【特・実】特実で同日発明・同日出願の場合、協議命令がどうなるか
特と実で同一発明、同日出願があった場合に、どうなるかについてです(特39条4項、6項)。
長官からの協議命令は、特許出願人にのみに来る。
実案はライフサイクルが短く、協議していると権利行使できる期間が短くなってしまうので、協議命令自体が来ない。
また、実案は無審査登録で実案権になってしまうので、出願にかかる法的な協議自体ができない。
特、実、でクレームが同一にならないようにするには、特許出願人がクレームを補正するか、実案権者に訂正(実14条の2第1,2,7項)してもらうしかない。(実際上の協議)
実案権の放棄では、先願の地位が残るので、駄目。訂正で、初めからなかったものとする必要がある。
参考:LEC佐藤卓也先生のyoutube
■考察
実案は無審査登録である以上、協議命令が来ないのは仕方ないと理解。特許出願人が何とかするしかない。この意味では、査定の確定している実案有利に見える。ライフサイクルが短いので、早く確定して使わせたいという話と符合している。
ところで、実案と実案が同日出願となった場合にどうなるかが気になりましたが、この場合はどちらも権利が受けられないのですね(実7条2項)。どちらも協議命令が来ないのなら、わかるはずもない。それなら、どちらも権利を受けられない、というのはまあわかる話。
特許の場合は、協議不成立の場合も先願の地位は残る(特39条5項但書)。協議不成立を理由として先願の地位が残らないのであれば、同じ発明の後願に権利を与えることになり先願にとって酷だ、と理解する。実案の場合は?実7条4項に協議不成立の但書はなく、先願の地位は残らない。そもそも協議がないから、当然そうなると理解。