あったかもしれない話
上層部
『最近、麻雀プロをゲストに呼ぶホールが増えているそうじゃないか』
麻雀事業部トップ
『はい。そのようですね』
上層部
『評判も良いらしいな。我が社の台を設置してくれているホールからも、ゲストに呼んで欲しいという声が上がっているようだぞ。うちにも、人気の選手はいるだろう?』
麻雀事業部トップ
『はい。彼女たちは人柄も人気も素晴らしく、チームの看板選手です。しかし事情がありまして・・・』
上層部
『事情?事情とはなんだ?』
麻雀事業部トップ
『彼女たちは、その、、、ライバル会社と契約している団体の所属でして』
上層部
『どういうことだ?そんな二重契約みたいなことはありえ無いだろう。それは我が社と契約する前からなのか?』
麻雀事業部トップ
『はい・・・』
上層部
『なぜ、そんな選手と契約したのだ?立ち上げ時はゲーム事業部出身が責任者だったな』
麻雀事業部トップ
『当時の担当者は麻雀団体の垣根を超えたチーム作りをしたかったようです。その頃は、麻雀プロがホールのゲストに呼ばれることも稀だったようで』
上層部
『わが社の麻雀ゲームには参加できたのか?』
麻雀事業部トップ
『麻雀アプリへの登場は叶いませんが、その分は織り込み済みだったようです。それほど、団体のしがらみとは縁遠いチームを作りたかった、と。そういった想いが選手にもファンにも伝わり、チームカラーとなりました。そこを愛してくれているファンも多いです』
上層部
『では、その選手には団体から移籍してもらえばいいのだな』
麻雀事業部トップ
『それはさせられません!!』
上層部
『じゃぁ、どうする?我々はどうすれば、我が社所属の麻雀プロを呼びたいホールの要望に応えられる?』
麻雀事業部トップ
『・・・』
上層部
『我々、特に遊技台事業部の顧客は誰だ?君ならわかるだろう』
麻雀事業部トップ
『我が社の台で遊んでくれるユーザーの皆様と、台を購入してくれる全国のホールです』
上層部
『ならば、その顧客の要望にはできる限り応えなきゃいかん』
麻雀事業部トップ
『し、しかし・・・』
上層部
『我が社の主力は遊技台事業部だ。ゲーム事業部出身の君には、酷な話だがな』
麻雀事業部トップ
『監督になんと言えば・・・』
上層部
『監督?』
麻雀事業部トップ
『そんなことをさせる為に監督になってもらったわけじゃないのに・・・』
上層部
『申し訳ないが、これは経営上必要なことだ。私を悪者にしてもらって構わない。君にも監督にも負担をかけるが、何とかして新しいチームカラーを打ち出してほしい』
麻雀事業部トップ
『時間はかかりますよ。一度離れたファンは戻ってきません!彼女たちの代わりに入ってくる選手にだって、ものすごい負担を強いることになる!』
上層部
『覚悟の上だ』
麻雀事業部トップ
『わかりました。やってやりますよ。監督と一緒に、今まで以上に愛される最高のチームを作ってやりますよ!』
上層部
『すまない。よろしく頼む』
(終)