観劇 音楽劇『夜来香ラプソディ』
⚫︎はじめに
音楽劇『夜来香ラプソディ』初日に観てきました!
相変わらずちゃんとした感じの感想ブログは書けないので、備忘録のような感じでまたつらつら書いていきます
推しが出ている舞台なので1度だけだと全て網羅出来ないなとは思いつつ、あまりにも好きな舞台だったことと初日の感動を残しておきたくて
それに一人でも多くに人に観てほしい
心から勧めたい舞台だったので取り急ぎ
⚫︎宣伝
(観ていない方!とにかく観てほしい!)
一言で言うならこれに尽きる
“今”観るべき!最高のエンターテイメント
戦時中とコロナ禍
重なり合うところがあるからこそ
「今」
劇場で観てほしい
いつも思うことだけど
SNSやテレビのニュースで入ってくる情報は
一時的にはその問題点を考えるけど
関心の持続時間が短い
芸術は“本当に伝えたいこと”を物語にのせてくれるし
それが舞台ってなると視覚的にも捉えられて生の演技からしか得られないダイレクトな感情があるから
より関心を持ちやすいなと思う
必要な遠回り
その時代のことを全て知ることはできないし
きっと完璧な理解なんてできない
だからこそ作品としてできる限り解ろうとする、時間を共有する、関心を持ち続けることが大切なんだなって
そう思わせてくれる舞台です
時代を知っていなくても楽しめる作りになっているので今すぐチケット買ってもらっても心配はいらないのですが
少しでも知識があると別視点から楽しめると思います!
観劇後関心を持って調べたりするのも良いと思いますし!
戯曲としても緩急があり素晴らしいのですが
何より全体のバランスが完璧!
まさに総合芸術!
注釈席当日引換券はまだ取れるみたいなので是非是非劇場で観ていただきたい!
そして上海の空気を吸ってきて欲しい
あわよくばその感想を聞かせて欲しい
ここから先はネタバレを含みますので以下のURLからチケットはお早めに!
(※以下ネタバレを含みます)
⚫︎“今”観るべき!最高のエンターテイメント
ようやく本題に入って感想を書くわけです
とにかく第一印象はエンターテイメント!
想像を遥かに超えるショー感覚!
音楽劇と聞いてミュージカルともストプレとも違う世界観を期待していたので、まさにその通りのものが来て嬉しかった
それを特に感じるのが
歌を自分の感情を言葉にして歌うのではなく
曲を歌っている点
既存の曲を役として歌っているからこそ
ミュージカルとは違った歌い方やその時代が伝わってくる
それでいて台詞量はしっかりある
コンサートという軸があるからこそエンターテイメントは途切れないしその明るさと物語の戦時下という暗さがより際立つ
好きな場面も演出も沢山ありすぎたので少しずつ記録として書いていきます
毎回長くなりがちなので、もし読まれる方がいても適当に読み飛ばしてください
⚫︎演出・セット
〈客席降り〉
初日は前方の上手側にいたので、開演時間になって男性の咳払いが聞こえたなと思って視線をやると日本軍がいるという.....
客席降りなんていつ振りだろう
感染対策からだと思うけど一言も発せずぐるっと回っていく演技
それが
〈1945年6月の上海にいるかのような没入感〉
会場の雰囲気作りが凄いなと思った
そもそもシアターにコンサートを観に来たお客さん設定で話が進んでいくから
観客も作品の一部になれる没入感
ロビーから客席までずっと服部さんの曲が流れていて気分が保たれたまま休憩を過ごせるのも良かったな
(終演後規制退場を待ちながらもその曲たちが聴こえてくるけど舞台の記憶が一緒に浮かび上がってきて言葉とシーンが反芻する時間だった)
服部さんの最初の挨拶が戦時中とコロナ禍が重なるようになっていて
【無事に開催できるのは、皆さんの「勇気」のおかげです。】と言い切られた瞬間に泣きそうになった
劇場に足を運ぶと決めた勇気もそうだけど
来ない選択をする勇気もあって
真ん中に立って真っ直ぐな言葉を飛ばされることで明るく通る声が凄く深くまで刺さった
ここだけではなく適度にコンサート会場の空間に戻って客席側に話しかけるような演出と
幕間が終わる時に音声ではなく、日本軍の訪れという緊張感からのナイトクラブ従業員さんたちの盛り上げでグッと引き戻された!
〈ジャズバンド〉
舞台の奥にバンドがいることに気付いた瞬間テンションブチ上がった!!!カッコいい!!!時々舞台上にも現れたりするし音楽との一体感が凄く良くて
来日のRENTが似たような感じで舞台上にバンドがいるけど
それよりもバンドも作品の一部としてのセリフがあったりするの良いなと思った
臨場感溢れる舞台でした
〈舞台芸術凄すぎて奥行き!〉
ネオン素敵だった..........ネオンがあってその手前にまた世界があって、カーテンのように仕切られたりする事でその幅が広がって
奥行き広めに感じられた
ネオン凄くないですか?
タイプすぎて凝視していた
階段を使った演出は四季のコンサートを思い出したけど、手動で動かしたり、使われ方が面白かったり便利なんだな〜って印象
(階段を覆うように国旗が出てくるのは何か特別意味があったのかな?って疑問が残ったんだけど)
高さがあることで様々な演出効果があって目が足りない
そうかと思えば凄く床も使う演技だからやっぱり目が足りない!
⚫︎衣装
メイン御三方のビジュアルが解禁された際
あまりにも良すぎて期待度マックスだったのですが
衣装が生澤さんだと分かり全身でガッツポーズしました
これはパンフに衣装デザインが載るぞ...!と思いましたもん
(パンフ必読ですよね.....)
