのはヴァニティだ。PCがこの装甲車両に全員乗り込めば、この戦闘は終了する。
PCがグズグズしている場合、3ターン目にツェッペリンからモーターヤブ2体が投下され、更にケンドー機動隊が6人任意の地点に出現する。その後も2ターン毎に同数のヤブとケンドー機動隊が現れる。
このシナリオで出てくるケンドー機動隊とモーターヤブはこのデータを使用せよ。
場面:逃亡
血みどろで目を血走らせたスーツの女……ヴァニティがアクセルを踏み込むと、首をへし折られたマッポがお前たちの足元でダンスをした。
歯噛みしながら彼女は罵詈雑言をブツブツつぶやき、怒りから装甲車両の壁にパンチを一発、拳の跡を残す。なかなかにオカンムリのようだ。
「……コールドケースのやつ、おかしいと思ったのよ。潜入任務に自分から名乗り出たんだから……ムナミはろくに人を疑わないし……」
「あのクソ野郎! 裏切りやがった!」
ヴァニティはメンポをむしり取り、血の混じった唾をぺっとハンカチに吐く。
「計画は大幅修正ね――ところで、突貫で作ったプランBがあるんだけど。当然乗るわよね?」
彼女は怒りで歪んだ笑顔を見せる。さてさて、どの程度のプランなのか……。
ヴァニティは怒り狂いながらPCに以下のような情報を伝える。
コールドケースが裏切り、NSPDの側についた。このままではマッポにネオサイタマ中追いかけ回されることになる。
ただ、ヴァニティは保険として、知り合いのニンジャに頼みコールドケースにジツを掛けていた。ヒヅキ・ジツという、相手がどこにいるかを追いかけられるジツだ。
ヴァニティとPCたちが逃げ出した以上、NSPDとコールドケースは集まってさらなる作戦の相談をするはずだ。相談の場を襲撃し、奴らを皆殺しにしろ。その分の報酬は支払う。
「腐ったマッポと無軌道ギャングが殺し合いました。マッポは全員死にました。ツチグモは捕まりました」という形で、強引にまとめ上げる。そのために自分はできるだけのことはするし、働いてくれたなら見返りはよこす。
ヴァニティがここまで説明し終えたところで、彼女のIRC端末が鳴る。
ヴァニティ:「……ヴァニティよ……ドーモ……ええ……分かってるわ……こちらでなんとか……ええ……」
ヴァニティの声が怒りでどんどん低くなっていく。
ヴァニティ:「分かってるって言ってんだろうが……てめえ……ああ! 自分の後始末くらい自分でつけるに決まってるでしょ!」
彼女はIRC端末を握りつぶす。
ヴァニティ:「……失礼。場所はわかったわ」
ヴァニティ:「余計なことを山程言われたけど。ここから30分くらいのところにある、廃倉庫に飛んでいったみたいね」
ヴァニティ:「テラースイコの連中の縄張りの1つ。おそらくそこに裏切り者と糞どもは集まるわ」
ヴァニティ:「とはいえ、後始末の都合上、私は装甲車の外には出られない。万が一顔が見えたらどうしようもないしね」
ヴァニティ:「……あなた達に何もかも任せなきゃいけないのは腹が立って仕方ないけど。お願い。奴らを殺してきて」
ヴァニティ:「戦闘の準備があるなら今やってしまって頂戴」
PCは知る由もないのだが、電話の相手はソフトマインドだ。彼は嫌味たっぷりにヴァニティに情報を伝え、彼女を激怒させている。
PCたちはここで、スシやトロ粉末を使い回復を試みても良い。その後、PCが依頼を受けるなら場面:報復へとシナリオを進める。PCが芋を引くなら場面:逃亡へとシナリオを進める。
場面:報復
港湾地区の倉庫には明かりがつき、入り口をマッポガンを手にしたマッポが見張っていた。
倉庫の中にはフーディーギャングにマッポ共が集まり、お前たちをどうやって殺すか会議している。入り口にはちゃちな鍵がかかっているが、蹴り飛ばせば簡単に開く。
さあ、報復の時間だ。裏切り者に思い知らせろ。
倉庫内にはPC人数の半数+1体のマシンガン・ギャングスタ・ヤクザ及び半数+1体のNCPDレッサーマッポ、モーターヤブ2体に加えてコールドケース、グラインダー、グレイウーズ、トムラが存在する。彼らはヒヅキ・ジツのことは知らないが、それでも何らかの方法で警察庁が追手を掛けてくる可能性は考慮し、十分に武装している。彼らはPCと死ぬまで戦い、けして降伏はしない。
低難易度オプション
PCが著しく傷ついているか、あるいは能力値が低い場合、モーターヤブ2体は削除される。また、装甲車両に備え付けられたマシンガンを使ってヴァニティが援護射撃を行うことにしてもよい。この場合、マップの外周部分のいずれかから射線が通っている敵が射撃対象になる。
高難易度オプション
各NPCは『高難易度オプション』の通り強化されるほか、モータードクロ1体が配置される。
場面:逃亡
ヴァニティの額に血管がうっすらと浮き上がった。
「芋を引くつもり? 考え直す気はない?」
お前たちが断ると、彼女はため息をつき……そして、車の外に飛び出すと、装甲車両を持ち上げ、ひっくり返した!
