#43 バフェットからの手紙
バフェットをバフェットたらしめるのは、彼の珠玉の哲学とそれを実行に移す胆力なのだろう。自らの投資戦略策定にあたっても有意義な情報が数多く記載されているのみならず、株主資本構成をどのように作っていくか、資金調達先をどう決めるかを考える際にも指針となる金言が本書に散りばめられている。自分に刺さった言葉は、改めてだが、ミスターマーケット、誤りの安全域、長期的に自社の価値観に賛同してくれる株主のみを迎える準備をすること、投資は選択の科学であること。以下、本書から自分が選ぶ抜粋。。
1. ガバナンスに関して
・バフェットの株主総会では、参加者は毎年大きく変わることはない。バフェットが長期的にバークシャー株を保有してくれる人を株主として積極的に集めているから。
・バークシャーは四半期の業績にではなく、年間のパフォーマンス、そしてその重なりにこそ重きを置く。短期的な利益、大きなレバレッジをかけた取り組みは避けるようにしている。
・自らの会社を愛し、株主の立場で考え、誠実さと能力が滲み出ている人々と関わりを持てたことを感謝している。バフェットとマンガーの仕事は傑出した人を引き留めて、多岐にわたる事業を運営してもらうこと
・自分よりも器が小さい人を雇えば会社は小さくなる。自分より器が大きい人を雇えば会社は大きくなる。
・会社を経営する際には自らがその会社を100%保有していると考える、その会社があなたと家族の持つ財産の全てであり、この先もそうであると考える、少なくとも1世紀の内はその会社を売ったり、合併することはできないと考える。
・短期と長期が勝ち合う場合にはまず堀を広げる方を取る。短期の利益目標を達成するために誤った決定を下した場合その後不利になると挽回することは非常に難しい。
・いかに優秀な経営者であっても、走らない馬に乗っては何をしてもうまくいかない。いかにボートをうまく漕ぐかではなく、どのボートに乗るのが良いかを考えること。
・経営者の報酬は資本コストに見合った方法で決められるべきであって、内部留保に比例した金額や売上に連動させるべきではない。(これらは営業利益のうちの10%を毎年積み増すことや、借入を行って簡単に達成されるものだが、株主にとっては利益にならないことである。会社は株主と株主資本をつなぐものであることを覚える。)
2投資について
・投資を検討するときは、資産の将来の生産性に注目します。将来の概算利益の予想に自信が持てなければ、その件は忘れるべき。自分がわかることを理解するべき。(同時に理解できないことの線引きをし、その線を越えない規律を運用上に求めること。)
・市場の値付けは、あなたの個人事業のパートナーであるミスターマーケットという名の人物によってなされたものだと考えると良い。ミスターマーケットは日々懲りずに価格をあなたに提示するが、その誘いに乗るか否かはあなたが決める。彼は躁鬱的な時もあれば、大変高揚している時もあるが、いついかなる時も価格を提示し続けてくれるのである。優れた企業判断と、自分自身の考えや判断を市場に渦巻く強い感情から隔絶することができる能力によって投資上の成功はもたらされる。
・バークシャーの投資戦略に対して学者の多くは通常の戦略よりもリスクが高いという。しかし、特定の会社に関心を強く集中させその経済性が十分安心できる水準にある時に買うようにすれば、結果としてポートフォリオのリスクを十分に下げることができるのです。
・投資の成功は妥当な価格で購入され、その企業の業績は私たちの判断が正しかったと証明できるものでなければならない。投資の成功は自分が理解できるものに対してかなりのまとまった金額を投じることで成し遂げらる。
選択肢について
・堅実な投資というものを三語に集約しなければいけないとするなら、Margin of Safetyになる。普通株、債券、優先株、デリバティブなど色々な選択肢があるが、適切に安全域を定めることができ、価値を考えることができるものは普通株
・市場は短期的には検温器だが、長期的には計量器である。
・ミルケンの主張は、市場は効率的であるので、投資家はボラティリティを受け入れる変わりに高いリターンを得る、ゆえに新規発行された債券の価格は適正であることが高く、ボラリスクを補填するに高いリターンが見込める。
・ゼロポン債を始めたのはソロモンであり、利回り部分と切り分けたのが初め。毎期あるクーポンからの課税を避けるとともに、単利で運用されることを
質の高い株主を引きつける
・バークシャーは上場をしたがそれは売買コストを減らすためであるがそもそも高い売買を考える株主は引きつけたくないとしている。バークシャーは適正な評価水準であることを強く望み、価値以上でも価値以下でも売買されることを望まない。また、激しく売買される事を望まない。長期的に自分達の方針に納得してくれる株主を引き入れたいとしているのだ。
・バークシャーが株式分割をしないのは、質の高い株主構成を保つため。非合理的で一時的な感情に任せて株を売買するような人々が株主として存在することになると、バークシャーが他の企業株式を購入する時には役に立たない。
・配当は、企業の内部留保 1ドルあたり、少なくとも1ドル以上が株主のために創造される場合のみに行われるべき。自社株購入は、本質的価値を下回ったと判断された時にのみ行われるべき。
・バークシャーは最高の買い手である。企業価値を高めることに専念すればよく、ウォール街を相手にしなくて良くなるという利点を持つし、バークシャーのもつ潤沢な資金から必要な事業投資をスムーズに実行に移すことができる。これらはバークシャーの特徴をよく表している。
・他の人の成果を積極的に賞賛することに多くの時間を使う。静かに読んだり考えたりする時間を確保する。このことが幾つになっても学び続けるという決意を強くしている。
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