#264 ザ・クオンツ
現在自分達が目指すクオンツ運用の世界の創世者たちの生き様を垣間見れる本書。どのようなトレーディングスタイルを用いて駆け上がったか、またリーマンショックの中どのように窮地に立たされ何をしたのかに関する記述は自分達が今後超えていかなければならないテーマを見せられているようでとても参考になる。世界経済を破壊した天才たちという副題は大袈裟だと考えているが、クオンツが大きな影響力を持っていることは確かだろう。以下気になるところをハイライト。
・クオンツ運用では、何が可能なのかを知っていること。詳細を知る必要はない。全体論としてどのような手法が使われているかを知っていることが非常に大切。
・ファンドの平均資産に対する運用その他の経費を支払ってもらう仕組みを作った。
・グリフィン、ソープらはともに、転換社債アービトラージの手法をメインの運用戦略に据え置いていた。
・グリフィンは、大学生の頃、世界中のほぼ全ての商品を売買する権限をくださいと言った。
・モルガンのAPTではスタットアーブが主流な取引となった。
・シモンズはかつて、「値動きのパターンはランダムではない。しかしランダムによく似ているんだ。だからその上澄み部分は明確ではないし、上澄みをすくいあげるのも簡単じゃない。」
・AQRは運用開始の最初の20ヶ月で35%もの損を出した、程よい非合理生じゃなくてはいけなかった。
・2000年には、アスネスの会社は10億ドルのシードマネーのうち、6億ドルを失っていた。
・その後ドットコムバブルの崩壊に伴い、ファンドは3年間で180%上昇した。
・シタデルもリーマンショックで死のふちを彷徨うことになった。運用を始めて20年近く、グリフィンが年間ベースで損失を出したのは1994年の一度だけだった。しかし2008年の9月にはなんと20%,10月の終わりには年間ベースで35%もの損失となった。
・CDSの買い手がそもそも信用りすくを負担できなくなっていたこと、もう一つの打撃は連邦政府がリーマン / AIG崩壊のあと、数週間にわたって株の空売りを規制したことだった。
・空売り禁止の実施期間中、グリフィンはSEC委員長に電話をかけたが応じられなかった。
・グリフィンはシタデルの従業員に向けた2分間のビデオを世界中のシタデルオフィスに配布させた。ビデオの中で彼は、シタデルは生き延びて今以上に成長する、と述べた。
・ルネサンス・テクノロジーズは、非常に流動性の高い上場商品しか運用しておラズ、Market Makeが主導であるので、下落した株をかい、最近上昇した株を売るという逆張りの傾向がある。
・グリフィンは夜明け前から出社していた。
・2008年12月グリフィンは払い戻し請求が12億ドルを超えて、運用資産が200億ドルから130億ドルまで減っていたため、その請求に応えるのを拒んだ。その年、マイナス55%という未曾有の損失を出した。
・アスネスは激しいコメントを書き込んでしまい、資産の減少とともに、社内のモラルが低くなってしまったことを感じていた。
・2008年はヘッジファンド業界全体では-19%の損失で、1990年以来、年間ベースで損失を出したのはこれが2度目だった。
・どんなシステムでも大きすぎるレバレッジをかけてしまうと台無しになる。
・この年、メダリオン・ファンドは80%のリターンを出した。