「イヤーッ!」
CRAAASSHH! ひっくり返った装甲車の中からお前たちが這い出すと、ヴァニティは近くの電柱を引き抜き、構えた。
「タマなしのボケどもめ……!」
PCが依頼を断った場合、ヴァニティが車両をちゃぶ台返しする。PCが対応できたかどうか、【ニューロン】で『難易度:U-HARD』の判定を行うこと。失敗すると車両内でめちゃくちゃにシェイクされ、『回避難易度:U-HARD』のD3ダメージを受けた状態で戦闘が開始される(この攻撃で減った回避ダイスはそのまま1ターン目に適用される)。
この戦闘ではヴァニティは既に負傷しているため、【体力】が10に下がっている。彼女は電信柱(ノダチ)を持ち、PCを攻撃する。
2ターン目の開始フェイズに、空から降ってくる形でドラゴンベインとスワッシュバックラーが任意の地点に出現し、PCを足止めしてヴァニティを逃がそうとする。また、3ターン目の開始フェイズにはヘヴィレインが、4ターン目にはダイアウルフが追加でクローンヤクザY-14型6体を伴って任意の地点に出現する。彼らはヘリ降下してくるため、マップ上の好きな場所に配置される。
ヴァニティがマップから脱出したなら、彼らも速やかに離脱を開始する(彼らの任務はヴァニティを助けることで、PCを殺すことではないからだ)。PCが全滅するか逃げるか、全ての敵がいなくなればシナリオは終了する。
なお、このルートをPCが選択した場合、ヴァニティ(と、紹介者であるヘヴィレイン)のアマクダリ内での立ち位置は極めて悪くなる。裏切られた挙げ句、アマクダリの戦力を出さざるを得なかったからだ。
リザルト
カジノ強盗で手に入れた万札:40(及びドロップ品)に加えて以下を得る
評価A:汚職マッポ一味(グラインダー、トムラ、コールドケース、グレイウーズ)を全員抹殺した
万札:80を山分け、名声+1、余暇4日
評価B:汚職マッポ一味を半数殺してから撤退した
万札:40を山分け、名声なし、余暇4日
評価C:汚職マッポ一味を半分も殺せず逃げた
万札なし、名声-1、余暇4日
評価D:依頼を蹴って逃げた
万札なし、名声-2、余暇2日
更に、報復としてPCの風体を警察庁がNSPDに伝える。
アマクダリとNSPDの両方と敵対し、この2組織所属のNPCとのユウジョウを喪失する。
NPCとエネミーデータ
ヴァニティ
公式NPCデータを使用する。
コールドケース
コールドケースはアカシ・ニンジャクランのレッサーソウル憑依者であり、警察庁にて潜入工作を長年行っていたニンジャだ。白髪交じりで皺が目立つ初老の容姿をしており、よれたコートとベレー帽が特徴である。彼の武器は袖に隠された飛び出し式のアサシンダガーだ。
ムナミ・シマカタが長官となり、正論に見せかけたグロテスクな潔癖と他責に満ちた言動を繰り返すのを見続けた結果、彼の警察庁への忠誠心は完全に擦り切れてしまっている。アマクダリという組織の官僚制度もさほど気に入っておらず、機を見てヴァニティを裏切った。もしも裏切りに成功したのなら、オキナワに潜伏する予定だった。
「あんたが何をしようとしているかよく見えるよ」/「この仕事が済んだらオキナワさ。だからさっさと死んでくれ」/「裏切り者? 使い捨てのコマに忠誠心を誓ったつもりはないな」/「クソアマどもめ……!」
◆コールドケース (種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 11
ニューロン 10 精神力 10
ワザマエ 10 脚力 5/E
ジツ 3 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 6/10/12/10
回避/精密/側転/発動 10/10/10/15
緊急回避ダイス2個
◇装備や特記事項
アサシンダガー:連続攻撃2、ダメージ1
メガコーポ一般兵装束一式(【体力】+2、緊急回避ダイス+2、脚力ダメージ軽減1、反映済)
光学迷彩ローブ:イニシアチブ+2(反映済)
『●連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』
『☆アカシ・ジツLv3』、『☆◉先読み防御』、
『◉暗殺者の目』、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉翻弄』、『◉◉タツジン:アサシネイト・ドー』、『◉痛覚遮断』
『☆アカシ・ジツLv3』:
