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文学フリマ東京38に行った

もうすっかり時間が経ってしまったのだけど、文学フリマ東京38へ行ってきた。
せっかくなのでまとめておこう。

二回目の文学フリマへ

今回から入場料を取ることになったのと、次回は東京ビックサイトで実施ということで、色々と変化のある文学フリマ。
有料化は全然いいと思うのだけど、入場はもっとなんとかして欲しいと感じた。
これも会場の限界ということなのかなと想像した。

会場に入って気付いた。
昨日準備していたリストを持ってきていないということに。
せっかくプリントアウトして、メモを追記していたというのに。
入念な準備が水の泡。
しかし、文学フリマのサイトにログインすることで、気になっていた出展のリストは確認できたし、
メモを書き込んでいたおかげで、ある程度記憶にも定着していたので、問題はなかった。

単純に人が多かったことと、季節的なこともあってか、場内は蒸し暑かった。
汗ばんでくるとテンションが下がってしまいますよね。
これも東京ビックサイトになったら改善されるのだろうか。

今回購入したもの、読み終わったもの

続いて購入したものの中で読み終えたものについて。

オルタナ旧市街「ハーフ・フィクション」

まずはこちら、オルタナ旧市街
ここ最近で一番好きな作家さん。
前回購入した「一般」がとても良かったので、それを伝えて、「ハーフ・フィクション」を購入。
そして商業デビュー作、おめでとうございますと伝える。
それだけで十分だ。
オルタナ旧市街のOHTABOOKSTANDでの連載「お口に合いませんでした」もかなり良いのでお勧め。

Marginalia Vol.2

こちらもオルタナ旧市街が寄稿しているので購入。
短編「これはへそです」は、大霊界の話、そう丹波哲郎だ。
頭山のような話でとても良かった。
この話を娘と分かち合えるようになりたい、我が娘には早く成長して文学を、いや大霊界を知ってほしい。
ぼくはその時を虎視眈々と待っている。

すみこ「わたし・今・ラジオ」

こちらはなんとなくキーワードで「ラジオ」を入れて検索して見つけた出展。
行くと決めてあとはフィーリングで購入するかどうか決めているのだけど、こちらはそのフィーリングが良かったので購入した。
実際に同様のキーワードだけで寄ってみたところで購入しなかったところもあり、その判断は非常に曖昧だが、
ポイントは、店番をしていた二人とも人柄が良さそうで手に取りやすかったというところなのだろうか。
内容は、ラジオ番組とその頃の自分といった話。
人それぞれラジオの聴き方というのはあるし、その時の話というのも興味深かく楽しめた。
このテーマであればまた次回も書けるのだろうか、継続して書いていくとなると大変そうであるけれど、楽しみではある。

小指「奇跡のような平凡な一日」

SUUMOの街エッセイが好きで、なんとなく引っかかったものを読んで楽しんでいる。
その中の一つに、小指の「曙橋」の話があった。
曙橋、ぼくが幼い頃住んでいた場所の最寄駅だった。
JRや営団線を使うことのほうが多かったので、なんとなくマイナーな駅ではあるが、
その近辺での暮らしを綴ったエッセイが秀逸だった。
その流れで、小指の作品「人生」をネットで購入して読んでいた。
こちらはその曙橋での話の拡大版で、非常に良かった。
文学フリマに出店しているのなら寄らない理由はない。
その辺りの感想をお伝えして、曙橋やら、今の住まいの話などをしてみた。
購入した「奇跡のような平凡な一日」では、また少し共通のことが見つかった。
これはまた次回の文学フリマでお話しよう。
「奇跡のような平凡な一日」は日記調の記録が流れていく。
浮き沈みもありつつ、記載されたものを俯瞰してみると、それでも結果は良い方に向かっているようだし
タイトルのように、奇跡のような一日がいくつも見つかる良い読み物だった。

VANCANCES 4

こちらは本職がライターのお二人が編纂しているというだけあって、しっかりとした雑誌の作りになっていた。
掲載された作品はどれも読み応えのあるもので非常に良かった。
読み終えてからバックナンバーを探してみるほどにお気に入りとなった。
そもそもの目的は小原晩の短編であった。
小原晩「when he smoke」
こちらは短い中に、本当に生活の一コマを切り取った短編だった。
この短さでこの余韻。
これ以上必要のない絶妙な分量であった。
小原晩については、スピンに掲載された「けだるいわあ」のようなもう少し長めの短編もかなり面白かったので、エッセイでも短編でも、なんでもいける作家だと認識している。
硬井グミ「超時」
本誌の中ではこれが最も印象に残った。
何者なのかはよくわからないが、推進力を感じる文章であるし、その内容がわかりやすく入りやすい。
話も面白くて、読後になってから衝撃を受けた。
そう、後から来た。
前述のオルタナ旧市街とも少し似ている印象があり、注目していきたいが、何者なのかはまだわかっていない。
「あれってなんだったんだろう?」
編集者や読者などの体験談を集めたコーナー、これも良かった。
なんとなく読んで楽しいな、というくらいのものなのかなと思ったが、
話し方というか、構成で読ませるものなのだなと感じた。
その中の一編、「不審者」が特に良かった。
こういう話をうまく肉付けして短編にするのだろうなーと、感心するような内容だった。
読み飛ばさないで良かった。

文学フリマのこと

当日までその経路の面倒くささで行くかどうか迷っていたのだけど、やはり行って良かった。
最後になるかもしれない流通センターでの文学フリマ、そして駅近のゆで太郎にも寄れた。
何より、前回購入して面白かったと感じたものについて、作者さんへその言葉を伝えられたのが良かった。
その意味でも東京ビックサイトでの開催になっても、また行くべきなのだろうと感じている。

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