麻雀はいすくーる・手役派学級(7)

第7局　高嶺の花奈さん

≪「第6局　立直、襲来」へ

・三木貢(みき　みつぐ)　厨二。トライアスロン同好会。
・三日音刻子(みつひね　ときこ)　姉御肌。長距離走。
・手倉木貢(てくらぎ　みつぐ)　冷酷無比。虎視眈々。
・嶺上花奈(みねかみ　かな)　純粋無垢。カフェ店員。
・箱下潜(はこした　もぐる)　奇跡を呼ぶ男。

【　放課後。練習に行く前の三木貢と三日音刻子　】

三木『これ、テンパイだけど(🀉3m)のアンカンをしてもいいよね？』
三日音『ええ、異論はないわ。』
三木『良かった。三日音さんは(🀗8s)切りリーチ派かも。と思ってたから。』
三日音『(🀖7s)出アガリでは2600しかないじゃないの。(🀈2m)はたしかに良い待ちだけど、さすがにね。裏ドラが乗りにくい形だとリーチのメリットも少ない気がするし。』
三木『そうだよね。さすがにこれはカンだよね。』
三日音『一応聞いておくけど、サンカンツ狙いでダイミンカンとかはしないわよね？』
三木『即ダイミンカンはしない。でも、もう一つアンカンできたら、確定サンカンツのカンはするかな。』
三日音『呆れた。スーアンコーイーシャンテンなのよ？』
三木『わかってる。それでも僕には、チャレンジする義務がある。』

担任『なあ。』
三日音『！！ビックリした！！』
三木『先生、いつからそこにいるの？』
担任『「(🀉3m)のアンカン」って聞こえたあたりから。』
三日音『最初から居たのね・・・』
三木『で、どうしたの？』
担任『「アンカン」と「ダイミンカン」って、何が違うんだっけ？』

【　三日音と三木の二人で、箱下に暗槓と大明槓の違いを解説　】

担任『いやー、なるほどなぁ。麻雀打ってる時は大丈夫なんだけど、言葉がちゃんと分かって無くてさぁ。ありがとなー。(スタスタ)』

三日音『急に現れて、急に居なくなるのね。』
三木『先生らしいね。』
？？『おい。』
三木『なんだい？手倉木くん。君の方から僕に話しかけるなんて、珍しいじゃないか。』
手倉木『お前とは口も利きたくないが仕方ない。さっきの説明だけで良かったのか？』
三日音『何？あなたたち、仲が悪いんだっけ？』
三木『僕はそんなつもりはないんだけどね。彼がなにかと突っかかってくるんだ。』

手倉木『嶺上を守るのがオレの仕事だ。』
三木『彼女が君にそう頼んだのかい？恋愛はいつだって自由競争のはずだが。』
三日音『へえ。』
三木『僕は毎日、彼女の事を震えながら考えているんだ。高嶺の花かもしれない。でも、僕にはチャレンジする義務がある。』
手倉木『そんなことは知らん。オレは嶺上を守るだけだ。もし彼女が振り向かなくても、あの微笑みをオレは忘れない。無闇にその花を摘もうとする者がいれば、排除させてもらう。』
三日音『みつぐ同士、仲よくすればいいのに。ところで、手倉木くんの「さっきの説明だけで良かったのか？」って何なの？』

手倉木『加槓の話はしなくて良かったのか？ということだ。』
三日音『あ・・・』
三木『たしかにそこの説明を忘れていたのはこちらの落ち度だね。明日、ちゃんと説明するよ。』
手倉木『間に合えばいいがな。』
三日音『そうね。』
三木『どういうことだい？』
手倉木『ありえないタイミングで、ありえない逆ミラクルを起こす。それが、箱下先生という男だ。』
三木『う、、、否定できない。』

【　翌朝のホームルーム　】

担任『・・・昨日、チョンボしちゃってさ。。。』
嶺上『先生、そんなに落ち込まないで。失敗は誰にでもあります。』
担任『嶺上は優しいな。ありがとう。でもさ、なんでチョンボだったのかが分からないんだ。』
三日音『そんなことある？』
担任『従業員さんに、「チョンボですね」って言われた瞬間に、頭が真っ白になっちゃって。』
三日音『状況は思い出せるの？』

担任『確か、こんな状況だったな。上家さんの(🀏9m)でアガったんだけど、「チョンボ」って言われて。(🀊4m)は切ったけど、フリテンじゃないよね？これ。』
一色混『先生、良く(🀊4m)を切れましたね。(🀊4m)切りが一番広いので見事だと思います。』
担任『うん。テンパイ直前に(🀈2m)が切られてチーしようとしたら、下家さんにポンをされちゃったんだよ。どうしようと思ってたら(🀍7m)ツモ。(🀉🀌🀏369m)待ちになる！！と思って(🀊4m)を切ったんだよなぁ。』
一色混『惜しかったです。これは(🀈2m)でもアガれる4面待ちです。』
担任『(🀈2m)？そうか！！(🀈2m)でもアガれるか！！！見落としてたな。ん？でも、河に(🀈2m)は出て無いと思うけどな。』
三木『う・・・槓ドラがめくれてる。まさか・・・』

手倉木『先生。東がドラになったタイミングは分かりますか？』
担任『それは、テンパイ直後に。確か、下家さんのカンで・・・』
手倉木『カンされた牌、(🀈2m)じゃありませんでしたか？』
担任『あ！！！そうだ！！！(🀈2m)のカンしてた。やったードラ3だ！って思ったもん。』
三日音『同巡見逃しでチョンボだったのね。』
担任『あれ？あの(🀈2m)でアガれるんだっけ・・・』
三木『先生・・・ごめん。』

手倉木『河以外の牌で唯一、ロンアガリできるケースです。ポンされた牌に対して加槓された場合にのみ権利が発生します。役名は「チャンカン」。1翻役になります。』
担任『チャンカン・・・聞いたことあるけど、遭遇したことがなかったから・・・』
嶺上『先生、惜しかったね。』
担任『な！ホンイツ・W東・チャンカン・ドラ3で倍満だったのか。もったいなかったなぁ。』
手倉木『先生。チャンカン時のカンでは新ドラは乗りません。満貫止まりです。』
担任『なんだ。じゃぁ、見逃して正解じゃん。』
生徒一同『不正解です！！！』

(終)

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