勝負の世界にWin-Winはあるか?(C-007 2018.06.19)
2019年3月、LIXILは「レジリエンストイレ」を発売を発表しました。トイレメーカーが災害用品へ参入する画期的なニュースです。9ヵ月前、業界では事前情報が知れ渡り、ライバルの心に火を付けます。私にとって、これ以上の吉報はありませんでした。今日の気づきは、「意外なものがきっかけで、コトは動き出す」「全力で取り組むことが勝負の世界のWin-Win」です。
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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(2018年6月19日配信)の転載です。
大阪北部で震度6の地震が発生
昨日、6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部で震度6弱の地震がありました。16日は千葉で震度4、17日は群馬で震度5弱と各地で地震が続いています。
大阪の地震発生直後に、関西に住む知人の安否を確認しました。
「かなり揺れたけど、大丈夫」
「地震速報が鳴ってから、すぐに大きく揺れた」
など知人の返信から揺れの大きさが伝わりました。
かく言う私も、この地震の影響を受けました。安全確認作業のための新幹線の運転見合わせです。東京出張から名古屋に帰るタイミングにそれが重なり、停車中ののぞみ号の車内でこの記事を書いています。不測の事態はこんな風に起きるのか、とあらためて実感しました。
連絡を取り合った関西の知人も「この揺れが次に来る大きな地震への備えの意識につながって欲しい」と話していました。
それでは今日のコンテンツです。大企業同士の新しい関わり方について考えました。
勝負の世界のWin-Win
私の本業は、トイレ専門店です。
新築、リフォーム、修理など、毎日皆さんが使っているトイレを専門的に扱っています。日本には世界屈指のトイレメーカーが2社あります。TOTOとLIXIL(INAX)です。業界に入って20年、私は仕事を通じて両社ともに深く関わってきました。
この度LIXILが、災害対応型の公共トイレシステムの発売(2019年2月予定)を発表しました。
驚きました。
なぜ驚いたか。今までLIXILが災害用トイレに興味を示したことはなかったからです。普段使っているトイレと災害用トイレは、同じ"トイレ"と言っても、まったくの別物。興味を持たないのは、市場や業界が異なり参入する理由がないからだろう、というのが私の見立てでした。
そしてそれはTOTOも同じでした。
驚きと同時に、私はこのLIXILの発表を好意的に受け止めました。嬉しかったのです。災害時トイレ問題を知った時、トイレ業界全体が無知で無関心であることにショックを受けました。あれから4年。ようやく業界を牽引する企業が、災害トイレに本気で取り組み始めたのです。
現時点で、LIXILが開発中の災害対応型トイレの詳細は不明です(まだ詳しく教えてくれない)。評価自体は、詳細がわかり次第になりますが、旧INAXから息づくモノづくりの精神と気概を既に感じています。
そして、さらに意外なことが起きました。
TOTOが災害トイレに興味を持ち始めたのです。
競合相手のTOTOは、LIXILに先手を打たれ、結果として後手の対応を強いられています。LIXILの災害対応型トイレに興味を示す客先から「TOTOさんはどうなの?」と聞かれるのは目に見えています。どう対処すればいいのか。彼らは情報を求めています。
私は嬉しい。
こんなカタチで大好きな2社と災害時トイレ問題の解決に取り組めるとは想像もしませんでした。TOTO、LIXIL、それぞれの営業担当の方と話しました。このメルマガを通じて私の取り組みを知り、頼りにしてくれているようです。
最大手メーカーが平常時のみならず、非常時のトイレについても取り組み始めた。両社が互いの強みを活かして本気を出せば、トイレメーカーとしての貢献が必ずやできるはず。その手伝いができたら、TOTO、LIXILをともに愛する私にとって、こんなに嬉しいことはありません。
一方の会社の社員の方と以前に話したことがあります。
「勝ち負けではない、両社がともに勝利するWin-Winの関係をつくりたい」
それを聞いてワクワク、ゾクゾクしました。こんなにも早く、その兆しを見るとは予想もしませんでした。続報にご期待ください。
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◇今回の気づき
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意外なものがきっかけで、コトは動き出す
全力で取り組むことが勝負の世界のWin-Win
【関連情報】
LIXILの災害用トイレは2019年3月に発表、4月に発売されました。
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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(vol.007 2018年6月19日配信)のコンテンツ部の転載です。(タイトルの"C"は、"Content"の頭文字)
あきらかな誤字・脱字を除き、当時の文章をそのまま「軌跡」として残します。
この日の「編集後記」は告知につき記事化しておりません。