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ワクチンが見せた格差社会 突き付けられた「命の順序」 #トイアンナマガジン

大企業での職歴か、接種枠をねじ込む人脈がなければワクチンが打てない話。

今日はこれから2回目のワクチンを打ちにいく。
同級生の間で最も遅い接種だ。

30代フリーランスのワクチン接種は絶望的に遅い

私が卒業した学校は就職で頑張った人が多く、周囲の同級生は大企業で働き続けているタイプが多い。彼ら・彼女らは職域接種で夏前にワクチンを接種しはじめ、特に思想がない限りは2回目接種も終えている。

私はその中で会社員のレールからぽろっと零れ落ち、フリーライターをやっている。そして「フリーライター」の私には、ワクチンを接種するチャンスがまるでなかった

接種券は7月下旬に手に入った。これでもかなり恵まれた方だ。地域によっては、もっと難しかったはずだ。まだ接種券がないという友人も多数いる。

SNSで広まった自衛隊の大規模接種センターは連日満杯。地域のネット予約システムを見ても、接種できる病院は年齢と既往歴の制限を課していて、健康な30代の私はどう考えても「列の最後」だった。

ワクチン接種で可視化された「命の順序」

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大企業で優先的に大量摂取するのは合理的だし、それによって私の友人たちの命が救われていくわけだ。こういう動き方をしてくれた政府のロジスティクスを見直してもいる。けれども、この落差を知ってしまうと「命の順番は大企業の正社員が最初で、その他は後からくるんだなあ」と思っちゃったのは事実だ。

そして私は、ひょんなことからワクチンの接種チャンスを手にした。中小企業が合体して、1,000人以上の枠を作ることでワクチン接種を可能にしてくれた。私はそこで枠を確保できた。私が偶然、法人成りしていたからだ。

法人成りとは、フリーランスで働いていた人間が、会社として自分の仕事を登記することで、実質の業務は変わらないまま「会社」として発足すること。

節税や、フリーランスより賃貸契約の審査が通りやすいなどのメリットがあるため私は法人成りしている。しかし、法人成りには20万円程度の登記費用がかかるうえ、年商がある程度ないと税のメリットもない。

さきほど、私の接種が「同級生の間で最も遅い」と書いた。だが、私のワクチン接種はフリーランス仲間のうちでは最も早いグループだった。

つまり、正社員>稼いでいるフリーランス(法人成り)>フリーランス(個人)といった順に、ワクチン接種順には格差が生まれてしまっている。

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