Don't Press Your Luck! / V.A.
新宿のディスクユニオンに行くことがあります。
見ているのはきまって中古CDのガレージコーナー。
安くて珍しいのがあったりするので見逃せません。
中古フロアでの出会い
そこでみつけたDon't Press Your Luck!というコンピレーション。
コネチカット州のスタジオで録音された音源を集めたものでした。
安心のSundazedだったこともあり、迷わず購入。中古フロアでの出会いは一期一会です。
目玉はThe Shags
どの?という確認が必要ですね。
近年アウトサイダーアート的に扱われているのThe Shaggsはgが二つです。
こちらはコネチカット州のThe Shagsで別物です。
でもね、違ったのよ。
ぼくの聴きたかったThe Shagsは、Pebblesに入っている方、ワイオミング州のThe Shagsなのです。
ちなみに全米のThe Shags一覧、偏見付き。
フロリダのThe Shags(陽気な見た目)
インディアナのThe Shags(ちょっと悪そうな見た目)
ワイオミングのThe Shags(だいぶ悪そうな見た目)
コネチカットのThe Shags(さわやかな見た目)
ミネソタのThe Shags(真面目そうな見た目)
イリノイのThe Shags(社交的な見た目)
あたりまで確認できました。
購入するときは注意しましょう。
とはいえ、その他のバンドいるからいいじゃない、楽しみましょう。
Don't Press Your Luck! - V.A.
01 I Can Only Give You Everything - Bram Rigg Set
02 Don't Press Your Luck - The Shags
03 Help Me - George's Boys
04 Too Many Lies - The Lively Ones
05 Take The Time Be Yourself - Bram Rigg Set
06 Hide Away - The Shags
07 'SSS' Happenin' Here Uranus And The Five Moons
08 Sleepless Nights - Bram Rigg Set
09 You're Cutting Out - Fourth Ryke
10 I Paid My Dues - The Bearies
11 WAVZ Radio Jingle - The Shags
12 No Good To Cry - The Wildweeds
13 Think - The Lively Ones
14 I Can't Explain - Bram Rigg Set
15 Breath In My Ear - The Shags
16 Please Leave - Fourth Ryke
17 Specter's Radio Ad - The Shags
18 Nothing Remains - Uranus And The Five Moons
19 You Don't Love Me - Bram Rigg Set
20 Come Back To Me - The Shags
21 I Love The Way You Love Me - Bram Rigg Set
22 I'm Dreaming - The Wildweeds
23 Your Groove - Uranus And The Five Moons
24 Hey, Little Girl - The Shags
25 Sticks And Stones - George's Boys
26 Bad News For Me - The Bearies
27 Make A Record With The Shags - The Shags
Docこと元歯科医
まず気になったのはアルバムの紹介文のところ。
元歯科医のThomas "Doc" Cavalierさんが作ったスタジオで録音された音源とのこと。
元歯科医から転身し、スタジオのオーナーであり、プロデューザーであり、マネージャーだったと。
どんなおっさんだったのかが気になったしまいますよね。
ありましたよ。ライナーにしっかり載ってましたよ。
さすが元歯科医、歯並びがいい。
あとアメリカの人ってこういう写真よく撮るんですかね?
日本だと大人になってから、こんなにちゃんと写真撮ることってないと思うのですが。
予断はさておき、中身の方に行きましょう。コンピレーションなのでバンドごとに見ていきましょう。
Bram Rigg Set
Bram Rigg Setは15から17歳の若者で組まれたバンドで、リーダーはドラムのベネットさん(Bram RIggとしても知られる、知らないよね)
この人の父親がマネージャーで地元の映画館なんかでライブをしていたそうです。
唯一のリリースとなる、I Can Give You Everythingがそこそこヒットして、コネチカットを中心に、ニューヨークやフロリダ辺りでもライブをしていたとのこと。
後にDoc Cavalierによって、Bram Rigg SetとThe Shagsのメンバーを組み合わせてPulseというバンドが作られたそうです。
お馴染みのI Can Give You Everything、ワイルドな仕上がり。いいファズ、そしてオルガンの組み合わせ。ナイスカバーです。
そんな彼らの未発表曲が4曲も入っていました。
中でもお勧めはキレのいいThe WhoのI Can't Explainですかね。
うっすら入るオルガンのセンスがローカルバンドっぽさ満点です。
Pebblesとかでよく耳にするようなオルガンでした。
The Shags
The Shagsは1963年に高校の友人たちで結成され、コネチカットシーンで最も人気の地元バンドだったそうです。
1965~67年にかけて複数枚のシングルをリリースしていますが、LPは出していません。
もうひとつ何かが足りなかったのでしょうか。
ビートルズフォロワーだったらしく、カバーもしていました。
I Call Your Name、いい曲ですよね。これを選ぶセンスを褒め称えたい。
彼らの演奏はなんだかガチャガチャしていますが、伸びやかなファズが特徴です。
彼らの曲、Don't Press Your Luckはコンピレーションの表題ともなっている割にちょっと地味な曲ですが不思議と何度も聴いています。
他の曲もですが、メロディがマジービートっぽくて馴染みやすいのかもしれません。
Fourth Ryke
このバンドは詳細不明で、ライナーにも「情報がない」というくらいしか情報がありませんでした。
You're Cutting Outは十代の若者がやっていそうな曲で、非常に勢いがあります。
単調なんですけど、シャウトが若くていい。シャウトで終わるのがいい。
The Lively Ones
このバンドも詳細があまり載っていませんでした。もちろんカリフォルニアのサーフロックバンドとは別物です。
6,7か月しか活動していない短命なバンドだったそうで、その理由も徴兵だったので仕方なしでしょうか。
Too Many Liesはオルガン、そしてそこそこ下品なファズ、でもなんか上品な歌というアンバランスさが貴重です。
これも十代のなせるあやうさとでも言いましょうか。
そしてガレージバンドらしからなぬ上品さが垣間見えるのもいいですね。
たぶん育ちが良かったんでしょう、幼少期はバイオリンを習っていたとか、そういう感じ。
コネチカットまとめ
全体を通して、大ヒットこそないものの、分かり易いガレージバンド感が強くていいコンピでした。
そこはかとなく上品なのはコネチカット特有のものでしょうか。これであなたもコネチカット通。コネチカットっ子ということですね。
あ、そうかDocが選抜しているから、コネチカットというよりは彼のセンスってことですかね。
音源
お気づきだと思いますがこのアルバム、なんとSpotifyで全部聴けました。
まあ充実のライナーと、Docの写真は中古CD買わないと出会えなかったんだからね!そこは大事!