墓と病院ーヘルシンキ観光情報#3
今回はいつもと違うテイストで淡々と情報を書こうと思います。
人を選ぶ内容かもしれません。
地図
今回紹介するエリアはHietaniemiとLapinlahtiです。
駅からトラムでも行けますが歩いても行ける距離です。
敷地内はとても広いのでどこからでも入って好きなように見てください。
今回は画像上にある矢印の位置から入ったのでここから紹介していきます。
旧墓地 Vanha hautausmaa
美しい墓地と形容できるためか散歩する人で賑わうこともあります。
犬の散歩、ベビーカーを押して子供と一緒に来ている人も多いです。
ここは他の墓地と異なり規定が厳しくないのか、自由とも言える様々なデザインのお墓を見ることができます。
不謹慎かもしれませんが写真を色々撮ったので載せてみます。
アルヴァ・アアルトの墓 Alvar Aallon hauta
フィンランドの有名な建築家・デザイナーでもあった彼の墓もこのエリアにあります。興味のある人は寄ってみてください。
十分に見て回ったと思ったらぜひ次のポイントに移動してみてください。
精神病院 Lapinlahden sairaala
Hietaniemiから少し歩いてLapinlahtiに行きます。
この建物はかつてフィンランドで最初に作られた精神病院でした。
既に病院としては使われなくなりましたがカフェやアート展示の場として新たに活用されています。今回紹介するのはこの3つです。
ポイント1:アートギャラリー Kammio Galleria
歩道から見ると茂みにしか見えません。入口は歩道に面しておらず、入る際は歩道に対して反対側までぐるっと回ってください。
反対側まで行けば地下への入口が見えてきます。
元は病院の敷地内ということで、ここはかって死体安置所として使われていました。現在はアートギャラリーとして使われています。
ポイント2:メインの建物
当時使われていた道具が展示されてる博物館(Mental Museum)があります。同建物内や近辺にはカフェやハンドクラフトのお店などもあります。
建設当時は治療を施したり助けたいと思っていても、あまり大したことはできなかったのではないかと考えてしまいます。
写真はHelsinkikuvia.fiから転載しています。
ポイント3:カフェ Metsäpaahtimo
この建物、当時は洗濯場と製パン場として使われていました。
現在ではカフェがあるので休憩したい人はぜひ。夏はカヌーも楽しめます。
ある程度見て回ったら海に沿って北上していきましょう。
左手には海、右手には墓地が続きます。
"英雄達"の墓地 Sankarihautausmaa
最初に紹介した墓地は個性豊かともいえる自由な形式でアート性すらも感じたことでしょう。ただ、このエリアまで歩を進めたら似たような形の墓が並んでいることに気がつきます。
さらにモニュメントのようなものが見えてきます。
戦争や紛争での戦いで亡くなった人達を弔うためのものです。
エリアによって分けられていますが、墓標の大半は第二次世界大戦時に亡くなった方達のものです。
ふとある個所を見てみると1944年の日付が多くみられました。
一つ一つの全て墓を見て回ったわけではないので偶々かもしれませんが。
このエリアには大きな十字架と開けた広場があります。
そこには国葬されたフィンランドの英雄マンネルヘイムの墓があります。
厳かに見るべきと思ってしまうようなエリアです。しかし大音量で音楽が流れ、人々の笑い声や話し声がここまで届いてきました。
なぜならマンネルヘイムの墓のすぐ横にはヘルシンキで一番有名な砂浜、Hietalahdenrantaがあります。
Hietsuという愛称で親しまれており週末や天気のいい日は多くの人で賑わいます。自分が訪れた日も平日にも関わらず多くの人が来ており、音楽をかけてイベントを行っているようでした。
「静かに眠ってもらうために音楽など規制するべきだ」と考える人もいるかもしれません。ですがこれはこれでいいものだなとも思えます。
彼らに今フィンランドは平和だと伝えてるような感覚です。
亡くなってしまった人の意志は存在しないわけですから、静かに眠ってほしいとか、平和を見せてあげられるとか、どちらもエゴと言える考えです。
墓を作り弔うのは残された人間が前を向いて歩くために必要な儀礼なのでしょう。
墓地に来るとどうしてもそういうことを考えてしまいます。
観光情報としては今回の記事はあまり相応しくなかったかもしれません。
滞在日数が限られている観光客がわざわざ足を運ぶほどの刺激的なものはありません。場所も少し歩く必要があるくらい離れているわけですし。
元精神病院の広大で自然豊かな敷地内ではハンモックに揺られながら本を読む人もいて、友人たちとゲームをして楽しむ人たちで賑わっていました。
そのためこのエリアは観光と言うより、日常を楽しむために来る場所かと思います。
ヘルシンキにはこういった場所もありますよ、という紹介でした。
今回記事を書くにあたってちょっと悩んだことがあります。
どうしても仄暗いというか、楽しい気分になれるような情報をあまり盛り込めない内容だったからです。
そんな時にこの方の記事を拝見しました。
とても詩的に書かれており、インスピレーションを受けたと言いますか、おかげ様で記事を書く方向性が定まりました。
この場を借りてお礼申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました。