#25金融の世界史 バブルと戦争と株式市場
金融の世界通史として、契約の発生起源、証券、証券取引所の歴史そして題名にある通り戦争や政治動乱を経て株式市場がどのように推移してきたかをまとめた本。一冊で様々な金融用語の語源にも触れ、知的にも興味をそそられる本書からいくつか現代金融を考えるに当たり有意義な言葉をいくつか書き連ねておく。
・金融を表すfinanceはEndを示すfinと同様で、王侯の貸倒れから国債発行へと進化が見られた時代でもあった。
・近代的株式はオランダ東インド会社が発祥であり、株式取引所のおこりもアムステルダムであると考えられる。
・取引所が存在しうる所は、経済的にも発展をしていて、人の往来があるところ。富の集積、分配へのニーズと流動性が市場の発展には不可欠。
・富は豊かになるほど、近隣地域対比でコストを上昇させ、やがて覇権争いにて新興勢力の出現を手助けすることにもなる。17世紀にアムステルダムから、ロンドンへと勢力の中心が推移していった。
・貨幣ができたきっかけは、紙幣発行を金銀の残高に対して固定したくないと考えたジョンローがきっかけ。貨幣は信用に基づくという本質。当時のフランスは、硬貨不足とインフレに悩んでいた国で現在では不思議な現象。1716年に発券銀行としてバンクジェネラルを設立した。
紙幣を流通させるために、納税を紙幣で行わせたが現在のMMT理論と通ずるものがある。
・ミシシッピ会社は債券の額面と同額の額面の株式を時価で発行できた。株式が値上がりすればするほど儲かるスキームとなっていた。
・戦争は戦勝国から戦敗国への債務の移転を意味する。18世紀末の英蘭戦争とフランス革命戦争によるフランス軍の侵入により、アムステルダムは弱体。ロンドンではフランス政府への軍資金調達によって市場が整備され、国際舞台進出への舞台が整っていったのがこの時期。
・1800年台終盤に鉄道株がアメリカ開拓とともに熱を帯びると資金がアメリカに向かう。第一次世界大戦、第二次世界大戦でアメリカが戦勝国となり、国土が戦争で行われなかったことが、その後の急成長と産業発展の礎となった。