フリーランス向け商談会・クリエイターEXPOに出展してきましたレポ 2023年冬
フリーランスの個人が出展できる展示会「第13回 クリエイターEXPO」に出展しましたので、記憶が鮮やかなうちに学びをシェアしたいと思います。
ここから先の情報は、
仕事を増やしたいが営業方法に悩むフリーランス
フリーランスへ仕事を依頼したいが、どう選べばいいか分からない方
クリエイターEXPOを知っているが、出展するか悩む方
この手の展示会に不慣れで準備物がわからない方
向けに書いています。ご覧になる方によって見たい項目が分かれると思いますので、目次から気になるところだけかいつまんでご覧ください。
クリエイターEXPOへの出展を決めた経緯
「営業のしかたが、わからん」
全てはここから始まりました。
私はライター10年選手。これまでTwitterで「仕事を!ください!」と叫ぶだけで案件をいただいてきた、インターネットピン芸人です。マーケティングの知見はありますが、営業はド素人。今後の可能性を考えたとき、もう少し「自分を知らない方」へも貢献できる場を広げたいと思い、いろいろ頑張りました。
今年営業に投資したものとしては、
テレアポ営業代行 80万円
フォーム営業代行 100万円
SNS DM営業 100万円などがあり、多額の出費をこれまでの資金から使ってみましたが、ウケるくらいなしのつぶてでした。
原因としては、「オウンドメディア=自社ブログの運用代行」という、サービスが一発で伝わりにくいことが挙げられます。
他にもライターチームとしてプレスリリース、導入事例、コーポレートサイト、LP制作などの実績がありつつも「それらをわーっと並べたって、かえって分かりづらい」というわけで、営業でのメッセージづくりに失敗していたのでした。
そこで見つけたのが、フリーランスでも出展できる、クリエイターEXPO。通常、展示会の出展には100~150万円かかりますが、このEXPOは破格の17万円で出展できます。確かに3日間で17万円を使うことには悩みますが、今年いっぱいはやれる営業をやれるだけやってみようと思い、参加ボタンを押したのでした。
※毎回2万円ずつ値上がりしているので、次回は多分19万円かかります。
ちなみに、営業のバイブルと言われる『ザ・モデル』も読みましたが、「リード(見込み客)の数を計測して失注率を計算ね……そもそも見込み客がいねーんだよ……1,000通メール送って返事ゼロだったからな……ふふふ……」となって終わりました。ポンコツすぎる。
クリエイターEXPOへ向けて準備したもの
もともとマーケターとしてVMD(商品展示)の準備には慣れていたため、サクサクと進めることができました。まずは他の参加者が書いているレポを見て、大体どんな感じで展示されるのかをチェック。
特に参考になったのは、以下の方々のページでした。
このお二人の展示を参考に、自分の展示プランを立てます。まず、展示のメインカラーを「黄色と黒」に定めました。理由は他の方があまり選んでいなさそうなのと、会場が白メインだったので目立つと考えたからです。
背景の白いパネルを埋めることは当然として、テーブルと椅子も何らかの装飾をしたいな、ということで、まずはリーフレット制作を依頼。そのデータがあがってきてから、色味に合わせて他の備品を作りました。
リーフレットはプロへ依頼しました。かなり目立つレイアウトにできたので、お客様の足を止める効果をねらえそう、と期待がふくらみます。
以下は、リーフレットにあわせてCanvaで自作した備品の一部です。
リーフレットとB0サイズのタペストリーはラクスルで依頼。背景パネル全部を埋め尽くすサイズのタペストリーを作ることも考えたのですが、非定形サイズで価格が上がってしまうためB0にして、さらに背景を黒い布でカバーすることに決めました。
黒い布は調べた結果、SHEINでテーブルクロスを買うのが一番楽だと判断。ちょうどいいサイズがあったので、背景用+テーブル用に2枚買っています。
椅子カバーは、どんなタイプの椅子でもかけられる簡易タイプのデザインを選択。
こうしてできた完成イメージが、以下の通りです。
展示物のコミュニケーションとして何を書くかは、ライターの本領発揮。
人は情報を見るときに、Z字の順番で読むことが知られています。そのため、まず上部へ「SEO HP SNS バズ 採用 医療 取材」といった、発注者が探していそうなキーワードの羅列を配置。
つづけて「元外資系マーケターが成果にコミット」といった信頼感を醸成する文言を入れ、最後に椅子カバーで「初回発注10%OFF」と今すぐ商談したいと思っていただけるようなフレーズを入れ込みました。
