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読書リハビリ:ネットプリントをスキャンする

読書は順調だ。
もうリハビリなどということもなく、良いペースで読書をしている。
とはいえ購入する本の量も増えているので、積読の解消は見込めていない。

本を購入する際に、電子書籍があるかどうかを確認している。
最近は種類も豊富なので、困ることも多い。
文庫本、単行本を購入するべきか、電子書籍で購入すべきかは悩ましいところ。
年末には文学フリマにも行ってZineを購入したりして、それらも積まれている。
そんな中、ネットプリントによる頒布というものもある。

オルタナ旧市街を知ったのはいつのことか、最初は文學界のエッセイ特集だったと思う。
それ以降、ずっと追いかけている。
それをきっかけに文学フリマにも行ったし、ネットプリントを出力するという経験もした。
私に新しい読書体験を与えてくれたのがオルタナ旧市街であると言える。

ネットプリントを出力してスキャンする

X(旧Twitter)にて、オルタナ旧市街のネットプリントが頒布されたと知り早速セブンイレブンで出力した。
デザインも良く、これはカラーで出力すべきものであると思う。

写真も素敵である

日頃目にしていたはずの光景を文字にしてもらえた感覚というべきか。
もし同じ光景を見ていたとしても、こんなに整理されて情感も湧いてくる文章が書けるのが魅力である。
「母ゆずり」だけで一遍となる様な文章がとても素敵だ。

カラーで出力したものをクリアファイルに入れて保管しておいたのだけど、プリンターで出力した紙は劣化が気になる。
そうか、スキャンしておこうとこれをカラーでスキャンしておいた。
ネットプリントで出力してスキャンしておく、なんかよくわからない状態だ。
しかしながら、このネットプリントで出力するという、謎の工程があることも何か意味ありげな活動に思えてくるものだ。
秘密を共有しているような、あの番号を知っているのは私たちだけ。
とでも言おうか。
ネットプリントは良い、密やかな楽しみだ。

Lost and Found(全て輝きのなかに)

果たしてどの程度で多作というのかはわからないが、2024年はオルタナ旧市街の作品が多数発表されている。
Web連載を元にした「お口に合いませんでした」、文学フリマで頒布された「Somthing-good」、双子のライオン堂と書泉によるカレーと文学のコラボ企画、華麗に文学をすくう?の「梵」。
どれも良かったが、個人的には本屋lighthouse編纂のエッセイ集「Lost and Found」がとても好きな作品だった。

特に22. ユートピアをぶっ壊せがお気に入りだ。
オルタナ旧市街の文章には、パワーワードがいくつも潜んで、こちらを伺っているが、このエッセイにあった一文が印象的だった。

電飾できんきらりんにさりげなく総活躍させられているきみたち

オルナタ旧市街「Lost and Found」より

年末年始を通してずっと心に残っていた一文だ。
それがどこにかかっているかで、また捉え方が変わってくる。
多分、最初に気になったのは前半の「きんきらりんにさりげなく」だったが、そのうち後半の「総活躍させられている」が怒涛の追い上げを見せる。

新年に私の家族+姪でよみうりランドに行った。
ひとしきり遊んで、最後に乗った大観覧車、新しいのができたので、まもなくお別れになる古いほうの大観覧車。
無くなると言われても、個人的な思い入れはなく。ただ眼前に広がるイルミネーションを眺めていた。
それは人工的な光(生活を伴うものですらない)であり、まさに「きんきらりんにさりげなく総活躍させられている」ものだった。

地上に戻り、そのイルミネーションを間近にすると、冬になり葉が落ちた樹々に巻かれた電飾でしかないのである。
総活躍させられているな、とまたこの話を思い出した。

仕事机の片隅に、休憩の際に手に取れるよう数冊の本を並べている。
読みかけの本、次に読みたい本、思い出して読みたい本など。
昨年末からそこに、Lost and Foundをすっと差し込んだ。
ちょうどいい薄さでもあり、ふとした時に読みたい一冊でもあるから。


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トカチェフ
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