【特許法】外書の訳文がなくても特29の2の地位が発生するケース
外国語書面出願(外書)についてです。
外書の訳文がなくても特29条の2が発生するケースは、国内優先の先願公開擬制(特41条3項)となった場合。
先願はどうせ取下になってしまう(特42条1項)ので、先願となった外書の訳文は不要という理解です。
外書は通常、訳文がないと、(結果として)29条の2(拡大先願)の地位が発生しないことになります。
根拠としては、
・特29条の2 第4かっこ、吉藤※P370
外書の29の2は外書から発生
・特36条の2第2項
外書は優先日から1年4月以内に訳文提出
・特36条の2第5項
指定期間内(同4項、2月)に訳文提出がないと、出願取下擬制
以上から、
・訳文がないと、出願公開(特66条、出願日から1年6月)までに取下。公開の対象にならない→29条の2の対象外
と見えますが、
・取下の前に、長官による通知(特36条の2第3項)
があるため、取下が出願公開までに間に合わないことがありそうな。
とすると、外書のみで公開されそうに見えます。
実務上は何かしらの手当があるのかもしれないです。
* わかったら更新します。
なお、似たものとして外国語特許出願(外特)は、訳文がないと29の2の地位がない、とあります(特184の13かっこ書き)。
※吉藤『特許法概説 第13版』