また、展示では自分の存在が邪魔になって背景が見えなくなるケースがままあるため、自分を入れ込んで邪魔にならない位置へメッセージを配置しました。
タペストリーのど真ん中にお姉さんのイラストを置いたのは、座っている自分と重なりやすい位置にあり、コミュニケーションを書いても読めないだろうと判断したからです。
タペストリーの素材は最後まで悩みましたが、割高でも頑丈で何度も使えるターポリンを選択。これは以前、私がいた会社でターポリン素材を使ったことがあるため、印刷後のイメージが想像しやすかったのもあります。完全に手癖です。
ターポリンは、アクリル絵の具や、セル画っぽい色味になります。素材ですとトロマットの方が布っぽくて繊細な色使いができるので、水彩画風のイラストを使われる方ならトロマットの方がおすすめです。
クリエイターEXPOにかかった費用
クリエイターEXPOにかかった総額は、28万円+αでした。準備品は、こんな感じのスプレッドシートで管理していました。
私は都内住まいでしたので当初宿を取りませんでした。実際には近隣の宿代+初日と帰りのタクシー代がかかっています。このあたりの追加コストについては後述しますが、トータル35万円弱かかりました。
正直、フリーランスのライターにとって、案件が取れると確定しているわけでもないイベントに35万円使うのはかなりリスクを感じる行為だと思います。
私も今年は営業でいろいろ試すと決めていなかったら、まず決断しなかったでしょう。しかも、上記はかなり節約して備品を揃えた結果であり、適当に備品調達していたら50万円くらいまで膨らんだおそれもあります。備品調達をされるときは、まず大型の100円ショップへ行くことを強くおすすめします。案外いろいろなものが100均にありますので……。
こちらが、実際の展示写真です。
大体予想通りにできました。気になったのは椅子カバーの白文字が読みづらすぎたかな、という点くらいでしょうか。
今回ベスト節約賞に輝いたのは、背景の黒布です。この布を吊るしているのは、S字フックにひっかけた100均の突っ張り棒と、クリップ式のカーテンレールです。S字フックすら100均だったので、たいへんお得にできました。
あとは、名刺を多めに刷っておきました。実は展示会に先駆けて、名刺の色もリニューアル。展示会にフィットする色にしておきました。
高いけれど買ってよかったのはリーフレットを置く棚とラミネーターです。リーフレット陳列棚は必須アイテム。当日の組み立て作業が間に合うか不安でしたが、30秒で完成するお手軽グッズでした。DIYが苦手な方へも安心の一品です。ほぼすべてのクリエイターさんがこの棚を使っているので、もはやクリエイターEXPO御用達といっても過言じゃありません。
ラミネーターは離席しているときの案内シート、リーフレット棚上の「ご自由にお取りください」シート、そして背景上部の名前左右に貼ったPOPなど、あらゆるところに使いました。本件以外でも、オフィスで掲示物に使えており大変便利です。
クリエイターEXPOでやってよかったこと
結果として、クリエイターEXPOは大成功でした。特にやってよかったことを、以下にまとめておきます。
名刺をマスキングテープでノートに貼って管理
名刺だけ交換していると、誰が誰だかわからなくなってしまうので、マスキングテープでノートに貼って、メモを残していきました。こうすることでお礼メールも送りやすくなりましたし、その後の連絡も「ああ、この話をした○○社の○○さんか」とすぐにわかり、とてもスムーズにことが運びました。
お礼メールをスタッフに送ってもらう
クリエイターEXPOの展示期間は、10:00~17:00まで出ずっぱりです。ランチ休憩も取れないほど忙しく、上記の時間はトイレすら行けませんでした。そのため、帰ったあとはクタクタ。お礼メールを送る余力はありません。
そこで、私は以前からお世話になりっぱなしのマネージャーたちにお礼メールの送付をおまかせしました。おかげですぐに連絡がとれ、スムーズに後日商談が進められました。この期間だけ短期でアルバイトを雇ったり、ランサーズなどで作業を依頼するのもありだと思います。もちろん、秘密保持契約を結んだ上で。
土壇場でホテルを確保
都内に住んでるし、ビッグサイトと家の往復くらいなんとかなるか! と、思っていました。リーフレットをスーツケースへ放り込むまでは。重い。そうだった……紙ってすっごく、重いんだった……。(リーフレットは郵送する手もあったのですが、期間がブラックフライデー直後なのもあり流通が混乱しているだろうと想定して、持ち込みにしたのでした)
そこで、慌ててビッグサイト最寄りの東京ベイ有明ワシントンホテルを取りました。結果、1階にコンビニがあって毎日の昼ごはんを確保できるわ、朝ごはんも美味しいわで体力十分! テンションアゲアゲで参加できました。
