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サルミアッキについて語ろうか
ヘルシンキ観光情報#2をこそこそと書いているときにふと思いました。
自分はマリメッコやムーミンに対してあまり興味がありません。
よってフィンランドのお土産情報はあまり書けなさそうだな、と。
それでも何かないかなと思って調べてたら出てきました、サルミアッキ。
これの存在をすっかり忘れてました。
というわけで今回はサルミアッキについてです。もう既に他の人が似たような内容を書いているかもしれませんが気にせずいきます。
世界一まずい飴として確固たる地位を築きつつあるサルミアッキ、既にご存じの方も多いと思います。
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旅行で来た方はもちろん、お土産を受け取った人や留学生が挑戦して「まずい!」となってるのは鉄板ネタです。フィンランド人にとっても有名になっています。外国人に食べさせると面白いぞ的な意味で。
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そんなサルミアッキ、ちょっとテイストの違うものからもっとやばいものまで色々あるので何個か紹介していきたいと思います。
定番のものだけ買うのも味気ないので、ぜひグレードアップしたものもお試しください。
※今回はお酒や歯磨き粉シャンプーなんかの変わり種紹介はせず、お菓子系に対してのみの記事を書いていきます。
中級者向け:サルミアッキアイス
まずは軽いジャブ、中級者向け商品からです。
(2011年か2012年か忘れましたが)わりと昔にFazer社からサルミアッキアイスが発売されました。
他社のサルミアッキアイスはバニラアイスにサルミアッキソースがほんのちょっとだけ入っていることが多かったのに対し、このFazer社のアイスはしっかりとサルミアッキの味が感じられます。Fazerはわかってるじゃないか。
そのため発売当時より一部のフィンランド人から熱い支持を受けています。
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ちなみに映像広告が当時、結構話題になりました。
テーマは世界が嫌いフィンランドで愛されるアイスクリームです。
広告ではまず最初に外国人(非フィンランド人)に食べてもらいます。
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後半はフィンランド人に食べてもらいコメントしてもらいます。反応の違いが全く違います。
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右はタンペレの人でしょうか?方言はフィンランドらしさをより感じられます
広告動画はこちら。
比較的大きい規模のK-marketやS-marketなら取り扱っています。(小さいスーパーだと売ってないこともあります。)
記念に挑戦してみてはどうでしょうか。
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上級者向け:サルミアッキパウダー
サルミアッキと聞くとみなさん色は黒を連想すると思います。
しかし実際サルミアッキの原材料である塩化アンモニウム(NH4Cl)は無色の白い粉です。
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通常店で売っているサルミアッキはリコリスを加えて食べやすく作られています。そんなリコリスのキャンディーは炭を使い黒く着色されています。
その背景があるせいかサルミアッキも黒色というイメージが付き、黒色にする習慣ができたのかもしれません。
Ammoniumkloridi on väriltään valkoista, mutta se värjätään ulkonäkösyistä mustaksi lääkehiilen avulla. Makeistehtaiden testeissä on todettu mustan salmiakin olevan enemmän koemaistajien mieleen.
塩化アンモニウムは白色をしているが、(サルミアッキキャンディーは)活性炭を使用し着色している。黒色のサルミアッキのほうがよりおいしく感じると製菓工場でのテストで明らかになった。
例えとして正しいかはわかりませんがバニラ味のアイスクリームみたいなものでしょうか?
バニラ香料やバニラビーンズは香りづけが目的であって着色力はありません。着色はしようと思えばできるはずなのに、バニラアイスは白色(または黄色)という印象が強いせいか他の色に着色されたものはあまり見かけません。
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そんなオリジナルカラーである白色を残したのがこちらのサルミアッキパウダーです。
商品名はTsaukki Taukkiです。
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原材料は塩化アンモニウム、リコリス、砂糖のみといたってシンプル。
リコリスが入っているため黒っぽい粒子が見られますが、基本的には白色といってもいいでしょう。
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中身は粉状で食べにくいため、蓋をあけたら粉を舌で直接舐めてお行儀悪く食べます。
懐に忍ばせておき、白い粉をキメたいときにサッと取り出しひと舐め、そんな商品です。
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残念ながらこの商品は最近スーパーで見かけなくなってしまったようです。
CandyTownならあるかもしれません。ネット通販が一番確実でしょう。
超上級者向け:薬局のサルミアッキ
Apteekin salmiakki、意味はそのまま「薬局のサルミアッキ」です。これはFazer社を始めとしたスーパーで一般的に売られているものより強力です。
一部のフィンランド人には「サルミアッキの味が強すぎる」と嫌厭されているほど。サルミアッキ好きにはたまらない味ですが、フィンランド人にとっても難易度が少し高めです。
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なぜ薬局でサルミアッキが売っているのか
サルミアッキは薬として売られたのが始まりと言われています。
Tietokirjailija Jukka Annala arvioi salmiakkimakeisten syntyneen apteekkien valmistamasta yskänlääkkeestä. On epäselvää, milloin lakritsia ja ammoniumkloridia alettiin yhdistää salmiakiksi, mutta 1930-luvulla salmiakkia tuotettiin jo Suomessa, Norjassa ja Alankomaissa makeiseksi. Salmiakkia myytiin useiden vuosikymmenten ajan apteekeissa yskänlääkkeenä.
