#79 ファスト&スロー 上 byダニエル・カーネマン

ニーダホッファーのヘッジファンド戦略の考えの根幹にはこの本があることを知り、従前から興味があった本書であるが腰を据えて読む機会を作った。
自分の思考がどのように規定されているか、また判断をするにあたり誤りを減らすために自身の認識システムに関して理解を深めることを本書を通して行える一冊。以下、認識の誤謬の起こり方に関していくつか示唆を書き起こす。

・認識にはシステム1とシステム2があり、前者は高速で働き、ほとんど努力せずに使える。一方で後者は困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。

・システム2の活動は注意力が必要になるもの。システム1から送られてきた材料をシステム2がプロセスするため、当初の認識が異なるか、もしくは、システム2の性能がしっかりと機能しなかった場合に、人は誤った推論をすることがある。

・何度も繰り返して深い思考を要する行動を取ることはシステム2 のアウトプットをシステム1の手軽さで取り出せるようにすることなのだと思う。

・脳は基本的に省エネの機関であるため、必要最低限の努力しかしようとしなく、その場合システム1で出した答えとシステム2での答えが一緒だと判断して物事を進めることがある。

・フロー状態は、タスクへの集中と注意力の意識的なコントロールを可能にする。

・認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすい。

・十分なリソースを確保してあげることがシステム2が有効に動作することの条件でもある。

・システム1の判断を鈍らせるものとしては、先行刺激がある。前に見たつながりや印象から、次回の認識が影響を受けること。これはまた我々は慣れ親しんだものを好むことを意味する。

・ある言明の理解は必ず信じようとするところから始まる。システム1は騙されやすく、信じたがるバイアスを備えている。疑ってかかり信じないのはシステム2の役割だが、忙しくしているとこのシステムが正常に働かないことがある。

・因果的基準率は他の固有情報と容易に関連づけられることが多いが、統計的基準率は無視されることが多い。(一部の因果関係を全体に当てはめることが多い。)

・世界は予測不可能なのだから予測エラーは避けられない、そして強い主観的な自信がいくらあっても、それは予測精度を保証するものではない。(妥当性の錯覚。)

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