#70イノベーション・オブ・ライフ
自分の尊敬する経営者が読んでいた本で、著者はイノベーションのジレンマの著者でもある、ハーバードMBA教授のクリステンセン氏。日常生活の中におけるさまざまな意思決定において、より良い結果を得る為にはどのような問いを立てるべきか、経営学において検証済みの理論を出発し、理論的帰結が現実において非常に大切な問題へどのような方向づけをするかを示す形で本書は構成され、また身に沁みる例を持って答えていく。実際にハーバードMBAにおいて、年に一度最後の講義で著者が新たなステージへと巣立っていく学生に対してこのような講義を行なってる姿を想像すると、胸が熱くなる。
・動機づけに関して、インセンティブには、衛生要因と動機づけ要因の二つがある。衛生要因は少しでも欠けると不満に繋がる要因であり、ステータス、報酬、職の安定、作業条件、企業方針、管理方法などがこれに当たる。
ただここで目に留めておくべきは、報酬が動機づけ要因ではないということ。また衛生要因は、無いとマイナスを感じるが、あるからといって、プラスに感じるポイントではない事は特筆に値する。
・動機づけ要因は、やりがい、他社による評価、責任、自己成長を含み、仕事に内在するものである。自身の動機に関する要因を掘り下げておくことが、キャリア選択の上で大切なことになる。
・経営者は、自分の元で働く人の時間を預かる仕事である。
・自分の愛することを仕事に選びなさい。そうすればあなたは一生のうち、1日も働く必要がなくなる。
・実際に動機づけを満たしてくれる要因をもたらしてくれる仕事は、地道な計画を持ってのみもたらせるのではなく、時には、偶発的に生じることがある。創発的戦略と意図的戦略のバランスを図ること。
・バランスを取るにあたっては、新たな機械で成功する為にはどのような仮定が成り立つ必要があるのかを考えること・
・資源配分に関して、自分が実際に何に対してリソースを割いているのかを意識的にモニタリングする必要がある。達成動機の高い人が陥りやすい危険としては、今すぐ目に見える成果を生む活動に無意識に資源を配分することだ。
・立派な子供を育てるというのは、何十年も経たないと見返りが得られない。しかし人生にとって大きな満足感を与えてくれるものなのである。
・成長は気長に、利益は性急に求める必要がある。
・子育てに関しても、小さい頃から向き合い、共に時間を過ごすことをしなければ、後回しになってしまうことが多々ある。
・子供の成長を助ける為には、言葉のダンス、短絡的に答えの出るようなものではない問いかけを子供にすること。
・自分のパートナーが片づけてほしいと思っている仕事を率先して行うことができるか。どんな用事を片づけて欲しいかと想像力を持って考えること。
・子供のために全て解決するということは諸刃の剣城になる。つまり子供に対して、困ったら親が助けてくれる、もしくは、困ったら誰かが助けてくれるという誤ったメッセージを送ることになるからだ。自ら乗り越える手助けをしてあげる、心の支えになる事を目標とすること。
・子供はどんなことをやったら褒めてもらえると理解しているだろうか。どのような文化を育みたいだろうか。
・限界的思考の罠に陥ってはならない。結局は総費用を支払うことになる。これは企業にとってもそうだし、個人の意思決定に関しても紛れもなく真実である。