評価、その二軸

想像上のメンヘラ女子とその友人の会話である。

「そんなクズ男ぜったい別れた方がいいよ」

「でも彼怒って殴ったりしないんだよね」


何が言いたいかは一旦考えずに保留にしておいていただきたい。


経営学(主に組織行動)には、よく知られた「二要因理論」というものがある。
ハーズバーグによって提唱されたそれは、主には「不満の対義は無、達成感
の対義もまた無、不満の対義は達成感でなはい」というものである。
従業員が職場で感じる満足度に関する研究から導かれたこの理論であるが、要は不満をもたらしている要因を取り払ったとしても、それが仕事へのモチベーションを高めるような動機付けとイコールにはならないというものだ。

給料への不満が絶えない従業員に高待遇を持ちかけたとて、それが「不満の解消」になることはあっても「仕事への達成感の醸成」にはならない。
「マイナスではない」ことと「プラスである」ことは同義ではないのだ。

私の師である前川教授は、ハーズバーグのこの理論を発展させ、観光マーケティングにおける二要因理論を展開されている。
すなわち、バリアフリーやインフラの充実は、すでに訪日した観光客の不満を取り除くことはできたとしても、未だ日本を知らない旅行客に対しては価値の訴求にはならないということである。

この二要因理論、いろいろな場面で応用的な考え方ができそうだ。

冒頭に戻ると、「恋愛対象の魅力について語るとき、"マイナスでないこと"は"プラスであること"に等しくない」ということである。

サービス業を「ありがとう」と言われる仕事とくくってみても、そこには「マイナスをゼロにする」価値提供と、「ゼロをイチにする」価値提供があり、後者はコロナ禍において不要不急と言われた娯楽が分類されるだろう。

日々の時間の使い方においても、「不満」を解消するためだけのタスク処理ではなく、何かしらを生み出すことができるような「満足」を生むような方向に重点を置きたく思考を綴っているが、当面はクオリティよりも「とりあえずやる」ことが目標となりそうである。

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