どこかへ 2004年6月のハノーバー
ハノーバーではダートマスカレッジのTuckと呼ばれるビジネススクールに行きました。そこにお付き合いのある会社の人が留学していて、当時開発していた商品のマーケティング戦略を課題として研究していました。その発表会に参加するために訪れたわけです。コンタックスT3にモノクロフィルムを詰めて出かけました。
世界にはいくつものハノーバーがあり、このハノーバーはニューハンプシャー州にあるハノーバー(Hanover)です。ドイツにはHannoverがあり、アメリカには他にペンシルバニア州とメリーランド州とマサチューセッツ州とインディアナ州にハノーバーがあり、イリノイ州にはハノーバーパークという地名があるそうです。他にもあるかもしれません。
ハノーバーにはボストンからバスで行きました。ダートマスコーチという名前のバスでした。
ハノーバーは1万人ちょっとの小さな街で、当時は大学以外にはあまり何もありませんでした。ホテルも大学関係者が使うハノーバー・インがあるだけと言われ、そこに泊まりました。街の周辺にはいくつかホテルがあったようですが。ハノーバー・インは今もあるようです。
ホテルの周辺にはいくつかの店舗とダイナーがあり、朝の食事はそのダイナー以外に選択肢はなかったと思います。ダイナーは多分典型的なもので、コーヒーとベーコン、ポテトフライとパンの朝食です。昔の手帳や資料を見返してみると、Lou'sというレストランだったようです。写真のコーヒーカップにも店名の一部が写っていました。そのHPをみると歴史のあるレストランのようで、当時はドイツ風の料理を取り入れていたと書いてありました。だからポテト多めのメニューだったのかもしれません。2018年には新しいオーナーに引き継がれているようです。
留学している人に一度夕食に連れて行ってもらいました。車で少し行ったところにサイモンピアスというガラス食器の製造元とその近くを流れる川にミル(水車)がありました。そのレストランはミルと呼ばれ、男3人の食事には若干不似合いだったかもしれませんが、とても素敵でした。
直売の店もあり、そこで今でも使っているビーカー(Norwich Beaker)という名前のグラスを三つ買いました。そのビーカーは親子3人でビールを飲むのに重宝していましたが、一つを落として割ってしまいました。日本ではなかなか手に入らなかったので、再度ボストンに行ったときにダウンタウンの店で一つを買って補充しました。今のところ健在です。
ホテルの近くにはHanover Stringsというギターショップがありました。小さくてもさすがは大学の街だと思います。その辺りをGooglemapで見てみると、随分と賑やかな街並みになっていました。20年も経つと、変わるんですね。
大学は広々としていて、こんなところで勉強できたらなあ、と思わせるところでした。Tuckは有名なビジネススクールで、日本にも卒業生が多く、日本での集まりに参加させてもらったことがあります。誇らしいような、恥ずかしいような気持ちでした。
帰りに立ち寄ったボストンで会社から研究のために派遣されていた後輩と食事をしました。空港近くのホテルでピックアップしてもらって初めてボストンの街中を歩きました。どの辺りだったかわかりませんが、バークリー音楽大学の建物も見えました。
夕食にはピアにあるシーフードの店に行きました。いろんな種類の生牡蠣とクラムチャウダーをいただきました。リトルネックやクマモトという小さな牡蠣を食べたのは、この時が初めてでした。とても美味しくて、この後ボストンを訪れる時の楽しみの一つになりました。
ハノーバーの冬はとても寒いそうですが、落ち着いた街で住んでみたいなあと思いました。
この頃から、海外への出張が増えて年に何回も出掛けるようになりました。それに伴い徐々に厚かましくなっていったわけですが、この時はまだウブな中年で、初めての土地に驚きながら新鮮な感覚でその土地を見ることができていたかな、と今になって思います。