#80 ファスト&スロー 下

上巻に続き、行動経済学の創始者であるダニエルカーネマンによる一冊。意思決定に関するより深い知見に入っていく下巻では経験と記憶の知覚の差異や、自信の妥当性などさまざまな分野に応用できる発見の数々を書き残しておく。特にデフォルトの選択性の問題では日常的にデフォルトの選択肢を後悔を避けるという観点からも選んでしまうことをどのように避けるか慎重に検討されるべき問題である。

・十分に予見可能な規則性を備えた環境であること、長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会がある、という条件に当てはまるのであれば、直感はスキルとして習得できる可能性が極めて高い。

・逆にランダム性が高い環境ではシステム1が入り込んで最もな辻褄をでっちあげることが多々あることを忘れてはならない。

・予測をする際には、内部要因のみならず、外部要因とあわせて用いる事。多くの人は過去の分布に関する情報を軽視または無視しがちであり、これが予測エラーの主因だと考えられる。

・楽観バイアスが過度なリスクテークにつながるのも上述の理由が挙げられる。

・一度立てた計画がアンカーとなり、基準率を無視する。自分がしたいことやできることばかり見て、他人の意図や能力を無視しがち。競争相手の準備を軽視する、これらは楽観的人物の特徴であり、時に高くつくことがある。

・効用を議論する際には、常に参照点からの変化を問題にすべきである。

・利得は積み上げれば積み上げるほど傾きが穏やかになり、逆に損失は、嵩むほど傾きが激しくなることがプロスペクト理論においては確かめられている。

・まれにしか起こらない出来事に対して、人間は過大な重みづけをする傾向にある。つまりありそうもない出来事が起きる確率を過大評価し、その評価に対して過大な重みをつける。

・人間の認知には広いフレーミングと狭いフレーミングが存在している。時自らがどのような暗黙の前提をおいて議論を展開しているかを確認することが非常に大切。

・デフォルトの選択肢とデフォルトから乖離した選択肢がある場合、デフォルトから乖離した選択肢を取った際に後悔する可能性が非常に高くなり、結果としてデフォルトの選択肢へと留まることが多々ある。

・経験する自己と記憶する自己がいるが、経験する自己は記憶する自己に対して上書きすることができる。正しく現状を評価するには、意図的に記憶する自己に目を向けることを訓練するべき。

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