【特許法】訂正請求の背景と疑問点
訂正請求の、わかりそうでわからない話です。
■論点1
訂正審判は、最後の拒絶理由通知に対する補正より訂正できる範囲が広い。なぜか?
→ゆっくりやれば良いから。
最後の拒絶理由通知では、審査官の心象が形成されているので、手持ちの文献だけでサッサと査定したい。なので、補正の範囲は狭い。誤記の訂正は、本当の誤記だけ。減縮も、限定的減縮(特17条の2第5項)。
訂正審判は、査定系審判。相手がいない。なので審判に時間をかけても構わない。誤記又は(外国語書面出願の)誤訳の訂正も可能(特126条)。当初の明請図の範囲で拡張しても良いという意図。
■論点2
訂正請求の制度は、なぜできたか?
→無効審判中に訂正審判を認めると、審判が遅延するから。
仮に無効審判中に訂正審判を認めた場合、無効審判とは異なった審判合議体を作ることになり、審判が遅延する。
そのため、無効審判中の対抗措置として、訂正請求(134条の2第1項)の制度ができた。訂正請求は、訂正審判から派生した制度。
■論点3
では、当事者系審判である無効審判の一部となった訂正請求の範囲は、なぜ査定系審判である訂正審判と同じなのか?
論点1と2から、この疑問がわきます。
当事者系審判の遅延を嫌うなら、訂正請求の範囲は訂正審判より狭くても良さそうに思えます。
ここは、訂正請求が訂正審判の派生だからと言うしかない、というのが、現時点での私の理解です。
論点1,2の参考:LEC佐藤卓也先生のyoutube
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