TimeRexで日程調整
お礼メールで打ち合わせの日程調整を何度もラリーするのは面倒すぎる! というわけで、無料のスケジューリングサービス、TimeRexを使ってGoogleカレンダーと連携、すべて自動で日程調整できるようにしました。おかげでダブルブッキングも防止できています。
マッサージ棒を持っていく
これはP&G時代の先輩に教わりましたが、イベントって足裏がとことん疲れるんですよね。だから青竹ふみふみは絶対に必要です。とはいえ、青竹を踏んでいるところを見られると商談の雰囲気がぶち壊し。というわけで、足元を隠せるテーブルクロスを持ち込んでいました。
また、青竹っぽい見た目だとあまりにもアレなので、バレにくい棒を買いました。
これ、買って良かったです。軽くてコンパクトで持ち運びやすく、ホテルにも持ち帰って洗ってから肩、首、ふくらはぎもゴリゴリマッサージしました。おかげで足のむくみがほぼゼロ。ナイスコンディションで3日間を乗り切れました。
ポートフォリオを印刷しておく
Webライターの私はポートフォリオがnoteにしかありません。
が、クリエイターEXPOで毎回スマホのちっちゃい画面でポートフォリオを見せるのも申し訳なく、印刷してバインダーへファイリングし、見出しのインデックスシールを貼って見られるようにしておきました。正直、めちゃくちゃ面倒でくじけそうになりましたが、やってよかったです。
おかげで「どんなのを書いているんですか?」と聞かれてもさっとファイルを出すだけで全てが終えられて、大変スムーズでした。商談でのページをロードする時間はたった数秒ですが、それがちょっとしたイラッと感に繋がりますので……。
価格表を持ち込む
依頼事に絶対知りたいのが、価格です。参考価格でもいいので価格表を持ち込むと、大変喜ばれます。なんとその場で即決発注してくださったお客様もおり、かなり助かりました。
クリエイターEXPOで後悔したこと
続いて、「もっとこうすればよかった!!」というものをリストアップします。
大きいスーツケースを買っておけばよかった
家にあるスーツケースは、すべて航空機に持ち込めるサイズばかり。そのため、どうしてもリーフレットを置く棚が手持ちになってしまいました。重い。そのせいで行きも帰りもタクシーになり、無駄遣いが増えてしまいましたし、ぎゅうぎゅうに詰め込んだせいでスーツケースの寿命も削ってしまいました。
次回は家族で1週間旅行できそうな100L以上のスーツケースを買って、全部そこに放り込んで電車移動します……! ただ、大きいスーツケースはそれなりに値段がはるので、年数回の出展なら、結局タクシー代とトントンになる説もあります。また、航空機に乗る方はサイズ制限があるので100L以上は持ち込みNGな可能性があります。
リーフレットを8Pで作るべきだった
リーフレットは重量を考えて見開き4Pのシンプルなものに。しかし、これがシンプルすぎて、結局は商談で「何が書けますか?」と聞かれまくってしまいました。「○○が書けます」とだけ記載したリーフレットではなく、これまでの作例を載せた8Pくらいのものを作っておけばよかったです……。
リーフレットの部数を400部にすればよかった
リーフレットを600部刷ったのですが、だいたい100-150部余りました。だったらリーフレットのページ数を増やして、部数を絞ればよかった……! 自分がフロントに立ってどんどん手渡しするから600部でもいけるかなと思っていましたが、商談中は自分の体が埋まっているから、手渡しできないことをすっかり失念していました。私って、ほんとバカ。
記事サンプルを作成すればよかった
いくつかのジャンルで、実績が公開できないものがありました。そのせいでお客様にサンプルをお見せできず、失注につながりました。サーバーのお金をかけてでもサンプルページを作っておけばよかったです。
椅子をもう1つレンタルすべきだった
お客様用の椅子がデフォルトで1脚あるのですが、お二人連れのお客様が多く、お一人立たせてしまうことに。次回は必ず1脚追加レンタルしたいです。逆に、PCを開く暇はなかったのと、出展者は入れるVIPラウンジに電源があったので、電源ケーブルは借りずにおいて正解でした。
クリエイターEXPOで意外だったこと
そして、クリエイターEXPOに参加してからいくつかのサプライズがあったので、それも報告させていただきます。
英語での商談が思ったより多かった
海外からたくさんの方がいらしており、外資系企業の日本進出や、海外プロダクトの日本ローカライゼーションに悩んでおられました。そのため、英語での商談が思ったより多く、久しぶりに「英語できてよかった……」とかみしめることになりました。次回は事前にDMM英会話やってから挑みます。
