麻雀はいすくーる・手役派学級(4)
第4局 上位互換(後)
今回の主な登場人物
・一色混(いっしき まじる) 五里霧中。生徒会副会長。
・一色清(いっしき きよし) 英俊豪傑。生徒会会長。
・一瀬通代(いちのせ みちよ) 才色兼備。生徒会書記。
・帯島全(おびしま ぜん) 八種九牌。一般生徒。
混『こんな時間まで学校にいるなら、泊まっていけばいいじゃないか。そうすれば、さすがの君も遅刻しないだろう。』
全『・・・』
混『無視するな!』
全『いや、めんどくさくて。つい。』
混『まったく、失礼な奴だ。・・・話しかけたついでだ。君はこれ、どうする?』
東一局 東家 4巡目 上家から場に1枚目の(🀈2m)が出たところ
全『ん?鳴くか?ってことか。123でチーすれば一応イッツーは残るのか。でも、4巡目に2900濃厚の仕掛けはやってないな。鳴かない。』
【 一色混は、今日の生徒会室でのやりとりが頭に浮かぶ。 】
混『僕は鳴きません。例え、場に3枚目の(🀈2m)であったとしてもです。この形ではメンゼン進行にしないと打点が不十分だと思います。』
清『混。鳴きはテンパイスピードを上げるためのものだと思い込んでいるんじゃないのか?』
混『清兄さんの言いたいことは解ります。ここから字牌を全部落としてチンイツへ移行するつもりなんですよね?』
清『その通りだ。混は枚数のことを気にしていたが、むしろ1枚目だからこそ鳴く、という考え方もある。』
混『仕掛けて満貫は確かに強い。でも、1枚目から仕掛けて他家の注目を浴びるのは得策ではありません。』
清『それは自意識過剰だ。たった1つ鳴いただけで「注目してもらえる」なんて思わない方がいい。あまりに自分中心だと、この先苦労するぞ。』
【 そう言葉を残して、清は会長席に戻る。混も、一瀬の隣の自席に座る。 】
一瀬『あいかわらず、会長は混さんに厳しいですね。』
混『聞こえてたのか。』
一瀬『ええ。少し気になることもありましたし。』
混『気になること?』
一瀬『はい。(🀈2m)をチーした場合ですが、何を切るのがいいんでしょうか?』
混『!!』
一瀬『(🀀東)を切るのが自然なんでしょうが、(🀃北)を切ってもいいものか?と。』
混『なるほど。W(🀀東)が重なった時は採用。それに、他家にとって一番切りにくい牌を留めさせる効果もあるかもしれないな。』
一瀬『あまり良くない選択でしょうか?』
混『いや、そんなことはない。有力な打牌候補の一つだ。改めて自分の視野の狭さを実感することができたよ。ありがとう。』
一瀬『そんな。感謝されるほどのことではありませんわ。ただ、チンイツもホンイツも、どちらも優秀な役だと思っているので・・・』
【 帯島全の返答を聞いて、一色混の頬が少し緩む。 】
全『鳴かない。』
混『はぁ。君も僕と同じか。』
全『なんかむかつくな。』
混『いつの間にか、君の事を過大評価していたようだ。』
全『いつも以上に失礼な奴だ。あと、自分の事も落としてるからな?』
混『気にしないでくれ。偉大な兄を持つが故の苦悩だ。』
全『・・・お前んとこの兄貴「も」、大層ご立派だもんな。』
混『「も」とはなんだ「も」とは!清兄さんほど立派な人は他にはいない。簡単に「も」とか言わないでくれ!!!』
全『急に怒鳴るんじゃねえ!うっせぇよ!!!』
【 お互いに毒づきながらも、同じペースで学校から離れていく 】
(終)