【座談会】ー映画「閉鎖病棟」からみる精神看護の実際ー 後編

ちょっと間が空いてしまいましたが、前回の続きです。

【座談会】ー映画「閉鎖病棟」からみる精神看護の実際ー後編です。

前回同様、今回も映画のネタバレ要素を含む箇所がございます。
映画をご覧になっていない方、ネタバレを避けたい方は、ここでページを閉じることをおすすめします。

では、まいりましょう。
とはいっても、これが最後のテーマですw

場面
閉鎖病棟に入院していた患者さんが、外出先で自死されます。
その後、閉鎖病棟の食堂で、その患者さんのお葬式のようなイベントが行われるというシーンです。

参加者
インタビュアー:とおやま(以下:と)|元看護師、うつ病、精神看護は実習のみ
参加者:ゆーさん(以下:ゆ)|精神科看護師1年目 
    いっきゅう(以下:い)|精神科訪問看護師、役職者
    ムメカン(以下:ム)|精神看護学・教員・助教


と|まず、ぼくが驚いたのは、外出許可が出ていた患者さんが外出先で自殺するということです。これはよくあることですか?
全員|よくあることではないけど、珍しくはないですね。

と|そうなんですね。僕にとってはちょっと衝撃でした。
と|あと、その際に病棟の食堂で遺影を置いてお線香を焚いていましたが、あれも珍しくないこと?
む|いや、あれは見たことない。
い、ゆ|うん。
む|もしかすると、閉鎖病棟は治療の場であり、生活の場であるということを象徴するための演出だったのかもしれないね。
と|なるほど。

と|それと、もう一つ気になったのが、看護師が患者さん達に「自殺だった」と公表したよね。あれについては、みんなどう感じた?
ゆ|どうなんだろう…。わたしの病棟は、亡くなったということも、あえて伝えないから…想像できないかも。
  自殺したことを伝えて、その後に患者さんたちがどう変化するのかに対応しきれないと思うから、言えないと思う。きっと動揺するだろうし。
い|わたしは…(映画の)自殺した患者さんが、外出のときに「娘のところに遊び行く」って楽しそうに周りに伝えて出ていったから、彼女の意思を尊重して、「自殺」ということは伝えずに場をおさめると思  う。
む|ぼくも、ゆーさんと一緒で言わないと思う。他の患者さんも死にたくなっちゃう可能性があるからね。
む|ただ、彼女(自殺した女性)と親しかった患者さんが、こそっと聞いてきたら、「そうです。」とは言わないまでも、否定はしないかも。あの映画の中での人間関係を見る限りはね。ただ、無防備に病棟全体に自殺したということを公表することはしないね。


感想
映画でも、座談会でも出てくる「閉鎖病棟≒生活の場」というキーワード。
生活の場には、人間関係があり、社会があり、別れ(死)がある。
精神科の治療の上では、それを他者が管理することも必要なのかもしれない。
ただ、個人と社会を隔絶させてしまうと、患者を社会復帰から遠ざけてしまう可能性もある。
つまり、閉鎖病棟には、人が生きる(生活する)うえで対面しなければならない必要悪が存在しており、
それを管理することも精神科看護師の役割なのかもしれない。

今回視聴した映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」。
前半でも述べたが、閉鎖病棟内のシーンが少なかったことで、閉鎖病棟を見たかった僕としては残念な印象であった。
けれど、気になるシーンを精神科看護師のみんなと掘り下げていくことで、映画自体をより楽しむことができたし、
なにより精神科看護に楽しく触れることができた。

今回、僕たちが話した内容以外にも気になったシーンがあれば、ぜひ教えていただきたい。
そして僕たちと「あーでもない、こーでもない」と議論してくれると嬉しい。

時々イベントもやっているので、ぜひ一緒に看護について話しましょう。

この度も、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、また。

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