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「都住創」ができた、その後。

「コーポラティブ住宅は最初だけ、その後は普通の集合住宅と同じだよ」と揶揄されているのを聞いたことがあった。けれども、実際に住んでみた都住創はそうではなかった。早速、理事長をさせてもらうと、とても管理に熱心で、個性的な隣人たちと出会うことができた。他の都住創はどうなのか? という疑問をもとに、2017年から都住創についての建物登記簿調査と所有者への46人のインタビュー調査を行ってきた。その調査データをもとに感じたこと、考えたことについて述べたい。

減少する第一世代 複数住戸所有

建物登記簿から所有者の変遷を追った。1970年代、1980年代に30~50代で都住創に入居した第一世代は徐々に減少する。当初は長く住むつもりで購入した方も、家族構成の変化や経済環境の変化などにより所有権移転が行われている。第一世代が今も居住している割合は20~70%となっている。

第一世代所有者の割合の経年変化
宮野(2017)より転載

自主管理とコミュニティの継承

コミュニティがしっかりしていて、良好管理ができる。というのが、コーポラティブ住宅の特徴と言われているが、これについてはどこの都住創も安心できる。「自主管理」というのが心理的なハードルになるのか、新しい居住者もおおむねコミュニティになじみやすい方が入ってきている。7~50戸と小規模なので、役員も輪番制で担当している。これが都住創のことを理解するよいキッカケになっているようだ。

次世代の育成と継承

「入居者面接」と少しびっくりするような仕組みもあったりする。購入前にコミュニティになじむ方かどうかを役員が確認する。けれども、それはおおむね和やかな挨拶で終わる。簡略化して購入後の理事長挨拶になっているところも多い。そういった顔を合わせるタイミングで、少しづつ「都住創とはね、」と第一世代が建築家の中筋さんや安原さんとの思い出を語りだす。あるいは、ケンケンガクガク大規模改修や管理規約の改正の議論の中で、当時の想いをきく。そんなプロセスを経ながら、次世代(建設経緯を共有していない所有者)は、徐々に主体的に管理に取り組むようになっている。

まちから生まれ、まちへ還る

都住創は「都市に住む」ことをテーマに掲げていた。公園横など、地域の中でもピカイチの場所が選ばれている。居住者は、他の地域からきた人もいれば、地主さんや地元の人が参加しているものもある。当時は2階建の街並みに10階建が立つ、ということで反対運動にあったものもある。しかし、40数年の時間を経て、都住創で育った子ども世代は再び都住創の別の住戸に戻ってきている。あるいは、第一世代は町会長をしていたり、第一世代から刺激を受けた次世代はPTAや学童保育の会長をしていたりする。このまちからうまれた都住創は、次第にまちをかたちづくる人の住処となり、そしてまちそのものに還っている。

コーポラティブ住宅は、もちろん普通の集合住宅だけれども、住まいとまちに愛着を持った人が住む特別な集合住宅だ。そんな様子が垣間見られるようなマガジンになればと思っている。

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