#32会計の世界史
会計がどのように発展してきたかを時代背景に合わせて描き出し、会計がいかに経済に影響を与えているか、ビジネスに影響を与えているかを描き出した一冊。帳簿から始まり、ディスクロージャーをするまでに至った経緯とそこに含まれる人間ドラマを見ながら学べる良書である。
・イタリアのバンコは、東方貿易で商売をするヴェネツィアの商人達が至る所で換金することができるようにと為替手形取引を提供した。各国の取引でも使えるように、帳簿をつけるようになった。Bancoは机をさす言葉。
・簿記の登場によって、ヴェネツィア型の家族・親族中心のビジネスのあり方が、他人を含む仲間へ開かれていくことになった。
・VOCが登場した中世オランダは、人と情報と市場が存在していた。そこでは、絵画の小型化が起こっており、またチューリップバブルが生じていた。新たなテクノロジーが存在する場においては定番の動きなのだろうか。
・VOCは杜撰な会計基準、高すぎた株主への配当(事業が儲かっていると示すために虚偽の申告をしていたことが後に分かった)、ガバナンスへの意識の低さが裏目にでてうまくいかなかった。
・ロンドンで大火事が1666年に起こったが、石炭を用いたエネルギー革命の一歩になった。鉄道事業の進化を後押しすることになる。
・鉄道は固定資産が大きくものをいうわけだが、減価償却という概念を生み出すきっかけを与えた。イギリスでは鉄道に対する熱狂が生じ、アメリカでも鉄道株の熱狂が1920年代前半に起こった。
・当時はJFKの父親をはじめインサイダーが合法な時代であった。共同体を作ってみんなで詐欺を働くこともザラであった。SECの初代長官はJFKの父親で、泥棒を捕まえるのは泥棒が一番ということでこの人になった。
・会計のルールとして、決算書を正しく作ること、監査を受けること、潜在的な投資家に対しても正しく開示することが求められた。
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