ライター同士で仲間意識が芽生えた
クリエイターEXPOに出展している方は、大半がイラストレーターやデザイナー。そのため、ライターは希少種です。おかげでライター同士で連携が生まれ、「この案件なら隣のブースの○○さんがいいですよ」といった相互紹介も生まれました。
ラッキーなことにそれぞれのライターさんが持つ強みがバラバラだったこともあり、良い具合に案内ができたと思っています。
思ったより脚立がなかった
クリエイターEXPOのブースにある背景パネルは、上部が3m弱。椅子に乗っても上部には届かないので脚立を使うしかないのですが、思ったより脚立がなく、結局テーブルに乗って作業する方が続出していました。脚立がないことを想定してダイエットをしたほうがいいな……と思いました……思っただけでコミットはしませんが……。
冷やかしのお客様がいなかった
展示会へいらっしゃる方は冷やかし客も想定に入れていましたが、切実にクリエイターをお探しの法人様が多数いらっしゃいました。確かに、オンラインで探すと玉石混交で、どこに誰がいるかや、今案件を受け付けているかもはっきりしないため、こういった商談の場があるのは楽なのだと思われます。
クリエイターEXPOへの参加はおすすめできるか
クリエイターEXPOへの参加がおすすめできるのは、以下のクリエイターさんです。
お客様にお見せできる実績がそれなりにある方
お客様主体のクリエイティブを作れる方
展示会の準備をコツコツ進められる方
初対面の方と話しても気力ゲージが削られない方
逆に、上記が当てはまらない方へは、あまりおすすめできません。たとえば実績があまりないと「何ができますか?」と聞かれても答えようがありません。
また、商談はあくまで「仕事で使っていただくため」に創作するものですから、自分のクリエイティブが先にあって、それを理解してほしいひとには向いていません。逆に「貴社の○○、作れます!」とうまくPRできていた方は、ブースへひっきりなしに来訪がありました。
そして、展示会への出展はなによりも手間です。備品を用意するのも、作るのも、買い出しも、そしてフォローアップのご連絡も大変です。会期中はまともに仕事ができませんので、前倒しで案件を終えておく必要もあります。
これらを「文化祭の準備みたいでワクワクするね!」と思えるタイプの方に、クリエイターEXPOは向いています。卒論や卒業制作の準備が楽しかった方は、ぜひクリエイターEXPOをご検討ください。
売上につながるかどうかは、これから次第ですので回答を控えさせていただきます。とはいえ、これだけの見込み客へ接点を持てること自体が少なく、営業として大変ありがたかったです。
クリエイターEXPOで発注先を探すか悩んでいる方へ
結論、クリエイターEXPOのような展示会に出展できるフリーランスへの発注は大いにおすすめできます。
というのも、最低限、
期日に向けてコツコツと準備できる
商談に先行投資で30万~50万円かけられるほど利益があがっているか、事前に営業へ投資できるほど資金繰りがうまくいっている
上記に該当するクリエイターでないと、このイベントに出られないからです。
突然廃業して飛んでしまう、納期を過ぎても音信不通、修正依頼をしたらら逆ギレ……など、フリーランスあるあるのリスクが限りなく少ない、よいクリエイターが揃っていると言えるでしょう。
一方、代理店を挟まずクリエイターへ直接発注するときは「法人様がご覧になる成果物が生まれるまでには、複数のクリエイターが分業している」ことを理解する必要があります。
たとえば、ライターへ「ついで」にイラスト作成やコーディングをセットにしたウェブサイト制作を依頼することはまず不可能ですし、デザイナーはLP(広告ページ)の言葉を作れません。こういった「誰が・何をしているか」を把握したうえでご発注なさると、とてもスムーズかと思います。
最後に番宣です。私は個人でもチームでも仕事をしており、30名ほどのライター、編集者、コーダー、ディレクター、デザイナーと組んでいます。そのため、
コーポレートサイト制作
マーケティング戦略立案から実行まで
LP(広告ページ)制作
SNS運用代行
プレゼン資料作成
月100記事以上の大型メディア運営代行
など、大型案件も受注しております。また、薬機法へ遵守したライティングへも完全対応しています。制作するキャパシティも十分ありますので、お悩みの方はぜひご相談ください。
本展示会へお越しくださったみなさま、共に乗り越えたライターのみなさま、そして主催のRX Japan様、ありがとうございました。次回以降も、何卒よろしくお願い申し上げます。
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