時代と役柄を捉えた衣装は本当に細やかで
目が足りない!ビジュアルブック出してほしい!と心の中で叫んでいました
後半でも良いので舞台写真の入ったパンフ発売してくれたりしませんかね〜既に放送も円盤も決まっているのでそれだけでも十分すぎるのですが!
上海でのコンサートということもあって
戦時下でありながらも豪華で煌びやかな衣装もあって視覚的な楽しさ満載
特に女性陣の衣装デザインが素晴らしすぎて
個人の特徴が引き出されるような感じ
マヌエラの自信と強さが際立つようなデコルテの美しい衣装たちはパッと目を惹くものだったし
デュバの衣装はコートでありながらもデザインが凝っていてベルトどうなっているのだろう?と思った
何より川島芳子さんは......スーツがあんなにも爆イケなのに最後ビジュアル通りの衣装を全身で見る事が出来て、もう色味もさ落ち着いているようで、色々な感情混じり合うような雰囲気醸し出している気がして目が離せない
特に気になったのが李香蘭の衣装
THEイメージ通りのチャイナ服が多く、身体のラインが出る美しい線の衣装ではありながらも他の方の衣装に比べるとキラキラ感は少なくシンプルな印象
それがとても良いなって思って
まさに“夜来香”月光や上海のネオン光を浴びて輝く夜の花
周りの期待や眼差しを浴びてセンターに立ちスポットライトが当てられる
それは、本当に見えている面は誰にでも優しくいつも笑顔が輝いて、見えない裏側に誰よりも暗さがある李香蘭そのもの
急に洋服を着ていたり、最後のシーンは洋服に鞄を持っていたり、彼女のアイデンティティと中国で育った日本人の複雑さも感じられた
⚫︎キャスト
キューブ主催ということもあって所属俳優さんたちが多いのですが、適材適所な配役に感動しました
個人的に観劇中は役者さんを観ている感覚がなくて作品内の人物として観たいと思っていて
配役とその魅せ方が上手くないとどうしても演劇という「フィクション」から現実に引き戻されて、観劇している感を上演中に感じてしまうので終演後の感動が浅くなるというか
この作品に関しては本当に没入できて
個々の見せ場があって
ずっと最高の状態
終わった後で反芻しながら
浸る時間が本当に深まる
また複数回観れば細かい役者さんの感想まとめたいなと思っています
⚫︎記憶に残っている場面
全てのシーンが美しくて
どこを切り取っても絵になるけどどこかが足りないと話にならないような
コンサートのセトリに似ているなって感じていました
〈美しすぎる友情の三角形〉
服部良一×黎錦光×李香蘭
上海のナイトクラブで出会った「音楽に愛された人たち」
服部良一と黎錦光の大袈裟なくらいのハグや
李香蘭のご本人登場歌唱シーンに驚くモノマネ芸人服部良一にも見えるところとか
面白さがあって
その後の流れが自然に思えた
〈“嗜好品”は不必要なのか〉
意気投合しお酒も入ったことで盛り上がる3人の元に
憲兵隊長が通りかかる
お国のことをと言うよりは周りで死んでいった仲間のことを思えばその言葉が出てもおかしくはないよなとも思えて一概に長谷部が悪役にも思えなかった
その一方で「不要不急」に似たような言葉に思えて
あの時期の自分の中の葛藤に重なって辛くもあったし改めて考え直す必要性を感じた
〈心を動かされる音楽〉
生き残った2人、身を寄せレコードが擦り切れたら歌いあっていたのはあなただったんですね...そうわかった瞬間胸がギュッとなった
「8年前一度死んだ」って言葉が長谷部さんにも当てはまるんじゃないかなって考えると
戦争が長谷部さんの考え方を変えてしまった、耳を塞いでしまったってことがより伝わってくる
心を動かされたことが一度あると服部に言うシーンも凄く良かったな
〈戦争の道具〉
「喜んで道具になります」という李香蘭の言葉がずっと頭に残ってる
戦争を止めることはできないけど
最悪から少しでも良い方向に進めるために
中国と日本の架け橋になる
この言葉で四季の李香蘭の結末を思うと心が苦しすぎた
〈感想〉
明るい面にスポットを当てた作品だなってのが率直な感想で
少しずつ時間が経つと、本当の暗さってこれだけ明るい面を押し出されるからこそ感じ取れるものなのかもなと思った
デュバの最後とか
川島芳子が客席を漂うように歩く山家に視線をやるところ
終戦を機に2人で一緒にいられることを喜ぶ2人とその遠く離れた場所で李香蘭が無言で立ち去るところ
現実はそんなに甘くはないことを分かってはいるのだけど
あの明るさがあるからこそ微かな希望を残す作品としての意味と
滲み出る暗さを保てる演技力を感じるな
実力派が揃う舞台、至極の音楽と物語が紡ぐ最後まで最高のエンターテイメントでした
⚫︎劇団四季『李香蘭』
『夜来香ラプソディ』と『李香蘭』同じ時代を切り取った話ではあるけれど視点も違えば解釈も異なる作品
重なる登場人物ももちろん多いし
私は『李香蘭』を先に観ていたことで、あの作品内の「李香蘭像」が出来上がっていたけど
それを良い意味で塗り替えてくれた
一つの物事を多角的に観られることが何より楽しいと気付かせてもらいました
そして
とてもありがたいことに
劇団四季『李香蘭』がですね
4/23(土)より自由劇場にて上演されます!!
戦争の重みをより感じる作品ですが
同じ時期に味わえるなんて奇跡のようですし
是非観に行っていただけたらなと思います
特に川島芳子さんのソロをしっかり聞いてほしい
全く異なった解釈を得られる
あの李香蘭のラストに対する見え方が変わってくると思うので
チケットは既に販売が開始されていますので四季のサイトかぴあでお買い求めください!!