俳句の「切れ」
👇俳句についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
(´>∀<`)ゝ
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⚠️今回の記事を読む前にこちらを読んでいただくことをお勧めします。
●教えて!芭蕉先生!
上記の記事で、俳句と川柳の違いについて考察し、俳句とは、
●五七五で詠む
●季語を入れる
●「切れ」または「切れ字」を入れる
と、まとめました。
では「切れ」とはなんぞや?
が今回のテーマです。
松尾芭蕉先生の残された言葉から、それを探っていきましょう。
⚠️私の個人的見解を含みます。
ご了承ください。m(_ _)m
●「切れ」ている句とは
【登場人物】
芭蕉先生(以下先生):江戸時代の俳諧師。日本史上最高の俳諧師の1人。令和時代にタイムスリップ。
袋小路 綴乃(以下とじ乃):俳句歴8ヶ月の初心者。スナック菓子と炭酸飲料が止められず体重増加中。
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とじ乃:先生、俳句の「切れ」というのは、切字「や・かな・けり」の事ですか?
先生:「切れ」と「切字」は、厳密にいうと違うぞ。「切れ」については儂の後輩の土芳はこう説明しておる。
【発句(俳句のこと)の事は行て帰るの心の味也】
とじ乃:さっぱり 分かりません!
先生:では儂を世界的に有名にした【古池や蛙飛びこむ水のおと】で説明しよう。
とじ乃:お願いします。(自分で言うんかい・・・。)
先生:この句はどこで「切れ」ているか分かるかの?
とじ乃:ハッハッハ!これは分かりますよ。切字「や」で切れてます。
つまり【古池】【蛙飛びこむ水のおと】の二つに別れている、という事ですよね。
先生:その通りじゃ。では句の意味は分かるかの?
とじ乃:古池に蛙が飛び込んだ音がしたよ、という意味でしょ?
先生:違~~~う!バシっ
とじ乃:(っ゚∀゚)≡⊃)∀゚)∵ グハっ
先生:そんな説明的な句じゃないわい。説明的な句や事実の報告で終わっている句は「ただごと俳句」といってダサいんじゃ。
【古池】というイメージと【蛙飛びこむ水のおと】というイメージを読者に委ねておるのじゃ!
【古池】→【蛙飛びこむ水のおと】とイメージが行き、
【蛙飛びこむ水のおと】→【古池】とイメージが帰ってくる。
この行って帰るという二重構造こそが俳句の味わいじゃい!
土芳の「行て帰る」はこの二重構造の事をいっておる。
とじ乃:うぅ~ん。二重構造の感覚がよく分かりません。
先生:【古池に蛙が飛び込む水の音がした】という説明文なら上から下に読んで終わりじゃろう。
【古池】と【蛙飛びこむ水のおと】という2つのイメージだから、両者を行ったり来たり出来る。
この「行き」と「帰り」の隔たりがあればあるほど面白い句になるというわけじゃ。
とじ乃:そう言われれば何となく・・・。
先生:ま、これは鑑賞眼を鍛えることじゃな。俳句を鑑賞する時はイメージを膨らませることじゃ。どこで切れているかも注意してみるのじゃぞ。
●四十八字皆切字なり。by芭蕉
とじ乃:どこで切れているかは切字があるから分かるのではないのでしょーか?
先生:さっき「切れ」と「切字」は厳密にいうと違うと言ったじゃろ。
とじ乃:(そうだっけ?ワスレタ。)
先生:とじ乃君は「切字」は何か知っとるかの?
とじ乃:ハッハッハ!それぐらい分かります。「や・かな・けり」の事ですよ。
先生:ちょっと違~~う!バシっ
とじ乃:(っ゚∀゚)≡⊃)∀゚)∵グハっ(2回目・・・)
とじ乃:わざわざ太字の引用にする事ですか?
先生:大事なところじゃからな。
とじ乃:えー?全ての文字が切字になるの?
難しすぎる~。(๑˘・з・˘)ブー
●決められた切れ字18種類
先生:初心者のうちは、一句が切れているのか、切れていないのか分からないという事もあろう。
そんな作者のために、あらかじめこういう切れ字があると数が決められておる。
これは室町時代の連歌作法書に載っておる。
とじ乃:へぇー!切字って「や・かな・けり」だけじゃないんだー!この18種類の切字を使えば句が切れるんですね。やった!簡単じゃん。
先生:これこれ、せっかく切字を使っても「切れ」のない句もあるぞよ。逆に、切字が入っていなくても切れている句もある。その辺を判断して句作りをすることが大切なんじゃ。
とじ乃:ええ?切字を使っても切れてない句があるの?
先生:そうじゃ。とは言え、切字を使えば八割は自然と句が切れる。初心者はまず切字を入れて作ることじゃな。
とじ乃:分かりましたぁ。
●切字がなくても切れている
とじ乃:先生、切字が入ってなくても切れている句ってどういう句ですか?
先生:ふむ。では例をあげて説明しようかの。
先生:この句を鑑賞してみよ。
とじ乃:ええと、「へろへろと」はオノマトペ。ワンタンは食べ物のワンタンよね。ん?クリスマスがワンタンをへろへろとすすっている?クリスマスが擬人化?
先生:違うのぅ。中七で切れておる。
つまり【へろへろとワンタンすする】【クリスマス】という2つのイメージじゃ。
中七で切れているという事が分からなければ作者の意図と違う鑑賞をしてしまうのじゃ。
とじ乃:はぁ~難しい💦
先生:俳句の「構造」から「切れ」を見るのじゃ!
【へろへろとワンタンすする】は日常生活。【クリスマス】は行事。この2つには直接の関わりが無いじゃろう。しかしこの2つのイメージがぶつかり合うから面白い俳句になる。
とじ乃:ああ~思い出した。これ二重構造ってやつですね。でも切字がないと「切れ」を見つけるの難しそうだなぁ。
先生:まぁ、なるべくたくさんの句を鑑賞することじゃ。
とじ乃:は~い(*・∀・*)ノ
~終わり~
●おまけコラム
紫乃しゃまから「切れ」について書いて欲しいとリクエストいただきました。
しかしながら私も「切れ」について理解しているわけではありません💦
本や情報を集めただけです。┏○))ペコリ
切れがなくても俳句は成り立つか?
こちらは「切字」も「切れ」もない俳句です。
(下五の「ぬい上げし」は助動詞の連体形なので「切れ」ていない。)
ただ句に表現されていない言葉が省略されていると思います。枕を縫い上げた後の感情は読者に委ねている、という構造ですね。
フルポン村上さんがYouTubeで「絵画にも写実的な絵、抽象的な絵、ポップアート等色々あるように俳句にも色んな形がある。」と言っていました。
俳句にも「切れは読者に委ねる」という表現方法があってもよいのではないかと思います。
もちろん、初心者は避けた方が良いと思います。季重なりと同じくウルトラ級の上級技だと思います。
ではでは💕
長文読んでいただきありがとうございました。コメント等いただけると泣いて喜びます。
袋小路 綴乃
参考図書:
ユーキャンのテキストはめちゃくちゃ価値あります。もう何回も読んでます。
(*/>ω<)/
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