ノンフィクション作家 Jukka Annala 氏はサルミアッキキャンディーの誕生は咳止め薬として製造されたのが始まりだと推測しました。いつリコリスと塩化アンモニウムを組み合わせたサルミアッキが作られ始めたのかは明らかになっていませんが、1930年代にはノルウェーやオランダ、フィンランドで既に製造されていました。数十年もの間サルミアッキは咳止め薬として薬局で販売されてきました。
もともと薬ならば薬局で売られているものは原点とも言えます。時代を感じるレトロなパッケージもいい感じです。
キャンディー状はもちろん、液状で売られているものもあります。
こちらはより薬っぽい見た目ですね。
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その名の通り薬局(Apteekki)や大学薬局(Yliopistonapteekki)で売られています。Fazerのサルミアッキなんか生温い!お土産としてもっとインパクトのあるものを!とチャレンジを求めている方におすすめです。
サルミアッキ(塩化アンモニウム)の作り方
作り方はとても簡単。塩酸とアンモニウムがあれば誰でも作れます。
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塩酸の扱い、特に気化した煙(ガス)は気を付けましょう。
製造する場合は自己責任で。
小話
フィンランドでは化学の授業でサルミアッキ(塩化アンモニウム)作りを経験します。学校にもよると思いますが中学に相当するYläasteで大体行うらしいです。
サルミアッキの有毒性について
サルミアッキ(塩化アンモニウム)は毒性があります。そのため一度に大量に摂取することは推奨されていません。
とはいえ、人の致死量に達するほど摂取するのは非現実的な量を食べることになりますので毒性を気にする必要はないでしょう。
致死量の実験結果
LD50 = 1 650 mg/kg (経口摂取,、大型ネズミ)
LD50 = 1 300 mg/kg (経口摂取、小型ネズミ)
LDLo = 1 000 mg/kg (経口摂取、大型ネズミ)
*LD50 = Lethal Dose, 50%(半数致死量)
物質の急性毒性の指標、致死量の一種としてしばしば使われる数値で、投与した動物の半数が死亡する用量をいう。
*LDLo = Lethal Dose Lowest(最小致死量)
ヒトまたは動物を致死させた吸入暴露以外の経路による投与量の最小値。
※致死量についての詳細はWikipediaページを参照にしてください。
マウスによる実験の結果、体重1kgに対して1g(1000mg)以上の塩化アンモニウムを摂取した場合、致死量に達する可能性があるのが明らかになりました。
※とはいえこれは動物実験を元に算出した数値です。人体への影響率は必ずしも一致しない可能性も考慮してください。
サルミアッキに含まれる塩化アンモニウム含有量は70 g/kg(約7%)とされています。
Ammoniumkloridi; vain makeisiin ja purukumiin sekä keksien ja vohvelien täytteeseen ja kuorrutteeseen 35 g/kg, salmiakkimakeisiin 70 g/kg.
つまり体重が50kgの人は塩化アンモニウム換算で50g、サルミアッキ換算で約710g以上摂取したら致死量に達する可能性がでてくることになります。
とはいえサルミアッキ710gはそうそう食べられる量ではありません。
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お土産としてはリコリスのがいいかもしれない
散々サルミアッキを紹介しておいてなんですが、やっぱりサルミアッキは日本人のほとんどが受け付けない味です。
見た目は同じですがリコリスのがまだ口にしてもらえる可能性があるので、喜ばれたいのならばそちらのがまだマシかもしれません。
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リコリスで有名なのがこの2つのブランド、Porvoon lakritsiとKouvolan lakritsiです。PorvooとKouvola、どちらも元々は街の名前です。Panda?悪くはないけど、この二つが相手は分が悪い。
個人的には左のが好きですが、右も悪くありません。どちらも美味しいです。ヘルシンキだと大きめのK-marketに売っていることが多いです。
Lakridsも結構おいしいです。高級感のあるパッケージなので見た目重視ならこちらのがお土産向きかもしれません。種類(味)のバリエーションも豊富です。
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ま、一番喜ばれるお土産はGeishaチョコなんですけどね!