精神力を1消費し、難易度:NORMALで発動判定を行う。
成功した場合、術者は即座に【ジツ】値と同数の即応ダイスをその手番終了時まで一時的に獲得する。
『☆◉先読み防御』:
ターン1回のみ使用可。回避判定前に精神力を1消費することで、そのフェイズ中のみ『回避難易度-1』を得る。
高難易度オプション:
『◉ヒサツ・ワザ:スパイダーズアサルト』を追加する。
戦術:
アカシ・ジツで増やした即応ダイスを使い、アサシンダガーによるフェイント攻撃を行う。
アトモスフィアがU-HARDになった場合、もしくは追い詰められたときには、『●戦闘スタイル:捨て身の滅多突き』を使用する。
その際には最もHPが低い相手、もしくは【ニューロン】が1の相手を狙う。
グラインダー
グラインダーはNSPDのデッカーであり、コッポ・ドーを使う手練のニンジャだ。彼は両腕を最新型の戦闘用テッコに置換しており、内蔵された振動ユニットが破壊的なカラテを生み出している。グラインダーは汚職マッポであるが、キングピンのようにアマクダリに恭順するのではなく、独自に汚い金を集めて回り、裏社会でのし上がる野望を持ったため、アマクダリと敵対することになった。
「傭兵ごときがNSPDに楯突くとはいい度胸じゃねえか」/「役人共がなんの役に立つ? ネオサイタマの治安を守ってきたのは俺たちだ。カネはみかじめ料さ」/「てめえをぶっ殺したあとはあの女だ。弄んでから殺してやる」/「イヤーッ! はらわたをえぐってやる!」
◆グラインダー (種別:ニンジャ/デッカー/NSPD)
カラテ 12 体力 16
ニューロン 5 精神力 5
ワザマエ 10 脚力 6/N
ジツ 0 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 14/10/6/7
回避/精密/側転/発動 14/12/10/-
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子Lv1
▶▶テッコLv2、▷テクノカラテ制御プログラム、▷衝撃発生ユニットカスタム
タクティカルスーツ、タクティカルヘルム(反映済)
▷テクノカラテ制御プログラム:
【ワザマエ】を使用した『近接攻撃判定』時にも、テッコのLv数に応じたダイス数ボーナスを得る。
▷衝撃発生ユニットカスタム:
テッコによる素手(または内蔵型武器/外付型武器)の『近接攻撃』すべてに対して、
『無属性ダメージボーナス+1』をもたらすが、攻撃難易度が+1される。
『●連続攻撃2』、『●連射2』、
『◉頑強なる肉体』、『◉特殊近接ステップ』『◉◉タツジン:コッポ・ドー』、『◉ヒサツ・ワザ:サマーソルト・キック』
高難易度オプション
『◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ』と『◉緊急ブリッジ回避』を追加する。
戦術:
コッポ・ドーによる2回の攻撃を行う。このときはダイスを8/6個に分割し、ボールブレイカーを狙う。
グレイウーズ
グレイウーズはテラースイコのボスニンジャであり、スライム・ニンジャクランのソウル憑依者だ。このニンジャの肉体は常時半液状化しており、ネオサイタマに降る重金属酸性雨を吸い込むことで液体金属のような姿へと変化できる。過剰に水分を吸うと際限なく肉体が肥大化してしまうため、防具の上からレインコートを羽織っているが、それがテラースイコのチームファッションにもなっている。
◆グレイウーズ (種別:ニンジャ)
カラテ 8 体力 12
ニューロン 7 精神力 7
ワザマエ 6 脚力 4/H
ジツ 4 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 8/8/7/5
回避/精密/側転/発動 8/6/6/11
緊急回避ダイス1個
◇装備や特記事項
近代的タクティカルニンジャ装束一式(反映済)
アサルトライフル:連射2、時間差、マルチ、バースト3x3、ダメージ1
『●連続攻撃2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
『☆◉流体化』、『★ムテキ・アティチュードLv1-3』、『★ムテキ・メイル』、
『◉スマッシュ』、『◉頑強なる肉体』
高難易度オプション:
『★◉異常巨体』(【体力】+4、回避ダイス-1、連続側転難易度+1)を得る。
また、『パルスダガー』『ダムダム弾』と即応ダイス5個を得、『◉スマッシュ』を使用しなくなる。
