麻雀はいすくーる・手役派学級(13)

オーラス・2本場

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今回の主な登場人物
・安倍満番万(あべみつ ばんばん)教頭。雀闘力 24,000。

【 生徒指導室を出る一色混と一瀬。職員室に向かう途中で、元や風間が集めたクラスメイト達と遭遇する。 】

三日音『話は元くんたちから聞いたわ。』
一瀬『頭羽先生によると、クビかどうかはわからないみたいでした。なので今から、教頭先生のところに話を聞きに行くところです。』
対馬『じゃぁ、僕たちも行こう!』
一色混『職員室に大勢で押しかけても、他の先生たちに遮られそうだな。三日音さん対馬君には一緒に来てもらって、他の人たちは職員室の外で待っていてくれないだろうか。』
風間西矢『わかった。』
風間北斗『一色、頼んだぞ。』

一色混『失礼します。』

【 職員室の扉を開けて、一番奥にいる教頭に向かって進む、一色混・一瀬・対馬・三日音の四人。中の様子が外に聞こえるように、扉は少し開いたままだ。 】

一色混『教頭先生。お話があります。』
安倍満『箱下先生のことですね。』
一瀬『はい。箱下先生が私達の担任を外れるというのは、本当なんですか?』
安倍満『はい。本当です。』
対馬『なぜですか??』
安倍満『それは、勤務態度や普段の生活に問題がある、と私が判断したからです。』
三日音『以前、教頭先生箱下先生の睡眠不足を指摘された件ですか?』
安倍満『睡眠不足自体は問題ありません。ただ、「準備不足の状態で授業に臨んでいる」と、生徒に話してしまうこと。それが問題なのです。あなたたちも社会に出れば分かります。取引先相手に「今日、寝不足で」などと言ってしまう人間が、仕事相手として「信頼」されると思いますか?』

一色混『教頭先生のおっしゃりたいことはわかります。ですが、箱下先生は僕たちとの距離を詰めるために、フランクな発言をしてくれているんだと思うんです。』
安倍満『例えそうであったとしても。そもそも、教師と生徒が仲良くする必要が無いんです。教師に必要なのは生徒からの「信頼」です。それを得るためには、失敗の多い箱下先生のような方には教壇から去っていただく必要があるのです。』
対馬『!!箱下先生は、やはりクビなのですか??』
安倍満『すぐにではありませんが、後任の先生が着任次第、退職となると思います。今、校長先生に後任となる方を手配してもらっているところです。』

一瀬『混さん・・・すぐにでも校長先生を止めないと!』
一色混『そうだな。でも、僕は校長先生との面識が全く無い。話を聞いてくれるだろうか。』
三日音『校長先生との面識、私はあるわよ。私の名前もなぜか知っていたわね。』
対馬『僕もだ。』
一色混『・・・そういえば、兄さんに聞いたことがある。校長先生がスポーツ好きだから、この学校の運動部の施設は他校に比べてすごく充実している、と。』
一瀬『じゃぁ・・・』
一色混『ああ。対馬くん三日音さん。頼む。』
対馬『ポン!』
三日音『わかった。外のみんなと一緒に、校長室に行ってくるわ。』

安倍満『ちょっと、待ちなさい!』
一色混『教頭先生、まだ先ほどの議論が終わっていません。』
安倍満『議論などしていましたか?箱下先生はこの学校には不要、という決定事項だけお伝えしたはずですが?』
一色混『まさにその部分です。「箱下先生が必要」と考える僕たちと、徹底的に闘論をしましょう!』

~ バトルスタート ~

安倍満『ロン。3900。』
一瀬『きゃっ!』
一色混『通代さん!!』
一瀬『・・・大丈夫です。』
安倍満『話になりませんね。やはり、箱下先生に君たちの指導は無理だったのです。』
一色混『箱下先生の何がそんなにダメだと言うんですか。』
安倍満『すべてです。つい最近もチョンボをしたそうじゃないですか。我が校の教師として恥ずかしい限りです。』
一瀬『チョンボの、、、チョンボの何が悪いのですか!!』

安倍満『??生徒会役員の発言とは思えませんね。チョンボなんて愚の骨頂。同卓者に与える影響などを考えたら、麻雀においてこれほどの罪はありません。』
一色混『その考え方は間違っています!それでは、麻雀を始めたばかりの初心者はどうすればいいんですか?箱下先生のように麻雀が大好きで勉強中の人の打てる場所が、無くなってしまいます!!』
一瀬『そうです。ルールにのっとった罰則を払って。その上で、影響を与えてしまった同卓者への謝罪。それで、充分じゃありませんか?それ以上に批判される意味がまったく理解できません。』
安倍満『そんな考え方では、同じ失敗を繰り返すだけなのです。』
一色混『教頭先生は失敗をしないのですか?』
安倍満『教員になって30年。麻雀においてミスをした記憶は、一つも無いかもしれませんね。ロン。3900。』

~ オーラス ~

安倍満『さて。そろそろ決着です。最後まで良く粘りましたが、もう限界でしょう。』
一色混『くっ・・・』
安倍満『あなた達のノーテン終了でもいいですが、この手で終わらせてあげます。』
??『(油断したね。)』
??『(ああ。今だ!)』

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vs安倍満教頭

安倍満『カン』
手倉木『ロン!』
風間南夫『16,000!逆転だね。』
一瀬『手倉木くん!!南夫くんも!!』
風間南夫『いやー、職員室に忍び込むのは勇気がいるね。』
一色混『なんでここに?校長室へ行ったんじゃ・・・』
風間南夫『だって、僕は運動部じゃないし。』
手倉木『あっちには三木がいたんでな。』
一瀬『とても助かりました。』
一色混『ああ、ありがとう!!』
安倍満『くっ。』

一色混『教頭先生がしたミスは、おそらく3つ。』
安倍満『・・・』
一色混『1つ目は僕たちのテンパイ率を低く見積もったこと。2つ目はテンパイしていたとしても「倍満は無い」と思ったこと。3つ目は、チャンカンの可能性を考えなかったこと。』
安倍満『・・・ええ。』
手倉木『奇遇ですね。箱下先生のチョンボも、チャンカンによる同巡見逃しだったんですよ。』
安倍満『・・・そうなんですね。箱下先生と同じミスをするとはね。』
風間南夫『(ま、箱下先生は待ちも見落としてたんだけどね~)』
一色混『失敗することが大嫌いな教頭先生でも、ミスはしてしまうんです。つまり、誰にだって失敗する可能性がある。ならば、ミスをした時だけ一方的に責めるのは、フェアじゃないのではないでしょうか?』

安倍満『責められる立場になると、何も言い返せませんね。』
一瀬『いえ。責めているつもりはありません。ただ、ミスをして傷つかない人なんて居ないと思います。でも、箱下先生はそんな自分の傷も、私達の糧にしようとしてくれる先生なのではないでしょうか?』
風間南夫『えー?箱下先生に幻想抱き過ぎじゃない?』
手倉木『いや。気になることはあった。先日のチャンカンの話の時だ。頭が真っ白になっていた人間(第7局参照)が、あんなに明確に河状況を覚えていられるものだろうか?』
一瀬『確かに・・・箱下先生は今、どこに??』
安倍満『少し前に校長室に呼ばれてから、姿を見ていません。』
一色混『教頭先生!!今一度、箱下先生の処遇を考え直してはいただけないでしょうか?』
安倍満『私の一存では難しいですが、校長先生次第では・・・』
一色混『わかりました!ありがとうございます!!』

【 職員室を飛び出す一色たち 】

(続)

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