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共存のモザイク
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違いが響き合い、新しい価値を生む環境づくり
私たちが暮らす社会には、多様な価値観、考え方、個性が存在します。しかし、異なるものが同じ場所にあるだけでは「共存」が成り立つわけではありません。共存とは、お互いが影響を与え合いながらも、それぞれの本質を損なうことなく共にあることです。「共存のモザイク」とは、異なるもの同士が均質化されるのではなく、それぞれの違いを保ちながらも響き合い、新しい価値や関係性が生まれる状態を目指す考え方です。これは、「融合」や「調和」とは異なります。
融合 … 異なるものをひとつにまとめ、一体化すること。
調和 … 対立を避けながらバランスを保つこと。
それに対し、「共存のモザイク」は、個々の違いをそのまま活かしながら、共鳴し合うことで新たな価値を生み出すことを目指します。
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現代社会における「共存のモザイク」の必要性
現代社会では、効率や生産性を優先するあまり、個々の価値観や感情が見えにくくなることがあります。私たちは、よりスムーズに仕事を進めるために、共通のルールや方法を採用します。しかし、そのプロセスの中で、個々の違いや独自の視点が軽視されてしまうことも少なくありません。
「違いを受け入れること」と「違いを活かせる環境をつくること」は異なります。
多様性を尊重すると言いながらも、実際には「みんなが同じやり方で進めること」を求められることもあるでしょう。すると、本来生まれるはずの新しいアイデアや価値が、発揮される前に埋もれてしまうのです。
だからこそ、「共存のモザイク」は、違いを否定せず、また無理に統一しようとせず、それぞれの個性が響き合う環境をつくるための考え方なのです。
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『adopt』における「共存のモザイク」の表現
作品『adopt』では、フェイクグリーンと丸い絵という二つの要素を通じて、「共存のモザイク」を視覚的に表現しています。
フェイクグリーン → 社会の大きな流れや規範、組織のルール、自然の不可避な力を象徴する。一見、安定的で普遍的に見えるが、その中では個々の違いが埋もれやすい特性を持つ。
丸い絵 → 個々の感情や個性、異なる視点や価値観を象徴する。さまざまな色の絵の具が飛び散った形跡で構成され、多様性の象徴となる。
この二つの要素が交差することで、「個」と「社会」がどのように関わり合い、時には埋もれ、時には際立つのかを示しています。フェイクグリーンが丸い絵を覆い隠すことで、社会の大きな流れの中で個性が見えなくなってしまう様子を表し、一方で、その隙間から色とりどりの絵が見えることで、多様性が完全に消えてしまうことはないと示唆しています。つまり、私たちの社会には、個人の違いが一度埋もれてしまう場面もあるけれど、その違いが完全に消えてしまうわけではなく、むしろ共鳴し合いながら存在し続ける可能性があるということを伝えているのです。
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「共存のモザイク」を実装するワークシート
「共存のモザイク」は、生産性や利便性の視点では“無駄”とされてしまいがちな人間らしさを見える化し、共有することで、多様性を自然に高めていく参加型のプログラムです。
ワークシート(A3サイズ)を使った進め方
ワークシートの配布(無料)
組織内でワークシートを配布し、従業員が自分の考えや経験を自由に記入できるようにします。ワークシートの記入
用意された6つの設問に従って書き込むことで、自分自身の価値観や経験を見つめ直し、言語化します。adopt専用ボードへの掲示
完成したワークシートを社内の専用ボードに貼り出し、従業員全員が共有できる状態にします。共有と理解の深化
他の人のワークシートを自由に見たり、話題にしたりすることで、相互理解と共感が自然に生まれるようになります。
これによって、職場内の無意識のジャッジを減らし、互いの違いを尊重し合う企業文化を育むことを目指します。
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ワークシートの6つの設問
1. 比較しなくても良いこと
自分の独自性や個性、外発的な価値・内発的な価値など、比べなくても良いことを書き出します。
不要な比較を手放すことで、自分の個性を受け入れやすくなり、前向きな自己認識が生まれるきっかけとなります。
例: 「性格や個性の違い」「学歴や出身校」「お互いの才能や特技の優劣」
2. 自分の人生をシェアしよう
過去を振り返り、大切だった出来事や経験を書き出します。
何か特定の思い出が浮かばない場合は、**“今まで生きてこられた理由”や“支えになったもの”**を挙げてもOKです。
共有を通じて相互理解を深め、参加しやすい多様なコミュニティが育ちます。
例: 「身につけたスキルや専門知識」「ペットへの愛着やエピソード」「芸術・クリエイティブな才能」
3. 社内の人の人生を理解しよう
社内の中で、誰か一人を想定して、その人の大切な出来事や経験をリストアップしてみます。
異なる背景や特徴を持つ人たちの違いを知り、認め合うことで、ともに成長できる環境を作り出します。
例: 「異なる教育レベルや背景を持つ人」「異なる家族構成や状況の人」「人生で一番辛かった出来事と乗り越え方」
4. 社外で興味がある人の人生を理解しよう
社外に目を向け、興味がある・もっと理解を深めたい人々をリストアップします。
自分とは異なる視点と出会うことで、新しいアイデアや解決策が生まれるきっかけになります。
例: 「異なる職業や専門分野をもつ人」「異なる言語や方言を話す人」「異なる文化や国籍の人」
5. お互いにサポートできること
「自分には関係ない」と思いがちな部署やチームに対して、自分ができることや気づいたことを挙げます。
分野外の視点やスキル共有、人脈の提供など、意外なところで価値が生まれる可能性があります。
例: 「スキルや知識の共有」「コネクションの紹介」「分野外の視点からの提案」
6. 学びたいことや成長したい分野
今後、自分が学びたいことや成長したい分野を自由にリストアップします。
それを全員で共有し合うことで、企業や組織の新たな成長のヒントにつながり、思いがけないコラボレーションが生まれることもあります。
例: 「未経験の分野やスキルの習得」「新しい言語や文化の勉強」「苦手分野の克服法の学習」
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多様性が高い企業文化を育む「基礎的な部分」
「共存のモザイク」では、外からの力(社会的な規範・組織のルールなど)に埋もれがちな個々の感性や価値観を、ワークシートによって可視化し、共有する場を提供します。
これにより、
一人ひとりの違いが認められ、自然に組織全体の多様性が高まり、
本来、“無駄”と見なされていたかもしれない部分に、新たな価値を見出しやすくなります。
結果として、チームワークやイノベーションが促進され、生産性にも好影響をもたらします。
私たちが目指すのは、競争よりも創造を重視し、互いの違いが見えなくなることなく共に存在できる環境です。「共存のモザイク」は、外からの力に隠されてしまう人間らしさを“再定義”し、組織全体の創造力や生産性を高めることが期待されます。
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