戦術:
主にトムラの近くでムテキ・メイルによる防御を行いつつ、
射線が通る最も回避ダイスの少ないPCにアサルトライフルを撃ち込んでくる。
隣接された場合、アトモスフィアがNORMALであれば素手、HARD以上なら『◉スマッシュ』で反撃してくる。
腐敗デッカー『トムラ』
トムラはグラインダーの忠実な配下であり、サンシタニンジャと戦えるほどに強力なデッカーだ。他のニンジャと協力し、隙のある相手に新開発の対物ライフルを叩き込む。
◆腐敗デッカー『トムラ』 (種別:モータル/重サイバネ/ボス級)
カラテ 5 体力 7
ニューロン 6 精神力 4
ワザマエ 6 脚力 4(6)/H
ジツ - 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 5/10/7/8
回避/精密/側転/発動 9(H)/8/8/-
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子Lv1
▷回避パターン解析ユニット
▶▶サイバネアイLv2
▷全方位監視アイ
▶ヒキャクLv1
▷パルクール・ユニット
▷パルクール・ユニット:トムラは『●連続側転』を行える。
LAN直結型アンタイアーマー・スナイパーライフル:
テック武器、銃器、連射1、ダメージ3、装甲貫通D3、射撃HARD、回避HARD、『●射撃スタイル:強化スナイプ』
『●連続側転』、『◉タクティカル移動射撃』、『◉ウィークポイント射撃』、『◉疾駆』
『●射撃スタイル:強化スナイプ』:非移動時のみ使用可能。
この射撃は『6,6,5+』で「サツバツ!」、『6,6,6,5+』で「ナムアミダブツ!」を発生させる。
『●射撃スタイル:回避パターン解析』:集中状態のみ使用可能。
【ニューロン】で『射撃判定』可能。ターゲット1体固定。
直前の手番にも同じターゲットに対して同じ武器で射撃していた場合(スタイル問わず)、
基本回避難易度が本来よりも+1される。
高難易度オプション:『LAN直結型アンタイアーマー・スナイパーライフル』ではなく、以下の装備を持つ。
『LAN直結型セミオートマチック・アンタイニンジャライフル』
テック武器、銃器、連射2、時間差、ダメージ2、装甲貫通D3、射撃HARD、回避HARD、『●射撃スタイル:強化スナイプ』
戦術:
グラインダーが狙った相手に向けて可能であれば『強化スナイプ』を行う。
相手の残り【体力】が4以下であれば、『回避パターン解析』により確実に仕留めようとする。
NSPD鬼瓦ツェッペリン
◆NSPD鬼瓦ツェッペリン (種別:巨大戦闘兵器、大型4x10、高度飛行)
カラテ 20 体力 20/-2
ニューロン 6 精神力 –
ワザマエ 6 脚力 -(マップ上空を飛行している)
ジツ – 万札 10
◇装備や特記事項
・漢字サーチライト(環境効果によるペナルティを無視する)
・ファイアウォールx1
各手番に2回の地上攻撃フェイズを行う。
フェイズの処理順は自由。いずれも『マルチターゲット』を持つ。対地攻撃は自動成功する。
標準の攻撃方法は「ナパーム投下」→「ガトリングガン(自動成功)」だ。
対地攻撃セットの着弾中心点は、それぞれ別の地点を選ばなくてはいけない(着弾誤差)。
・ガトリングガン x 1
・ナパーム弾(爆発:カトンLv2) x 3
ガトリングガン: 銃器、重火器、連射6、ダメージ1、マルチターゲット(3x3範囲のみ)、射撃難易度:NORMAL
◇高空飛行
NSPD鬼瓦ツェッペリンには、『種別:重火器』もしくは『種別:スナイパー』を持たない武器では攻撃が行えない。
◇輸送能力
通常サイズのキャラを20体まで輸送できる。
また各ターン終了時に最大6体までのキャラをマップに降下させられる。
ゴリラ級重装甲車両
ネオサイタマで利用される重装甲車両。NSPDが使っているものをヴァニティが奪い取った。
◆ゴリラ級重装甲車両 (種別:ビークル、大型2x2)
体力 脚力 全力移動
15/-1 12 D3
◇装備や特記事項
運転手を除いて最大6体までのキャラクターを運搬できる。
乗っているキャラクターも全員ダメージ軽減1を得るが、合計15点分のダメージを装甲車両が受けると
車両が爆発し、乗っているキャラクターはダメージD6を受けて放り出される。
運転手は以下の装備を使用可能。
マシンガン:1ダメージ、NORMAL、連射3、時間差可、●バースト3x3