オーストラリア旅28日目(3/31)
「ドンドンドンドン!!!」
朝からけたたましいドアを叩く音が鳴り響く。
一体なんだというんだ??
音は僕らの部屋の入口からだった。
英語で何かを言ってるが、さっぱり分からないのでゆったんを起こす。
声の主はこのアパートの管理人だった。
英語で「この部屋を出ろ」と言っているらしい。前日にアパートに滞在する期間を延長すればこんなことにはならなかったが、忘れていたようでチェックアウトするよう部屋まできたようだった。
急いで3人で荷物を片付けて部屋を出る。
朝からこんなことになるなんて面倒臭くてしょうがない。
さらに、車に戻ると違法駐車の紙を張られており、見ると100ドル請求されていた!
なんてことだ!!!
本当に馬鹿馬鹿しいが1人およそ30ドルずつの負担だ。おれらは指定された場所に車を駐車禁止したというのに!!!
3人でこの理不尽さにイライラしていた。オーストラリアはやっぱり管理がずさんでサービスの質が悪いことが多々ある。
こんなのアパート側の責任だ。だから丁寧にメールして問い合わせたが全く返答もなく、結局払う羽目になった。こんなの日本じゃまずあり得ない。海外で生活したり、旅をするときはどんなことでも全て自分の責任で行動しなくてはならないと強く思った。
室内の清掃が終わったらまた前と同じように手続きをして、今度は絶対に駐禁の紙を貼られないようなところを見定めて駐車した。とはいってもハッキリと駐車場所を記載されていないから困る。本当にここで良いのか不安に思いながら、荷物を持って部屋へ向かった。
結局同じ部屋に案内され、もう一度冷蔵庫に食材を入れたりして、ベットに横たわった。
全く何もする気にならない。
昨晩は3人で浴びるようにお酒を飲んでいた。もともと"ほろよい"でも心臓がバクバクして酔っぱらってしまう身体なので2日酔いが酷い。
今日も志村けんの動画ばかりを見ていた。一晩寝たくらいでは気持ちが癒えなかった。志村けんのネタは小さい頃から友達や兄弟と一緒に真似していた。「アイーン」「嬉しいなぁ」「いいよなおじさん」「ひとみばあさん」。
「バカ殿様」も必ず見ていたし、変なおじさんの躍りもそっくりそのままできるくらい好きだった。
高校生くらいの時には全国ツアーの「志村魂」に友達と見に行ったりもした。
本当に小さな頃から笑いと元気をくれた存在だった。
(帰国後に描いた作品)
本当に悲しくて、ゆったんとそのことについて語り合った。コロナでまさかそのまま亡くなってしまうなんて。。アパートのベランダからメルボルンの街並みを眺めていると涙もでてきた。
有名人の死でここまで悲しくて、涙を流すなんて初めてのことだった。会ったこともないけど、僕にとっては憧れる大人の一人だった。
その後も昼間からお酒を飲んだ。
一体これからどうすればいいのか。
とうとうワーキングホリデーでオーストラリアに来た、かっちゃんやゆったんも帰国の言葉を口にし出した。
飛行機の予約サイトや、オーストラリアのコロナ対策、日本領事館の発表しているコロナ情報。
いろいろとスマホで調べたり、3人で情報共有しあった。
でも世界の情勢も政府の対応も、交通機関の運航状況も日に日に更新されていく。またフェイクニュースも横行し、確かな情報も入りずらかった。
いっそのこと、二人みたいにワーキングホリデーのビザを取得しようかとその方法も調べてみた。
そんなとき、またゆったんが散歩に誘ってくれた。
ここはメルボルンの中心部からは少し離れているため、また違う雰囲気の街並みだった。
絵を描いたり、会話したりしたことで少しは気分がリフレッシュされた。
ホテルに戻ってまた情報収集したり、志村けんの動画を見たりしていると、夜になった。
3人でまた映画を見たり、食事をしたり、語り合ったり、ふざけあったりしているうちにまた眠たくなり、ベットに倒れこんで寝た。