麻雀はいすくーる・手役派学級(14)

オーラス・3本場

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今回の主な登場人物
・鳥降大車輪(とりふる だいしゃりん) 校長。雀闘力 36,000


【 校長室 】

対馬『失礼します!!野球部の対馬です。』
三日音『陸上部の三日音です。』
鳥降『おやおや。野球部と陸上部のエースが、突然どうしたんですか。他の皆さんも、練習の時間ですよね?』
三日音『箱下先生の処遇について、お願いがあって参りました。』
鳥降『そうですか。お話を聞きましょう。』

【 事情を説明する三日音。笑顔を維持したまま話を聞く校長 】

鳥降『事情はわかりました。箱下先生はずいぶんと生徒に好かれていたようですね。』
対馬『では、僕たちはこれからも箱下先生に教わることができるんですね!』
鳥降『いえ。それはできません。』
三日音『なぜですか?』
鳥降『まず、すでに後任の先生を手配してしまいました。緊急な人事のお願いを理事長にしたのです。これを取り下げるとなると、私が信用を失ってしまいます。』
対馬『やればできる!』
鳥降『こればかりは相手のあることです。できることとできないことがあります。そしてもう一つの理由ですが、「指導される側の人間」が慕っていたとしても「優れた指導者」であるかどうかは、また別の話なのです。』

鳥降『当校でもトップの実力を持つアスリートの皆さんですから、良く解るのではありませんか?例え選手に嫌われていても能力を伸ばすことのできるコーチこそが、優秀なコーチである、と。』
三日音『・・・思い当たるところはあります。』
鳥降『ですよね。つまり、箱下先生の指導者としての能力を示すのは、あなたたち自身をおいて、他にはいないのです。その結果が今回の人事ということになります。』
対馬『箱下先生は、僕に自信を持たせてくれました。』
三日音『他にも、箱下先生は独創的な発想や視点を持っています。そのことで私たちが得た物も数多くあります!』
鳥降『わかりました。そこまで言うのなら、みなさんの実力を今ここで示していただきましょう。』

~ バトルスタート ~

鳥降『なかなかやりますが、まだまだですね。』
三日音『さすが、この学校のトップだわ。』
対馬『ああ、燃えてきた!』
鳥降『その精神力は見事です。アスリートはこうでなければいけませんね。』

三日音『つ、強い。』
鳥降『せっかく各部のエース級が揃っているのです。みなさんに、なぜ私がスポーツ教育に力を入れているかを聞いていただきましょう。』
対馬『なぜですか?』
鳥降『私は、スポーツが好き、というより、オリンピックが好きなのです。』
生徒一同『!!!』
鳥降『ライバルとしのぎを削り己を高め、国の代表としてプレーする姿に、神々しささえ感じるのです。みなさんには、ぜひあの舞台に立って欲しい。それが私の教育者としての夢なのです。』
対馬『必ず、期待に応えて見せます!』
鳥降『頼もしい!!では、なぜ麻雀にも力をいれるのか。それは、麻雀の競技としての可能性を信じているからです。』

鳥降『ある時期に、「麻雀をオリンピック種目に」という声が上がりました。その時はかつてないほどに胸が高鳴りました。麻雀は、ルールこそ統一されていませんが、世界中多くの人々を虜にする魅力あるものです。道のりが困難であることは仕方がない。でもそれは、「麻雀をオリンピック種目に」という夢を諦める理由にはなりません。ルールなどを整備していつか実現したその舞台に、やはりこの学校出身の選手に立っていて欲しいのです。』
三日音『校長先生・・・』
鳥降『オリンピックはまだまだ先かもしれませんが、近い将来、世界の国々と麻雀で競う時代が来るはずです。その時の為の人材育成です。あなたたちが若者でいられる時間はわずか。生徒の為にならない指導者であれば、今回のように即座に入れ替えを行うつもりです。』

【 反論できずにいる箱下学級の生徒 】

~ オーラス ~

鳥降『ちょっと多くを語っているうちに、オーラスですか。アスリートとしてのあなたたちの力は認めますが、雀士としてはこの程度なのが残念です。対馬くん。君の夢はたしか、ピッチャー・バッター・Mリーガーの三刀流として活躍することではありませんでしたか?』
対馬『ポン!』
三日音『!!!対馬くん!!』
対馬『ああ、やってしまった・・・』
鳥降『・・・だからその癖はすぐに直したほうがいい、と言ったのです。誤ポンは和了放棄になりますが、いいんですね?』
老川『いえ、鳴きます。対馬、下を向くな!』
三木『ああ。ボクたちがついているじゃないか。』
三同『諦めたらそこで対局終了だよ。』
対馬『みんな・・・』
三日音『さぁ、ラストスパートよ。みんなで最後まで闘いましょう!』

対馬『老川くん!!頼んだ!』
老川『ああ!三同!!』
三同『了解!三木くん!!』
三木『みんながつないだタスキは受け取った。最後は頼んだよ。三日音さん。そして花奈さん!!』

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vs鳥降校長

嶺上『ツモ!』
三日音『6000/12000!!』
嶺上『逆転です!校長先生。』
三木『さすがは、僕の希望だ!花奈さん、結婚してください。』
嶺上『ごめんなさい。』

対馬『みんな!ありがとう!本当にありがとう!』
老川『こんな奇跡が起こるなら、団体競技も悪くないかもな。』
三同『俺たちは強い!』
鳥降『見事です。今、目の前にあるものこそが、私が求めていたものです。君たちは素晴らしい。』
三日音『では、箱下先生の件の撤回は?』
鳥降『いいでしょう。この素晴らしいクラスの将来を、私も見守りたくなりました。すぐに尽力します。』
生徒一同『やったーー!!!!』
??『やかましい!!!』

(続)

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