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六甲全山縦走の想い出
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「六甲全山縦走」とは、六甲山系の西端の須磨から、東端の宝塚に至る、全行程56kmの縦走路を歩くことです。新田次郎の小説『孤高の人』で有名な加藤文太郎が、トレーニングのため最初に歩いたとされています。
私は社会人1年目を神戸で過ごしましたので、山歩きの好きな上司に誘われ、1982年に開催された大会に出場。距離の長さや起伏を考え、何度も単独で部分的に歩き準備して臨むことに。当時はマラソンも未経験でした。
早朝5時、起点となる須磨浦公園を大勢の参加者と共に出発。高度を上げるため、いきなりの階段や登り坂で始めから大変でした。今から思えば最高峰の地点でさえ931mであり、山登りと言うよりは山歩きでした。
途中、ゴルフコースの脇を通ると、車で簡単に山を上がってくる人々を垣間見て、全く次元の違う世界に自分がいるような気がしたものです。趣味のジョギングとは違う筋肉の使い方、ペース配分が必要でした。
夕方が近づき周りの景色が少しずつ暗くなってくると、ゴールまで暗闇の山中を迷うかもしれない恐怖が感じられ、それまで歩いてきた疲れを忘れ、残る力を振り絞り小走りで宝塚のゴールを目指し、約11時間で完走。
昨夜視聴したテレビ番組では、俳優の若い男性が案内のベテラン男性と、全行程56kmを2泊3日で楽しんで歩いていました(①18km②12km③26km)自分も、体力に合わせて休みながら再び歩いてみたいです。